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インタビュー Vol.2

塚本 高史さん ーー河島 龍之介役

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台本を読んでみてのファーストインプレッションを教えてください。
僕は台本を読み終えた段階で、面白い作品だなと思いました。
群像劇は久しくやっていませんでした。年相応の役も最近なかったので、そういう点でも面白そうだな、と思ったのが率直な印象です。
演じられる河島龍之介について教えてください。
(写真) 彼は何でも素直に口に出してしまうので、人とぶつかり合うことが多い。けれど、熱い正義感、仁義を持っていて、筋道を通すことを一番大切にしているんじゃないかなと思います。誰にも心を開けなかった彼が唯一心を開けたのが、自分の親分と彼女の美咲だけ。その恋人に会いに行くために彼は脱獄を決心します。
逃走中には、市原隼人さん演じるアタルとぶつかってばかりですね。生理的に合わないんでしょうね。考え方が正反対なんです。けれど、お話しが進んでいくとわかってきますが、正反対の性格の相手にも、心を開いて真正面からぶつかっていくと、すごく仲良くなれると思います。その辺も見どころだと思います。
今まで、僕自身、上田竜也さんが演じている空哉みたいな三枚目で少しぬけていて憎めないキャラを演じることが多かったのですが、それは今回、上田さんに任せて僕は河島龍之介に専念しています。
彼と似ているとこはまったくないですが、リュウ(河島龍之介)から学ぶことだったり、「リュウはこうやって育ってきたんだ。こういう風に思っているんだ。」ということを、この先ももっと感じていけたらいいなと思います。
最終回を撮り終えてリュウから離れた時、この河島龍之介という男に、僕が演じてくれて良かったと思ってもらえるような、まっとう感、達成感を感じたいと思いますね。
河島龍之介を演じるうえで気を付けている点はありますか?
アタルと意見が合わず、ぶつかってばかりなのですが、上田さん演じる空哉と菅田将暉さんが演じる瞬の2人に関しては、リュウは「コイツら使える!」と思っているんじゃないでしょうか。
空哉は少しぬけているところがあるので、そのボケているところにリュウがツッコミをいれる…という掛け合いを面白おかしく演じることが出来たらいいですね。ずっと張り詰めているシーンばかりだと、重いだけのドラマになりますし、気を抜くところは抜いて、締めるところは締める…と、緩急を付けていけばより面白い作品になるんじゃないかなと思っています。
脱獄犯を演じることについては、刑務所に入ったこともないですし、脱獄の経験もないので、イメージでやるしかないなと思いました。
「何のために脱獄するのか…」という、それぞれの明確な理由がある…そこが台本を読んだ上でおもしろいなと思った点なのですが、脱獄した4人プラス女の子1人の5人は、それぞれ時間がない中、会いたい人がいる場所へ行かなければならないという目標がある。
僕らだけでなく、柳川という渡哲也さん演じる刑事にもドラマがあるんです。追う側にも、追われる側にも同様にドラマがある。 “脱獄”ということだけがメインのテーマではないと思います。会いたい人のためにそんなことまでしてしまうのか…というのは人間ドラマとして大事なことだと思うので、あまり僕は“脱獄囚”という響きだけに囚われずに演じていきたいなと思っています。
事前に役作りはしましたか?
(写真) 全然出来なかったです。撮影に入る前は髪型も全然違いますし、気持ちも全然違うので。
今思えば、役作りが全然できてなかったなぁと思います。
実際演じてみてどうだったのか聞かれてもうまく答えられないです。本番の記憶があまりないというか、その時はリュウになっているので、塚本高史としてはお話しできないです。「リュウに聞いてくれ!」という感じでしょうか(笑)。
実際撮影に入って、印象深かったシーンはありますか?
脱獄チーム4人で集まって「これからどうしていこう」と話すシーンがあるんですが、シーンを撮る本番前に4人で集まって「まだちょっと納得いかないね。“視聴者の皆さんのランナウェイ”となればこういう感情だけど、でもそのシーンで感じている自分の表情は無意識のうちにこうなるんだ。どっちを取るべきだろう…。」と、みんなで話し合っていました。
そこに石井監督がフラフラっと来てくれて「何かやりにくいことある?」と声をかけてくれたんです。
「ずっと考えているんだけど、どっちをとればいいんでしょうか。“視聴者の皆さんのランナウェイ”という作品のためのお芝居を取るのか、今の自分たちが感じたままのナマモノの感情を取るのか…。」と聞いたんです。そしたら、「今感じたことでいいんじゃないかな?僕はその時に感じた感情でいいと思うよ。」と監督が言ってくれました。
それでスッと気持ちが晴れたんです。思いっきりやろう!となれました。まだまだ悩みどころはたくさんありますが、このやりとりが第一段階だったのかなと思いますね。
ここまで話し合うドラマってなかなかないですよ。本気になったら気持ちいいし楽しいし、いい作品が出来ますね。それが例え人に評価されなくても、「やった!」という自分の自負にはなるし、それを経験していない人は損だと思う。本気になった方がいいと思う。
その本気は、男同士だからこそでしょうね。「負けたくない!」という心がお互いに絶対にあって、その相乗効果で、みんなの向上心がここまでしている。それ以上のものになる期待もあります。コレが女性の脱獄の話だったら、こういう感じには熱くならなかったのではないでしょうか。
男だからこそできる、そこにサクラという女の子が1人入って来るだけで、いい化学反応を起こす。そういう作品になっているんじゃないかと思います。男同士が本気度を掻き立てたんでしょうね。
九州から東京ということで遠方のロケも多くなってくると思いますが…
(写真) 北九州のロケはすでに終わりました。九州は脱獄することがメインテーマだったので、走ってばかりいましたね。
博多で撮影をしていたわけではないので、ラーメンもモツ鍋も食べていないです。そんな時間も全くなかったんですよ。朝5時に起きて夜中の3時まで撮影して、また5時から撮影…そんなスケジュールでした。だからこそ余計に役に集中できたのかもしれないですね。これからは北九州のスケジュールよりはゆるくなってくれると思うので(笑)、みんなと絆を深め合いつつ、ご当地の美味しいごはんを食べたりしたいです。
撮影現場の様子はどうですか?
楽しく撮影は進んでいます。紅一点のサクラを演じる熊田聖亜ちゃんとは、休憩中にもお話ししたりしていますが、僕はみんなほど話していないですね。もちろんすごくかわいいし、話したいし、スキンシップもしたいですが、リュウはサクラに「泣かすぞ!」という姿勢の役柄なので、皆ほど話しかけたりしないようにしています。
市原さんは、休憩時間もかなり役に入っていますね。“市原隼人”としてだったら仲良く出来るんですが、“葛城アタル”としてだと仲良くできないですね。俺が“河島龍之介”なので。
視聴者のみなさんへメッセージ
テーマは絆、友情、家族愛、刑事たちの執念だったり…ここだけというひとつの見どころじゃなく、様々なところに焦点を当てて見ていただける作品だと思います。
第一話は男の脱獄の熱い群像劇が見れるんじゃないでしょうか。男同士の負けたくない気持ちがいい向上心、相乗効果になって、みんなが本気で作っています。
みんなが本気でいいもの作ろう、いい作品作ろうという本気の姿勢で取り組んでいるものが、映像として出ていると思うので。見どころじゃないかもしれませんが、いい作品です。それが一つ言えることです。

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