毎週日曜よる9時
今回、田村と美寿々が 「 詐欺罪で 告発 します!」 という台詞がありましたね。
ときどき 「 告訴 してやる!」 とか 「 お前の悪行を 告発 するぞ!」 などといった台詞を目にします。ここで出てきた 「 告訴 」 と 「 告発 」 は、いったい何が違うのでしょうか?
告訴と告発の定義を簡単に言うと、「 告訴 」 とは 犯罪の被害者やその親族など が、捜査機関に対して 「 犯人に刑事責任を取らせてください 」 という意思を表明することです。
それに対して「 告発 」 とは 被害者などではない人 が同様の意思の表明をすることをいいます。
このように、「 告訴 」 は犯罪の被害者やその親族などしかすることができませんが、「 告発 」 は、被害者やその親族でなくてもすることができます。
では、具体例を挙げて考えてみましょう。
ある日、Aさんが強盗の被害に遭ったとします。Aさんには姉のBさんと,友人のCさんがいるものとします。この場合、Aさんは 「 告訴 」 をすることができます。また、Aさんが強盗の振るった暴力により死んでしまった場合、Aの親族であるBさんは 「 告訴 」 することができます。
また、Aさんが生きていても死んでしまっていても、被害者でもその親族でもない友人のCさんは、「 告発 」 をすることができます。
ちなみに、捜査機関は原則として告訴がなくとも犯罪を捜査し、犯人を訴えることができます。さきほどの強盗の場合、告訴がないと警察が動かないのでは、おかしいですよね。
しかし、例外的に 「 告訴 」 をしなければ、犯人を訴えることができないものもあります。
これが親告罪と呼ばれるものです。親告罪の代表例としては名誉毀損罪や性犯罪がありますが,これらの犯罪では裁判が行われることによりかえって被害者の名誉やプライバシーが侵害されたり、被害者が精神的にさらなる負担を負うおそれがあります (新聞記事になってしまったりすることもありますし,被害者は刑事訴訟において証人として証言するなどの負担を負うこともあります)。
したがって、被害者の意思を尊重して、このような犯罪については、犯人を訴えるのに 「 告訴 」 がされていることを条件としているのです。
なお、「 被害届け 」 という言葉もよく耳にしますが、これは単に犯罪の被害があったという事実を申告するものであって、刑事訴追や処罰を求める意思を含むものではありません。もちろん、被害届けが出されていても告訴がされていないのであれば、親告罪について、捜査機関が犯人を訴えることはできません。
また、告訴や告発先になる捜査機関には、警察や検察、海上保安部や労働基準監督署等があります。この捜査機関は、告訴や告発を拒むことはできず、また捜査を尽くす義務を負うものとされています。
※ すべて2010年3月現在の情報です 協力:(株) 東京リーガルマインド