インタビュー

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09塚原あゆ子監督

今回『Nのために』を監督するにあたり、こだわったところは…?

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もともと原作を読んだ時、複雑な話だと思いました。いろんな方面からいろんな人が言うことで、事件が複雑になっていく。それがわかるようでわからないようで…を繰り返すのが魅力のひとつではあるんだけれど、全10話の中で興味を引き続けるようなドラマならではの別の柱が必要な作品だなと思っていました。事件が二つ起こっていること、なにしろ15年間の話というのがまとめづらいというか、どこをどういう風に切り込んでも、原作のいいところがそげちゃうような印象を受けたので、そういうところを逃さないために、恋愛というか青春らしさ・人が人を思う人間ドラマというか、気持ちの面で足していこうと。事象や事件はすでに原作の中にあるので盛る必要は全くないんですけど、そこをうまくつないでいけるような、逆に描かれていない部分を太くすることで希美ちゃんに会いに来てもらう感じになればいいなって。そこの軸を大事にしようと思いました。

景色の美しさも魅力のひとつですね

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人はいい人だけではないし、悪い人だけでもないじゃないですか。両面併せ持っているからこそ残酷であり残虐なことをするので、そこを際立たせるためにも、見てくださる方が嫌な思いだけにならないためにも風景は美しく、青春はきらびやかにと。みずみずしさとか、子供たちが持つそのときだけの色ってあるじゃないですか。彼女たちにそれを要求したことは大変なことだったとは思うけれども、高校生らしさ、大学生らしさ、大人になったら大人になったらで、その時々の色や匂いがあるじゃないですか。それが風景の中に溶け込ませることで一個前に出てくると思ったんですよね。

塚原監督の好きなシーン、印象深いシーンはどこでしょう?

監督した他の作品全部含めて、私は「食べる」シーンが心に残るというか、大事にしていますね。エネルギーを摂取するって、いろんな意味があるじゃないですか。食べ方ひとつとっても、どのタイミングで食べるかとか、難しいと思うんですけど、そういう感じがたとえば、1話で希美ちゃんが土下座してもらったごはんを、姉弟が泣きながら食べるところとか、6話で、高野さんが成瀬を警察に迎えに行った後ご飯を食べるシーン、希美ちゃんがトラウマを脱却して、タッパーのおかずを野原のおじいちゃんと一緒に食べてもらうところ…人の泣き笑いの瞬間に、うまくご飯を絡ませられたシーンが印象に残っていますね。

最終回を楽しみにしてくださる皆様に、メッセージをお願いします。

幸福な結末を目指します。すでに希美ちゃんが余命宣告を受けているところで、どんな意味で捉えても辛い現実なんですが、その先に見せる彼女の表情が最後の答えだと思うんですね。原作はもちろんですが、脚本の奥寺さんが描く世界観の中には、誰が犯人か、の先が描かれていて、その事象を超えてそれぞれのNたちがどういう風に事件を飲み込み、まい進し、未来を見ていくか。「下は見ない、上を見る」みたいな、上を見ていくそれぞれの姿。それは各々の選び方であったり答え方なんですが、それが“みんな幸福な結末でありますように”と祈るように作りました。だから、それを逆に楽しみに見ていただければ嬉しいなと思います。誰が犯人かを推理するのも面白いと思っていただければいいけれども、その先に描かれる、私たちが見たそれぞれのNたちが、Nのために動いた結果の顔・答えがみんなの明日の元気につながればいいな、と。
どちらかというと物語としては苦しいと思うんだけど、最終回まで見ていただければ必ず人生って捨てたもんじゃないなって、いろんなことがあるしつらいこともいっぱいあるけど、それでもたぶん明日はこんなに明るいよという感じが届くといいなと思っています。

NEW! キャストのみなさんはいかがでしたでしょうか?

榮倉さんは、もともと彼女の出演作を拝見していて、色んな色を持っている子だなという印象を持っていました。それから非常に素直な表現をする役者さんで、そこら辺の匂いの出方というか、現場にいても“榮倉さん”ではなく、“希美”になるんですよね。島の子の時には島の子らしく、東京の大学にいるときは貧乏な大学生らしく。メイクや服もそうですが、きれいに見せようという土俵があると、その上に乗るものはすごく小さくなってしまうもの。その年々の自分を表現しようと表現の幅を広くしようとする彼女の努力、「どうしてもメイクは崩せない」とかになってしまうと非常に苦しくなる戦いが、日焼け止め程度のスタートを切ったことが功を奏したんだと思います。今回大変な役だったと思いますが見事にやり遂げてくれましたね。

