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ゲスト
森永卓郎さん(経済アナリスト)
若林正恭さん(オードリー)

ざっくり名作文学

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本が苦手なあなたのために名作文学の内容をざっくりおさらいしてしまう「ざっくり名作文学」。
今回は…「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という冒頭があまりにも有名な名作「雪国」をざっくりとおさらいします!

「雪国」の作者は川端康成さん。川端さんは日本で初めてノーベル文学賞を受賞した超有名人!そんなスゴイ川端さんのスゴイ代表作が「雪国」なんです。

では、一体「雪国」のどこがすごいのでしょうか?

まずは、ざっくりと内容をおさらいします!

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物語の主人公は、島村さんというお金持ちのボンボン。その島村さんが初夏に1人で温泉地にやってきます。暇なので宿で芸者を呼んだところ、やってきたのが、まだ19歳の駒子ちゃん。
すると駒子ちゃんはカッコイイ島村さんに一目惚れ!

そんな駒子ちゃんに島村さんは
「他の芸者さんを紹介してくれよ。うんと若い娘がいいなぁ」
と言い放ちます。駒子ちゃんはショック!ところが島村さん、新たにやってきた芸者さんを見るなり
「なんだか、もういいや」
と勝手に呼んでおいて帰してしまいます。ワガママな男です…

どうしても納得できない駒子ちゃんは、他の座敷でさんざん酔っ払ったあげく、島村さんのところへ。
そして…

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2人は大人の関係に! ところが島村さんは、れっきとした妻子持ち。翌朝あっさり東京に帰っちゃうんです。

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そしてその年の12月、島村さんはまたまた懲りずに温泉へ!

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その道中を描いたのがあの印象的な冒頭の一文
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」なんです。

再会を喜んだ島村さんと駒子ちゃんは…

久しぶりにまた…関係を結んじゃいます。

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ところがこの島村さん、実に気が多いダメ男。今度は駒子ちゃんの妹分の芸者さん、葉子ちゃんのことが気になってしょうがない!
当然駒子ちゃんは焼きもちを焼いてしまいます…

さらに翌年の秋、島村さんはまたまた温泉にやってきます。島村さん一筋の駒子ちゃんを差し置いてますます葉子ちゃんにデレデレの島村さん。

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ところが、物語の終盤に大事件が!
温泉地の映画館が火事になって葉子ちゃんが巻き込まれてしまいます!
葉子ちゃんを抱えてオロオロする駒子ちゃん、よろめく島村さん。
これから3人はどうなるのか!?

…というところで、なぜか物語りは終わってしまいます!

「こんなところで終わって、何だかよくわからない」という声も聞こえてきそうな物語の終わり方…
主人公が不倫して、愛人がいて、さらに浮気して…

では、一体どうしてこの物語がノーベル賞作家の名作と言われているのでしょうか?

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著書「声に出して読みたい日本語」でもお馴染みの齋藤孝先生にその理由を教えていただきました。

1つ目のポイントは「日本ならではの心を描いた」という点。

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齋藤先生によると、この「雪国」、日本語の表現がめちゃめちゃキレイなんだとか。
先生のオススメは、

『小さい瞳のまわりをぼうっと明るくしながら、つまり娘の瞳と火とが重なった
    瞬間、彼女の眼は夕闇の波間に浮かぶ、妖しく美しい夜光虫であった。』

という一節。

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これは、「女性の目が窓に映って、遠くの灯火と重なって夜光虫のように見える。」ということをとても美しい日本語で見事に表現しているのだそうです。
そして、2つ目のポイントは「エロティックな描写が見事」だという点。
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例えば、島村と駒子の再会シーンにある

『「こいつが一番良く君を覚えていたよ。」と人差し指だけ伸ばした左手の握り拳を、いきなり女の目の前に突きつけた。』

という表現。

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先生曰く、
「指が覚えていた」という表現は、下手をすればとてもいやらしくなってしまうもの。
それを具体的に表現するのではなく『僕の体の記憶が君から離れないんだ』という絶妙な表現でエロスを演出する『ギリギリの寸止め』が素晴らしいんだとか。

さらには、

『駒子の唇は美しい蛭(ひる)の輪のように滑らかであった』

という艶かしい表現。

女性の唇の艶やかで滑らかな感じを、「人の血を吸う蛭(ひる)」という一見おぞましいもので表現してしまうところに川端康成のスゴさが垣間見えるんだそうです!

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このように、「雪国」は日本の伝統的な美しさとちょっとエッチな魅力をダブルで楽しめてしまうとても貴重な作品。

もうちょっと「雪国」について詳しく知りたいと思ったアナタ!
あとは自分で読んで、名作「雪国」を堪能してみてください!