Kubota×下町ロケット Kubota

Kubota×下町ロケット

宇宙(そら)から大地へ 『下町ロケット』新シリーズの舞台は農業!
佃製作所の新たな戦いの舞台となる農業機械の提供、さらにはシナリオ制作や機械操作などのドラマ演出の技術監修に参画してくださっている株式会社クボタさんが、『下町ロケット』をより深く楽しむために、農業機械や技術に関して解説してくださいます!!
視聴者のみなさんも疑問があれば、「疑問・質問を募集」に書き込んでください。

第6回 お米ができるまで

殿村家の米作り。
何十年も激しい雨風や日照りといった自然災害と戦ってきた父・正弘の姿を見て、なお一層、米作りに力の入る直弘。「親父にとって大事なのは、ウチの米を楽しみにしているお客さんだけ」と“品質”で勝負している殿村家は、佃製作所と通ずるものがありますね。
そんな“米作り”ですが、農家の方がどのようにお米を作っているのか…みなさん、ご存知ですか?苗を植えて、稲を刈る…ということは知っていても、詳しく知らない方も多いのでは?
ということで、今回はクボタさんに“米作り”を解説していただきます。

お米ができるまで ~ 米作りのプロセス ~

春に苗を作って植えて、秋に収穫。そして私たちの食卓に上がるまでにはたくさんの作業があります。米作りの1年間を見てみましょう。

     プロセス

  1. 種もみから苗を育てる:種もみを育てる育苗箱に種もみをまき、ビニールハウスなどで苗を育てます。
  2. 田んぼの準備をする:田植えができるように、田んぼを耕して水を入れて、ならします。
  3. 苗を植える:成長した苗を田んぼに植えていきます。
  4. 田んぼの水を管理する:稲の成長に合わせて、田んぼに入れる水の量を調整します。
  5. 稲を守る:雑草、病気、害虫やその他の生き物から稲を守ります。
  6. 米を収穫する:コンバインを使って稲を刈取り脱穀。そして乾燥・調製します。

お米ができるまで

  • 殿村家(新潟県)を想定
プロセス ❶ 種もみから苗を育てる ~ 種もみを準備する ~

①-1 種もみの芒(ぼう)を取り除く

脱芒(だつぼう)とは、種もみの先端から出ている芒(ぼう)や枝梗(しこう)を取り除くこと。苗を育てる箱にムラなくまくために行います。

①-2 種もみの比重で選別

健康な苗を育てるためには、実が詰まって重い種もみを塩水に浸けて、沈んだもみを選び出します。これを「比重選」といいます。「良い種もみ」は重くて沈み、悪い種もみは軽いため浮きます。

①-3 種もみを消毒

種もみを消毒しておくことで、育った稲が病気になるのを防ぐことができます。消毒には消毒薬を使うほか、お湯に浸ける方法もあります。

①-4 種もみを水に浸す

選んだ種もみはいったん2日間かげ干しして、その後1週間くらい水に浸けます。発芽の促進と発芽を均一にするためで、胚がもみ殻を通して白く見えるくらいまで水に浸します。これを浸種といいます。さらに32度の温水で2日間温めると芽が出てきます。芽の先端がわずかに1mm程度出た状態をハトムネ状態といい、種まきに最もてきした状態となります。

①-5 種をまく (播種)

「育苗箱」とよばれる箱に肥料を混ぜた土を詰め、種もみを平らにまいて薄く土をかけます。自動種まき機を使うと、育苗箱の中に均等に種もみをまくことができます。

①-6 苗を育てる (育苗)

育苗箱をビニールハウスなどに並べて育てます。苗は傷みやすいので、ビニールハウス内の温度を細かく調整します。

プロセス ❷ 田んぼの準備をする ~ 田起こし ~

田起こしは冬の間眠っていた土を掘り起こす作業で、田植えの1か月くらい前から行います。秋の収穫後に荒く起こして混ぜ込んだ稲わらは、すっかり腐って堆肥となっています。

②-1 田んぼを耕す

耕すことにより、土の粒がくっつきあって団子を作るという状態(団粒構造)を作ります。団粒構造が発達するとその隙間に空気や水、養分を蓄え、余分な水は下へ流します。

②-2 肥料をまく

田んぼに肥料をまいて、稲が育つための養分を土に含ませます。肥料には家畜のふんや落ち葉などを発行させた「たい肥」や、化学肥料などが使われます。

②-3 あぜを塗り固める

田んぼに水を入れる前に、田んぼから水が漏れてしまわないように、泥を使ってあぜを塗り固めます。

②-4 田んぼに水を入れる

田んぼと用水路をつなぐ取水口を開けて、田んぼに水を入れます。ポンプを使う場合もあります。

②-5 水を入れた田んぼを平らにする

4月下旬、水田に水を引き込んでロータリなどで土と混ぜ合わせます。代かきをすることにより、苗が植えやすいように平らになり、肥料が全体にいきわたり、水はけも均一になります。また、雑草も生えにくくなります。

プロセス ❸ 苗を植える ~ 田植え ~

昭和45年頃までは稲を1株ずつ手で植えていましたが、現在はほとんど機械化されています。

③-1 田植機で植える

田植機は田んぼを走りながら苗を等間隔に次々と植えていきます。

③-2 苗は同じ間隔でまっすぐ植える

育った苗を3~5本まとめて1株にして、田んぼに植えていきます。苗をきれいに整列させて植え、苗と苗の間隔が一定になるようにします。そうすることで後の草取りや収穫の作業がしやすくなるといった利点があります。

