インタビュー

松たか子さん[弓成由里子役]

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出演依頼を受けたときの率直な感想をお聞かせください

こんなにも正統派でシリアスなドラマに、私が出演してもいいのかな?と戸惑ったのが正直な感想です。
1970年代という激動の時代を生きる由里子になれるだろうかという不安もありました。久々の連続ドラマでもありますし。
でも、主人公である弓成亮太を本木さんが演じられるとうかがい、とても興味がわきました。というのも以前、本木さんとは少しだけご一緒したことがあったのですが、またご一緒したいと思っていましたので、出演させて頂こうと思いました。

台本を読んでからの戸惑いはありましたか?

由里子を演じると決めてからは、戸惑うことはなかったですね。
どの作品でもそうですが、台本を読んで難しい役だと感じても「これは、こういう話なんだ。こういう人なんだ」と思えるんですよね。もちろん言葉遣いや夫婦の関係に関しては、現代とは違う要素がたくさんありますから、違いを挙げればキリがないのですが、“由里子がこう言うなら、そうなんだろう”と納得し、どうすればそこに行き着けるのか、由里子という人物として生きられるのか、そのために私がやらなければならないことを考えることが、面白いですね。

演じられている由里子はどのような人物ですか?

夫を支える妻であり、子供たちを守る母なのですが、由里子も一筋縄ではいかない人物だなと思います。正義感が強く上昇志向の強い弓成亮太という新聞記者の妻は、穏やかで優しいだけでの人物では務まらないと思うんです。由里子には由里子なりのプライドの高さがあると感じますし、亮太よりも由里子の方が強いなと感じる部分もたくさんありますね。底知れない力があるような気がします。

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底知れない?

はい。由里子は何があっても、亮太を支え続けようとするんです。
「一体、この強さは何だろう?」と思います。由里子としては、“弓成亮太という人を信じたい” という気持ちもあったでしょうし、自分の選んだ人だからというプライドもあったのかなと。激しさが表に出るような人ではないのですが、由里子は昭子とは違うたくましさを持っていると思います。

弓成に “お茶漬け” を出すシーンが印象的でした

どんなに遅くても夫の帰宅を待ち、何も言わずに自然とお茶漬けを出す…。由里子は、ほんと凄い人ですよね!でも、そういうことって、相手のことが好きだからできることだし、それを当たり前のように食べてくれる亮太がいるから、由里子も幸せを感じていると思うので…。由里子にとっては、特別なことではなく自然なことなんでしょうね。由里子はよく気が付く女性なので、弓成と昭子の男女関係に “あんなに弓成に尽くしている由里子がかわいそう” と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そう思っていただければ物語としては嬉しいことだなと思います。だた、“由里子はとても健気でしょ” “頑張っているでしょ” “尽くしているでしょ” と押し付けがましくせずに、ありふれた普通の日常として演じるように心がけています。その “普通” が破綻したときが、弓成家の非常事態ですから。客観的にみれば、非常によく出来た奥さんなので、自分にないものを出すのに必死です(笑)。

ピアノを演奏されたシーンがありましたが…

台本に “ピアノを演奏する由里子” と書いてありまして…私の映っているシーンだけならまだしも、別の方のシーンにもその音が流れるというような台本になっていたので私の演奏で大丈夫なのかなとドキドキしていたのですが、「由里子はピアノの専門家ではないので、実際に弾いてください」と言われました。撮影は夜の予定だったので、昼休憩に練習して…と思っていたら、その日に限って昼休憩直後に変更になってしまいまして…上手さを伝えるものではないと自分に言い聞かせながら弾いたのですが、どうなっているかわかりません(笑)。
ピアノのシーンに関しては、妻として母として家族を守る由里子にも趣味があるんだなと、自分だけの時間を持つことがあるのだなと思いうれしく思いました。楽しく弾いているわけではないのですが、うまく物語の流れに入ってくれていればいいなと思います。

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由里子には、昭子はどう映っていると思いますか?

そうですね…。由里子からみた昭子は、憎い相手でしょうし、対抗心を燃やしてしまう相手であると思います。
ただ、“昭子は自分には出来ない生き方をしている” と思えてきて、気持ちも変化していきます。ですから、ただ “憎い” だけの感情ではないと思います。仲間ではないけれど、「あの人も闘っているんだな」と思えてくるんです。

もし、松さんが昭子を演じていたら?

難しい質問ですね…。
でも、今となったら考えられないです。真木さんが演じられるという時点で、私には演じられないと思います。
もちろん演じることになったら、必死に演じたと思いますが…。昭子はミステリアスな女性なのですが、その昭子を演じている真木さんがとても魅力的で、女性の私ですら引きこまれてしまうので、私にはそんな昭子は無理だと思います。

真木さんとの共演はいかがですか?

真木さんとは初共演なのですが、雰囲気や色気など、私にはないものをたくさん持っている魅力的な人だなと思います。『ゆれる』という映画を拝見したときに、“素敵な女優さんだな” と思っていたので、こんな間柄ですが共演できて嬉しく思います。普段の真木さんは…私と近いにおいを感じるといいますか、男らしさを感じます(笑)。
私はなるべく人に対して無理して接することのないようにと思っているのですが、真木さんとは最初から無理することなくお話できました。落ち着いていて、優しくて、面白い方だと思います。わずかな共演の機会を大切にしたいと思っています。

本木さんとの共演はいかがですか?

本木さんとはこれだけ向き合ってお芝居をするのは初めてなのですが、弓成亮太という役を大切に思い、妥協を許さず、一生懸命演じる姿勢がすばらしいと思います。そんな本木さんが演じる弓成だからこそ、私としても由里子と気持ちを共有できるといいますか、時代に翻弄されていく姿をみるのが辛く、心が痛いですね。
普段はとってもチャーミングな方で、私が本木さんに翻弄されてばかりです(笑)。現場でお会いするたびに、「今日もステキです!」と声をかけたくなります。

最後に視聴者のみなさんにメッセージをお願いします

日曜劇場『運命の人』は、第1話から展開が速く、いろいろなドラマが巻き起こりますのでお見逃しのないよう。そして、最後まで弓成の人生を見届けてください。

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