加賀 千草
Kaga Chigusa
報道局社会部 2004年入社
担当番組:「警視庁記者クラブ」 キャップ
Works
About my work
社会部の「警視庁記者クラブ」というその名の通り、東京都の治安を守る警視庁を取材する記者の集まりで、そのクラブのキャップを務めています。「警視庁クラブ」は、TBSだけではなく、テレビ局各社の他に大手新聞社、通信社などがおよそ150人の大所帯で警視庁のワンフロアにひしめき合っていて、日々、組織の幹部や捜査員を取材し、ニュースを出すという作業をしています。日本で最大の事件記者クラブであり、各社も競争を勝ち抜いてきた“精鋭”記者揃い。
その記者クラブの中で、警視庁という大きな組織が「どのような犯罪を重点的に摘発するのか」や「背景にどんな事情があるのか」という独自の情報を掴み、ニュースにするためにどの様な取材を展開するのかをクラブ員達と相談し、決定するのが役目です。報道のニュースというのは一日中オンエアがあり、大きなニュース程、スピードとの闘い。早く、正確にニュースを書けるように取材のノウハウを若い記者に継承し、時にはキャップとして自ら幹部とニュースのネタについて取材・交渉することもあります。数多ある警視庁の事件の中で、どのネタをニュースにするのか、どの様な取材をすれば視聴者に伝わるかを考え、「報道する意義」「世に問いたいこと」をしっかりと見据えて取材する記者を育てるのがキャップとして、大きな責任です。
仕事は毎日、責任の連続ですが…クラブ員は皆、家族のように仲良し!イベントなど息抜きも大事にしています。写真は①大きな事件が続き、朝回りや夜回りで疲弊している記者クラブ員。②突然、事件が起きた際は子どももクラブへ③クラブで意見交換会議を開き、ピザパーティーをすることも。
Positive part of my work
クラブ員は赤坂のTBSテレビ本社には出社せず、警視庁に常駐し日々、組織を取材します。記者ならではの業務である“夜討ち朝駆け”をしながら、警視庁の方々が胸襟を開いて自分たちしか知りえない捜査情報や組織の不祥事、ドロドロとした人間関係までも聞くというのが、自分も駆け出しの頃は楽しくてしょうがなかった。こうした取材を基に若いクラブ員たちが大きなニュースとしてオンエア出来た際には、自分の事のように嬉しく、「キャップをやっていて良かったな」と思います。
また、事件取材はチームワークです。1人の記者が取った端緒となる情報を基に、別の記者らが方々に取材し、その情報の確度を上げ「裏を取る」確認作業を重ね、間違いないという確証が得られて初めて、ニュースという形になります。大きなネタほど、競合他社が追い付いてくる可能性もあり、いつもドキドキの連続。そうした緊張感をも突破してチームでスクープを出した時は、日々の取材努力が形になった達成感があります。
Negative part of my work
我々、記者は「真実を書く」という重い十字架を背負っています。どんな小さな事象でも間違いがあっては、視聴者にその情報が届くことになります。そうした、細かいミスもキャップに責任があり、ミスがあった日は自分の指導不足とその重圧を感じています。
また、クラブ員が一生懸命取った情報をニュースとして出すときに、時には警視庁の幹部と対峙し衝突することもあります。「捜査のタイミングとして、報道されると困る」とか「そこまで詳細を書かれると支障がある」など、理由は様々です。相手も組織を背負って対峙するので真剣勝負。大口論になることもあります。こうした時は、「真実を書く」ということと「取材相手」の狭間で悩むこともあります。
Schedule of one day
5:45
娘(小1)のお弁当作り。コーヒーで目覚まし
6:30
娘(小1)、息子(4歳)の着替え、朝ごはんと怒涛の時間!
7:15
パパが息子と保育園へ、娘は登校。ママは夕飯仕込み
9:00
警視庁クラブに出勤。昼ニュースに向けて取材指示、原稿チェック
11:30
各社の昼ニュースチェック
16:00
警視庁庁内で取材、何か動きがあればニュースを速報
18:00
取材先と会食(会食が無い日は保育園へダッシュ!)
21:00
子供たちの寝かしつけ。一緒に寝落ちすることも多々…。
22:00
翌日の夕飯仕込みやオンエア原稿のチェックなど
Outside work
day off
平日は忙しくしている分、休日は「家族の時間」を大切にしています。都会を離れ、出来るだけ自然に触れたり、子供たちが目一杯体を動かせる場所で遊ぶのが家族全員大好きです。とはいえ、習い事の同行や宿題のチェック、平日のおかずの作り置きも週末に…休日もママとして朝からフル稼働で、夜にはぐったりしていることも。ストレスはホットヨガや自宅で友人・同僚らと飲み食いし発散!
college life
朝から晩までバレーボールの事で頭が一杯でした。所謂、体育会系の伝統あるバレーボール部に所属していたので練習も規律も大変厳しく、下級生の時は「先輩に練習で怒られないように」など競技や熱意そっちのけで取り組んでいました。上級生になってからは、学生主体の部活で勝つためにどう取り組むか、目標設定や個々の役割の細分化など今の仕事にも通じる姿勢、そして精神的なタフさを身に着けました。社会に出て思うのは、学生時代に目標に向かって一生懸命突き進んでいた人は、仕事に対しても真摯に立ち向かう姿勢がより強いと感じます。また、チームメイトは一生の仲間として卒業後に海外旅行に行ったり、ママ友として会ったりと宝物です。
Message
SNSなどが発展し、情報を入手し易い現代だからこそ、何が真実で何が大切な情報なのかを発信し続けるのが報道機関としての責務です。華やかな世界に見えがちですが、裏では泥臭い手法で取材を重ねることの方が圧倒的に多い仕事です。体力的にも精神的にもタフさが無いと続かない仕事、それでも「やりたい」という熱意のあるあなたを待っています。