Kubota×下町ロケット Kubota

Kubota×下町ロケット

宇宙(そら)から大地へ 『下町ロケット』新シリーズの舞台は農業!
佃製作所の新たな戦いの舞台となる農業機械の提供、さらにはシナリオ制作や機械操作などのドラマ演出の技術監修に参画してくださっている株式会社クボタさんが、『下町ロケット』をより深く楽しむために、農業機械や技術に関して解説してくださいます!!
視聴者のみなさんも疑問があれば、「疑問・質問を募集」に書き込んでください。

第5回 日本の農業機械の軌跡 <農機メーカー クボタの足跡>

第6話からは、第2章「ヤタガラス編」がスタート!
今まで人の手でやっていた農作業を機械が自動で行ってくれたら…。
帝国重工の財前部長は、農業の現実を目の当たりにし、“危機的状況を救いたい”と「無人農業ロボット」の開発を提案しましたね。佃の大学時代の友人で、現在は北海道農業大学の教授であり、無人農業ロボット研究の第一人者・野木も登場!宇宙だけでなく、大地も本格始動しました。

牛馬による耕うんから機械化へ

日本の農耕の歴史は昭和20年代の半ばまでは人力や牛馬により農耕が行われていました。戦後になって石油発動機が本格的に普及しはじめて、脱こく機や籾すり機などの生もみから玄米にする過程の機械化が進められました。動力耕うん機(トラクタ)や動力噴霧器が開発され、機械化がめざましく進展していきました。そののち田植機、バインダー、コンバインの開発により、稲作の機械化一貫体系が完成しました。
農業機械開発の技術開発が進んだ昭和20年代からその背景と概要をご紹介しましょう。

大正11年代_1922年~ 農機の源流。石油発動機の誕生

大正12年(1922年)日本で初めてクボタが石油発動機を製作。以来急速な進展を遂げすでに戦前においても「発動機のクボタ」として広く知られていました。石油発動機はクボタ農機の源流となります。

クボタの開発した農工用発動機第1号。

昭和20年代_1945年~ 脱こく、籾すり作業の機械化、耕うん機の誕生

昭和20年代の後半から、牛馬にかわる動力源として農業用エンジン(石油発動機)が普及しはじめました。このエンジンは揚水用のポンプや脱こく機、籾すり機の動力として使用されました。昭和22年(1947年)には耕うん機を開発。農業機械化の夜明け前ともいえる時代にあって、業界の先駆者として名乗りを上げました。

昭和32年頃の脱こく作業。クボタ堺工場近郊

耕うん機第1号機(クボタロータリ式耕うん機)

昭和30年代_1955年~ 農家を支える。国産初のトラクター誕生。

高度成長に沸く首都圏への大規模な人口流出により、地方は深刻な労働力不足に陥っていました。昭和35年(1960年)農村部を支えるため、クボタは畑作用と水田用の国産トラクターを開発します。

国産初の畑作用乗用トラクタT15形

昭和30年代_1955年~ 開発者精神

1956年頃から、欧米製の大型トラクターが北海道を中心に導入されました。しかし、日本の農業のスケールに合わなかったため、クボタは日本独自の作業性と経済性に適った構造・機能を徹底的に追求します。研究者らは農家に長期間泊まり込み、農家のニーズを一つひとつ解明。1960年にエンジン・車体ともニーズに合った純国産の畑作用乗用トラクタT15形が完成。また、耕うん機の開発で培った技術を結集し、1962年には水田用乗用トラクタL15R形も誕生。このようにして、クボタは農業労働力の創出を支援してきました。

国産初の畑作用乗用トラクタT15形

昭和40年代_1965年~ 移植・収穫作業の機械化と「乗る農業」への転換
小型バインダーの誕生

高度経済成長後、農村部の労働力は減少の一途をたどります。兼業農家、あるいは高齢者や女性が農作業の担い手となるケースが増加し、農機の需要と農業機械化への要望は膨らみ続けました。こうした農家の現状に寄り添い、バインダー(稲麦刈取結束機)の開発に着手していたクボタは、10年の試行錯誤を経て1965年、業界に先駆けた自動結束式3条刈バインダーHC75形が完成。人力の15倍もの作業能率をもたらす待望の製品として、本格販売を熱望する反響を日本全国から獲得しました。

刈取機HA1形のテスト。完成に至るまで10年もの歳月を要した

小型バインダーは刈取作業の能率を飛躍的に向上させた

昭和40年代_1965年~ 田植機の誕生

田植え作業の機械化は、稲作農家にとって長年の夢でした。明治時代からさまざまな試みがされましたが、どれも実用には至らず、開発は困難を極めていました。そこでクボタは他社の方式とは異なる、育苗箱を使用した「ばらまき育苗方式」による「土付苗田植機」に注力。1968年にSP形を開発、翌年には歩行形田植え機の原型となる1輪2条植えのSPS形を発売、1970年に量産を開始しました。

