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インタビュー Vol.1

市原隼人さん ーー葛城アタル役

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この企画をはじめて聞いたときの感想を教えてください。
このようなロードムービーのドラマは今までなかったのではないでしょうか。
作品というのは、視聴者のみなさまが楽しんでくださるのが一番だし、その上では作り手が一番楽しんで作っていかなくてはならない。
だからといって、ただ作って楽しむのではなく、楽しむポイントをきちんと掴んで作っていかないといけないと思いますね。
お芝居の中で楽しむ、お芝居の中で相手と会話する、そのポイントを抑えて、楽しく撮影が出来たらいいなと思いました。
演じられる葛城アタルについて教えてください。
(写真)アタルは本当に一般的な男だと思います。
悪い奴だったということもなく、何か抱えているということでもなく、ただ子どもがいることによって、相手をより思いやる気持ちを持っていて、繊細で、人と人との間のことをもっと大事にする力を持っている人だと思います。
アタルがいることによって、周りのキャラクターをもっと視聴者のみなさまに見ていただける、リードできるキャラクターであればいいなと思います。
娘を思いやる気持ちの作り方で心がけている点はありますか?
本当に共演者の子役を愛することが一番です。
作品に対して一番思うのは、相手を好きになること。一方通行でもいいから全部受け止められるスタンスでいて、全力でお芝居の中で、コミュニケーションを楽しみながら演じるのが一番だと思いますね。作品の中だけではなく、外でも笑顔でいられる関係になれたらいいな…と思っています。
最近、撮影を進めていて涙を出すお芝居ではないけれど、自分の娘(アタルの娘・千春)のことを思うと涙が出てくるようになりました。。
アタルが脱獄する理由は、娘が余命3か月と言われて脱獄してしまうのですが、娘のことを思うとどんな感情になっていいか、自分の中でも整理がつかない…それがアタルなのかな、と思うようになりました。
実際にお子さんが心臓病の方もいらっしゃると思うし、アタルだけでなくリュウだったり、空哉だったり、シュンだったり…同じ境遇の方に見ていただく機会があると思います。
そういった方々に対して、失礼のないように丁寧にお芝居をしていきたいです。本当に繊細なドラマだと思います。
共演者の印象を教えてください。
(写真)塚本高史君が一番年上なので、現場の雰囲気を明るく笑わせてくれています。高史君が演じるリュウの不器用さ…どこまでも不器用な姿を見ていると涙が出てきますね。
上田竜也君も一生懸命です。「このお芝居大丈夫ですか?」とお話しすることもあります。お芝居している時はみんなが一生懸命です。
僕は竜也君が演じる空哉が笑っている姿に特に涙が出てくるんです…。空哉というキャラクターは、常に笑っているんです。お調子者で、本当の自分を隠して無理矢理笑っている。その笑顔がお芝居でひしひし伝わってくるときがあって、「その笑顔見ると涙が出てくるんですよ。」と、竜也君に直接伝えたこともありました。
菅田君が演じるシュンの「大丈夫かな」と、周りに気を遣いながらも一生懸命なお芝居にもすごい涙が出てきます。
自分の居場所がない孤独や、恋人に会いたい感情、そういうことを思っている時のふとした表情見ると『ああ。これがランナウェイ』だな、と思います。
言葉で伝えることももちろんありますが、やはり言葉の裏側のモノが大事だな…と思います。
共演者の皆さんの印象を伺うと、撮影現場もとても雰囲気が良いでしょうね…
ものすごくいい雰囲気です。現場となる土地もどんどん変わっていき、限られた短期間で様々な場所で撮影をするので、「3時間寝られればいいな…」というスケジュールではあるのですが、そんな中でもお互い気を遣いあい、「ちゃんと寝れた?休めた?」と声をかけあったりしています。
それぞれが自分のキャラクターについて、まだ完璧に確立していないですし、相手の人間性もまだわかってない状態なので、「このお芝居どうすればいいのかな」「お芝居って何が大事なのかな」とお互い相談をする時もあります。僕が話しをしているときも真剣に聞いてくれますし、また他の方が話している時も真剣に聞いている姿を見ると、すごいな…と思います。
肩の力が抜けたシーンの時は、すごく肩の力が抜けた話をしていますね。休みの間にしりとりしたり…いい現場ですね。こういう現場が増えればいいなと思います。アインシュタインの相対性理論で、楽しい時は短く感じると言いますが、ここの現場では時間がすごく長く感じるんです。それは、本番も、本番までの時間も、みんなで考えて考えて…どうしようどうしよう…と、一生懸命だからなんでしょうね。
ただ一生懸命ではだめで、一生懸命にも理由が必要ですよね。「どうしてみんなが集まり、何のためにやっていて、どうしてこのドラマを企画したのか…」プロデューサーたちと話していると、もっと頑張りたい、と思いました。
初めて現場に入った時、「俺、失礼だな。」と思ったんです。「もっと本気になれるはずだ。」と。その本気というのも、ただ“がむしゃら”なのではなく、それを見せたいから見せるのではなくて、マグマのように熱く、ゆっくりと零れ出るように僕たちの本気をお見せできたらいいなと思っています。それが『ランナウェイ』だなと思います。
『ランナウェイ』をどのようなドラマにしていきたいですか?
(写真)現場で起きるハプニングがドラマの作り手の1つの楽しみです。
かたちを決めてから作って…というのではなく、ロードムービーの中で九州〜四国〜大阪など、様々な場所でその場所でしかでてこない相手の表情だったり、共演するにあたって、今しか出来ないもの、明日やったとしても今とは全然違う、今しか出来ない一瞬の水しぶきのようなお芝居が出来ればいいなと思っています。
そして、お芝居の中でみんなと会話をしてみたいです。「この会話のお芝居でどのように相手がでてくるのかな?」「この人にはこういうビジョンがあるのか…」「こんなふうにお芝居を変えていくのか…」など、お芝居で会話がしてみたいと思いました。
そして、誰かのためにみんなそれぞれに理由があって逃亡しているという緊張感の中にも、『ランナウェイ』独特の雰囲気をだしていけたらいいなと思っています。

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