③-3 直接種をまく直播栽培

近年、苗作りのコストを抑えたり、苗運びの労力軽減のために田んぼに直接種をまく、直播栽培をする人も増えています。直播栽培には代かき後に種をまく湛水直播と、畑状態で種をまき、水を入れる乾田直播があります。

③-4 田植えと同時に肥料をまく

苗の成長に必要な肥料を田植えと同時に行えます。機械化のおかげで労力の軽減がなされました。

プロセス ❹ 田んぼの水を管理する ~ 水管理 ~

田植えから収穫までは、田んぼの水量の調整は米作りにとってとても大切な仕事です。水が多すぎても少なすぎても、おいしい米はできません。

    ④-1 稲に水を与える理由は

  1. 稲の成長に必要な水分を補給すること。
  2. 水は大きな保温力を持っており、稲を低温から守ります。
  3. 雑草の発生を抑えます。

しかし、稲が使う水はわずかで、ほとんどの水は水田自体から蒸発したり地下にしみ込んだりするので、水位の調整はしっかり行なわければなりません。
また、稲の成長に合わせて、意図的に水を抜いて田を乾かすなど、こまめな水管理を行わなければなりません。

プロセス ❺ 稲を守る ~ 中間管理~

おいしい米作りのためには、稲が順調に育つ過程の中で稲に悪い影響を与える雑草や害虫、病気などから稲を守らなければいけません。

⑤-1 雑草から守る

雑草が生えると、肥料の養分を奪われるだけでなく、太陽の光を遮られ発育を妨げられます。雑草量が増えるにつれ稲の収穫量は急速に低下するので、時期に応じた除草を行います。

除草剤散布機を使った除草: 田植えと同時に農薬が散布できます。水田の中での作業でもラクに行えます。この作業は除草効果と併せて、土の中のガス抜きや有機物の分解を促すので、稲の生育を良くする効果があります。

⑤-2 病気を予防する

害虫から稲を守ることを防除といいます。稲が病気にかかりやすい時期の直前に薬をまいて、稲が病気になるのを防ぎます。

農薬の空中散布: 昨今ではラジコンヘリコプターやドローンなどで空中から農薬散布を行うやり方が普及しています。労力の軽減が図れます。

⑤-3 あぜの草を刈る

あぜの雑草は害虫の住み家になります。それを無くすためにあぜに生える雑草を、草刈機でこまめに刈取ります。

プロセス ❻ 米を収穫する ~ 刈取り・脱穀・乾燥・調製 ~

稲の穂が黄金色に変わると、収穫の季節です。コンバインを使って稲を刈取ります。乾燥機に移し、もみすりを行い、調製作業をすれば、いよいよ食卓に登場するご飯になります。

⑥-1 刈取りのタイミング

稲は収穫の時期が近付くと穂についたもみが大きくなり、穂はもみの重さで垂れ下がってきます。また、葉や茎、そして穂が緑色から黄金色に変わってきます。収穫の数日前に、田んぼから水を抜いて土を乾かしてから、よく晴れた日を選んで収穫します。

⑥-2 コンバインで刈取り、脱こく、選別

コンバインは稲の刈取り、穂からもみをそぎ落とす「脱こく」、残った茎や穂の部位をより分けて、もみだけをタンクにためる「選別」の作業を一気に行います。また、小さな田んぼやコンバインが入っていけない山間の田んぼでは、刈取りと刈取った稲穂を束ねるバインダと、脱こくを行うハーベスタが使われています。

刈取り: コンバインでの刈取り作業。手刈りよりはるかに速く刈取ります。
もみだけをトラックに排出: 脱こく・選別をしてタンクにためたもみを運ぶためにトラックに排出します。

⑥-3 機械で乾燥させる

刈取ったばかりの水分の多いもみには21~27%の水分がふくまれています。この状態ではもみ殻を取り除くことができないため、水分を15%前後まで落とします。今はほとんどの場合、乾燥機という機械で乾燥させます。

⑥-4 もみから玄米へ

乾燥させたもみは機械を使ってもみ殻を取り除き玄米にします。この作業を「もみすり」といいます。もみすりが終わった玄米は、ごみなどを取り除いたあと袋詰めにします。(この状態ではまだ「ぬか」と「胚牙」が残っています)

⑥-5 精米工場で精米する

玄米から「ぬか」「胚芽」を取り除く作業が精米といい、それにより「白米」になります。通常スーパーマーケットや米屋で販売されているほとんどが「白米」です。こうした白米の多くは玄米の状態で保管していた倉庫から精米工場に運ばれ、精米されて袋詰めされてから出荷されます。

⑥-6 買われた人が自分で精米する

精米工場で精米された白米ではなく、玄米を買うこともできます。玄米で購入し自分で必要な時に精米することで、いつでも新鮮な白米を食べることができます。

1890(明治23)年創業。水道用鉄管の国産化に成功し近代水道の整備に貢献。農業機械による食料増産と省力化、環境施設による人類と環境の調和など、食料・水・環境分野の課題解決に向けた事業を展開している。

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