クボタの田植機SPS形は、のちの田植機の原型となった

昭和40年代_1965年~ 「乗る農業」への転換期

1971年に発売された超小型4輪駆動トラクタ・ブルトラB6000(通称ブルトラ)は水田などのぬかるみに強い四輪駆動を採用し、現場で高い評価を獲得。その後、四輪駆動はトラクタの標準技術となるほど、業界に大きな影響を与えました。同年発売の2条刈コンバインHX55は、手作業でのあぜぎわ刈り解消を実現し、コンバイン普及の起爆剤となりました。時代は「歩く農業」から「乗る農業」への転換期を迎えました。

B6000当時のカタログ。四輪駆動であることが強調されている

昭和50年代_1975年~ 新技術を駆使しハイテク製品を市場に投入

クボタはメカトロニクスの技術も駆使し、業界を先導し続けます。市場を席巻し、トラクタ総生産100万台超えの立役者となった「サンシャインモンローマチック」は、電子制御技術と油圧技術の組み合わせで、新しい価値を農業の現場に実現しました。

最先端電子制御技術を取り入れ、作業機を水平に制御するモンローマチック機構

平成20年~_2008年~ クリーンで低燃費。世界の農家で使われるクボタ製。

国内農業は労働力減少が進み、米価下落などもあり、コストの低減は喫緊の課題に。一方、グローバル戦略を掲げたクボタは世界にも目を向けるようになりました。日本だけでなく、世界の農家を支えたい。国内外の課題を解決すべく、クボタは動きだしました。

世界有数のコメ消費国フィリピンの稲作を支えるクボタのコンバイン

近 年 最新テクノロジーで顧客の課題解決。

業界最高峰の食料生産技術と独自のICTシステムを融合し、前人未到の貢献を。日々進歩しつづけるテクノロジーで農家の本当の課題に寄り添えるのがクボタの強み。農業機械をリードしてきたクボタが、さらなる次元を創造する次世代機の開発に打って出ます。

自動運転機能搭載のトラクタ・田植機・コンバイン

食味検知コンバイン

クボタの幅広い研究領域の連携が実現した、業界初の“味の分かる”コンバイン 

収穫作業時に収量だけでなく、食味も測定可能にしたい。2012年、コンバイン開発部門が、社内の計測システム開発部門に要請。食味の決め手であるタンパク質と水分含有率のデータが得られれば、農家は翌年の作物と肥料を計画的に改善できることに着目。開発の道のりは険しく、技術部門・営業部門は連携して全国の圃場にて、2週間~1か月間隔でコメや大麦・小麦の分析と検証を繰り返し、3年間に3,000以上の検体を精査。2014年、食味・収量センサ搭載コンバイン「ダイナマックスレボ」は完成するや否や、多くの農家からこれを求めていた!との反響を得ました。

食味・収量センサーにより、収穫と同時に作物の品質データを取得できる

スマート農業

農機と連動、現場をリアルタイムサポート。精密農業を実現するKSAS

2014年、対応農機などから得たビックデータを活用したICTサービス「KSAS」(Kubota Smart Agri System)の提供を開始。農業経営者と作業者、クボタのサービス部門はリアルタイムにシステムでつながることが可能に。作業記録や営農データの蓄積と取り出し、農機の稼働状況の共有などが瞬時に実行されます。しかも現場が当日の圃場を見て、急きょ判断した計画の修正も双方向にフィードバックできるのが強みで、臨機応変な経営設計が可能になりました。収益向上、市場に対して製品価値の高い農産物、競争力ある営農を生み出すために、KSASは今も改良が進んでいます。

蓄積したデータを活用し、効率よく作業をすることができるKSAS

満を持してGPS農機投入。革新的田植え機が市場と圃場をまっすぐ堂々快走する

2016年、クボタは農機へのGPS搭載に挑みました。「ファームパイロットシリーズ」と称したGPS農機第一弾は、直進キープ機能付田植え機。田植えは、稲作作業の中でも、特に高い精度と熟練した技術が求められる工程です。簡単にまっすぐ田植えができる直進時自動操舵機能により、未熟練者でも簡単に作業ができるだけでなく、熟練者も直進操舵のストレスから解放され作業負担を軽減することが可能になります。

熟練した技術がなくてもまっすぐ田植えができる自動操舵技術

自動運転技術

自動運転技術が実現する未来農業。次世代農機が農業の在り方を変える。

高齢化を迎えた日本では、担い手農家の数が減る一方、農家1戸当たりの圃場は拡大しています。そこで発生する問題が人員の確保。熟練した技術を持った人員の確保が難しい現状を打破すべく、クボタが打つ次なる一手は農機の自動運転。2017年1月、クボタは開発中のトラクタ・コンバイン・田植え機の自動運転技術を披露し、その後一部を製品化しました。農機が自動で耕し、植え、収穫する。これこそ、未来農業の理想の在り方。農業の省力化・高精度化・低コスト化を実現する、この次世代農機を一刻も早く普及させるべく、クボタは技術開発に邁進しています。

自動運転で耕うん作業を行うトラクタ

1890(明治23)年創業。水道用鉄管の国産化に成功し近代水道の整備に貢献。農業機械による食料増産と省力化、環境施設による人類と環境の調和など、食料・水・環境分野の課題解決に向けた事業を展開している。

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