2014年4月16日
第1話をご覧になって下さったみなさま、大変ありがとうございました。
そしてそして! たっくさんの感想とコメント!!
みなさまの一言一言がスタッフ・キャストにとってどれだけ励みになっていることか!! スタッフ一同を代表しまして、心より御礼申し上げます。
これからも引き続き応援のほど、よろしくお願いします!
このコーナーは制作の裏話がテーマです。
今回は「アリスの棘」の脚本づくりについて。
完全オリジナルストーリーゆえの苦労と楽しさをお話したいと思います。
脚本は主に作家とプロデューサーとで作っています。
このドラマは主人公が父殺しの犯人に復讐していく“復讐モノ”ですが、父の死因となった医療ミスの真相を明らかにしていく“医療ミステリー”でもあり“医療サスペンス”でもあります。ええ、けっこうてんこ盛りなんです(^_^;)
大命題が二つあって、ひとつは復讐という非日常的テーマを、私たちの生活のすぐ隣で進行しているかもしれないリアルなストーリーに落とし込むこと。そのために大学病院という特殊な世界ならではのエピソードだったり、台詞だったり、仕掛けだったり、リアリティある世界観を大事にして作っています。もうひとつは、金曜の夜に視てスカッとする“ウェルメイドなエンタテインメント”にしたいという狙いがあり、巧妙で精巧なトリック(しかも医療現場ならではの!)をいかに考え付くかが勝負。このリアリティとエンタメの両立が、アリスの脚本作りの楽しさであり苦しさでもあります。
そのために必須なのが医療関係の方々への取材です。大学病院で実際に働く医師(性別身分問わず)や看護師、スタッフはもちろんのこと、大学病院以外で働く医師、製薬会社や治験コーディネーター、医療機器メーカー、医療弁護士、果ては厚生労働省関係筋まで……医療ってひとことで言うけどこんなにも多岐の分野にわたるものなのかと驚きました。
こうしてお会いしてお聞きした話を、セリフやエピソード作りに反映させています。私は「Around40〜注文の多いオンナたち」というドラマで、100人近いアラフォー女性に取材してリアリティあるストーリーを作った経験があるのですが、底辺の広さと専門性において今回の取材はそれを凌駕しているかもしれません。
取材して思うのは、ほとんどの方が高い志を持って医療に携わられているということ。大学病院だからこそできる最先端の研究に意欲を燃やしていらっしゃる医師の方も多くいらっしゃる。一方で大学病院という強大な組織の論理に巻き込まれた瞬間、理想から遠のかざるを得なくなる現実もあるようです。理想より組織の論理を優先することに慣れ、矛盾に麻痺していく…「半沢直樹」で描かれた銀行の世界もそうでしたが、それはどんな組織にも通じる矛盾なのかもしれません。
自分が患者や患者の家族になった経験も活かしています。病状をちゃんと説明してもらえず不安になったこと、治療法がないという理由で病院から追い出されたこと…。おおよそ“先生”と名前のつく職業には多大な責任が付きまとう。だから社会的地位も高いのですが、一般市民にとってはそれゆえの傲慢さを感じる場面も少なくありません。
「アリスの棘」というドラマは、“復讐”を軸にしながら、そうした矛盾を描いていくところに面白さがあるように思います。
さて注目の第2話ですが、明日美の復讐のターゲットになるのは田中直樹さん演じる千原淳一です。岩城滉一さん演じる磐台教授の下で「大学病院に残れるのは選ばれた人間だけ」と公言してはばからず、「患者より研究」「手術件数より論文の数」という姿勢で次期教授をねらう男です。
果たして、明日美は千原にどんな復讐を仕掛けるのか?
そして、千原が握る父の死の真相とは!?
今回の裏話がどのあたりに反映されているのか、注目しつつ視て頂くのもよいかと思います。ぜひお楽しみに。