窪田くんと一緒に作品を作るのは2回目です。その時も器用だと思っていましたが、今度は逆に器用じゃない部分が出たらいいなと思っていて。“成瀬くん”は朴訥で気持ちを秘めた役でしたので、隠すことを何度もお願いした記憶があります。いろんな気持ちを表現できる彼にとってはすごく大変だったと思うけど、逆に窪田くん以外の成瀬くんは初めから私たちの中にはありませんでした。最初は「僕、高校生に見えますか?」と心配そうに何度も聞かれ「島に行けば島や風景が助けてくれるから大丈夫だよ」って話していたんですけど、島の子の高校生らしさをよくぞ出してくれましたね。 榮倉さんとお二人とも高校生役を演じるのは大変だったと思いますが、手当たりで挑んだ結果だと思います。

賀来くんは、カツラだったのでハンデは大きかったと思います。自毛だったらアレンジももう少し効いたかもしれないし、いろんなアングルで撮りづらかったりしたんですが、彼自身がそれを飲み込んで、現在と過去で分けて自分のキャラクターにしていったことはすごいなと思いますね。 最初の頃は「(安藤というキャラクターが)わかんねえ、わかんねえ」って言っていたけれども(笑)、進むにつれ「どう思う?」と聞いて返ってきた言葉がほぼ安藤だなって思うようになって、役を飲み込んで確実に成長していきましたね。彼も器用な方ですが、自分に役を引き寄せるというより、役に飲み込まれるように付き合ったのは今回初めてだったんじゃないかな。でも非常にそれがうまくできた。後半になるにつれ彼はよくなっていったし、彼の今後も楽しみにしています。

小出さんは前から骨太な俳優さんだと思っていて、彼独自な感じというか、彼がもともとお持ちなのでしょうか、初めてお会いしたときに不思議な魅力・トーンがあって、それが西崎というキャラクターに擦り寄っていったというか、お互い引き寄せ合っている感じで、“小出さんの西崎”でした。西崎というキャラクターは小説の中にもいましたが、それとはまた別の小出さんならではの西崎で、それはそれでとても素敵でしたね。  

小西さんは奈央子さんというどこか現実離れした、悪い意味で言うとうさんくさい?そんな人いるの?という印象を受けてしまいそうな完璧な、でも危うくもろい女性像をうまく演じきってくださいました。初めてお会いしたときに「奈央子さんっぽい」って思いました。きれいで危うくて、もろい感じも。ご本人はホントに天真爛漫な方でしたね。

徳井さんは、(野口が)途中で豹変するというのが前提であったので、初めからうさんくさくていいと、裏があるのを隠す必要はないと思っていました。「なぜ徳井さんだったのか」という意味で言うと、ただ普通にそれをやっちゃうと、ネタバレになってしまう。でも徳井さんがやると「なんかうさんくさい」で収まる。徳井さんがお上手だということもあるんですけど、ご本人が持つものすごく不思議な効用というんでしょうか。色んなお仕事されてるから笑顔が信用できない感じがあるというか(笑)。すごくいい方で、彼が現場にいるだけでものすごく盛り上がる素敵な人なんですけど、頭がいい感じの底知れぬ感じ?それが彼の魅力だと思うんですが、それが画面を通してこのドラマの世界観に落とし込むと、そのうさんくさい感じがすごくよかった。

三浦さんは…まずはお会いできたことが光栄でした。島の駐在さんで、朝まだ制服を着ていないシーンの撮影をした時に、ものすごくお若くてびっくりしたんですよ。それは容姿を変えるということじゃなく、お気持ちで若くなっているんだと思います。でないとあんなに若くならないです。「もともと三浦さんはお若い方なんだ」と思って東京に来たら、年相応の雰囲気になられていて、ちょっと魔法使いみたいで(笑)みんながザワっとしたくらい。それが才能なんでしょうね。 それから色んな方とやられてきた経験が、たぶん若い子達にダイレクトに伝わっていて、三浦さんとのお芝居があった後、他の役者さんが変わるんですよね。本の読み方云々ではなく立ち居振る舞いや、画面に物怖じせずに座るって難しいことですけど、初めはできていなかったみんなが、三浦さんとのお芝居をしてからは変わるんですよね。 視聴者目線に一番近く、現代の主役は高野さんなので、彼の見た世界がいったいどう変貌していくのか、どう謎解かれていくのかという構成でもあるので、気持ちが唯一わかりやすいキャラクターなのですが、彼の目線を通すとそれぞれのキャラクターが見えやすくなるのがすごく助かりましたし、心から尊敬する俳優さんです。

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