水戸黄門大学

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パナソニックドラマシアター水戸黄門 40周年第40部記念 スペシャルコンテンツ



うずまさ通信

/撮影所で働く、こだわりの職人さんたちをご紹介します

File.9【殺陣(たて)】

上野 隆三(うえの りゅうぞう)さん

時代劇の立ち回り、いわゆるチャンバラシーンを演出するのが殺陣師(たてし)。
その殺陣師の一人で、里見浩太朗さんと同じ1956(昭和31)年に東映に入社した上野隆三さんにお話を伺いました。
殺陣師の仕事

立ち回りで大切なのは、刀が振り下ろされてきた時に体(たい)さばきが自然にできること。
そのために、あまり立ち回りの経験がない俳優さんには、まずバレーボールを使って反射神経を身につけてもらいます。
こちらが投げたバレーボールを、腰を入れてスッとかわさせるようになるための訓練ですね。
それがある程度できるようになったら、木剣(ぼっけん)を使って打ち込みの素振り。慣れていないと無駄足ばかり踏んですぐに足の裏の皮がめくれてしまうんです。
3日目くらいからは筋肉痛がひどくて道場に来られなくなる人もけっこういますよ。
それだけ日常生活とは違う足腰の筋肉を使うわけです。
そして、体に木剣がなじんできたら初めて手をつけてやります。
斬る役、斬られる役を段階に分けて教えていきますが、腰の落とし方や後ろに下がるステップ、その際の重心の配分などがポイント。
稽古は一日4〜5時間で、勘のいい人なら2〜3日でも上達が見られますし、逆に運動神経は良くても筋肉がない人は走り込んで筋肉をつけることからやり直してもらうことも。
基礎がしっかりしていなとケガのもとになりますからね。
立ち回りの動きがある程度できるようになったら、衣裳をつけての稽古。
裸足と違って足袋(たび)や草履(ぞうり)をはいての立ち回りは滑るから、それに慣れるためです。
走るだけのシーンで草履が脱げてしまう人も多いんですよ。
演出のこだわり

殺陣をつけるうえでの僕のモットーは、自分の年齢は忘れて役の年齢を忘れないこと!
原田君や合田君に今の僕の年齢の殺陣をつけたらおかしいでしょう?
彼らにも助さん格さんらしく若さを出して思いきりやりなさいと言っています。
実際、僕が彼らの年齢の時には階段から転げ落ちたり屋根の上で立ち回りをしてそのまま落っこちたり、むちゃくちゃやっていました。
まぁ『水戸黄門』ではそういう芝居は必要ないですけどね(笑)。
それから、立ち回りにも品というものがあります。
ヒーローなのにヤクザっぽい喧嘩剣法になってしまったり、例えば柳生十兵衛の役なのに殺陣の腕がなければ柳生新陰流ではなく、いつの間にか自分流になってしまう。
ひと口に殺陣といっても、そんな風に気をつけなければいけないことがいっぱいあるんです。
殺陣が上手になりたいという人には、僕は日本舞踊を勧めています。
足のさばきがきれいだし、腰も据わっていて隙がない。足腰も強くなりますからね。
僕も子どもの頃、日本舞踊が大好きだった母親に無理やり習わされていたんだけど、この仕事をするようになって役に立ち、本当に感謝しています。
それと俳優さんだけでなく殺陣師自身もやっぱり勉強が大事。
日本に殺陣師と名のつく人は大勢いますが、いろいろな武器や技を使いこなせる人は少ないんじゃないかな。刀だけではなく、薙刀(なぎなた)や槍(やり)、居合い、空手…。自分がそれらを習得したうえで、必要に応じて殺陣をアレンジして見せていかないとね。
エピソード

僕は里見さんと同じ1956(昭和31)年に東映に入社したので、もう53年ご一緒しています。
当時はこんな立派な道場なんてなかったから、立ち回りの稽古は外のオープンセットの空いたところ。当時の冬は今よりもはるかに寒かったんだけど、里見さんも氷の上で裸足で木剣を振っていましたよ。
時間を見つけては馬に乗る練習や日本舞踊、時には一枚歯の高下駄で六方(ろっぽう)を踏んだり(六方:勇壮さを誇張した歌舞伎の歩き方で、大きく手を振り高く足踏みをする)。お互い真冬でも浴衣が汗びっしょりになるほどやりました。だから里見さんの立ち回りは基礎作りから違うんです。
最近の俳優さんは忙しくて時間をとるのはなかなか難しいけど、殺陣が初めての方はできれば1カ月は稽古を続けてもらいたいですね。
それでも実際に撮影現場で出せるのは、稽古の20%とか30%くらいの力。
みんな現場で何度も何度もNGをもらって、その感覚を体で覚えていくわけです。
それと僕が常々感じているのは、仕事は楽しもうという気持ちが大切ということ。殺陣に限らず、やっぱり仕方なくやっていたらいい結果は出ない。
仕事は絶対に楽しむことです!
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