2019年4月スタート

用語解説

第9話

【 サナダムシ 】

サクラマスやトキシラズといった魚や食肉を感染源とする条虫。日本海裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫など。成虫は10メートルを超えることもある。消化管に寄生し、感染すると、腹痛や下痢を起こすこともあるが、ほとんどの場合で症状はない。アレルギー、内臓疾患、消化器疾患、精神疾患、肥満の改善に役立つ、という研究報告もある。

【 マールブルグウイルス 】

1967年にドイツのマールブルグとフランクフルト、セルビアのベオグラードで同時に確認されたウイルスで、マールブルグ病(またはマールブルグ熱)という出血熱を引き起こす高病原性のウイルス。発見後、長らく自然宿主が不明とされていたが、アフリカに生息するコウモリが感染の媒介となっていることが突き止められた。治療法やワクチンがなく、致死率は場合によっては90%近くになることもある。

【 クリミア・コンゴ出血熱ウイルス 】

急性熱性疾患を引き起こす高病原性のウイルス。ウイルスを持ったダニに噛まれたり、家畜を解体する際に血液に触れることによって感染の危険性がある。アフリカ、中央アジア、中東、東欧など広範囲で発症が確認されている。治療法やワクチンがなく、致死率は非常に高い。

【 天然痘ウイルス 】

非常に強い感染力、罹患率、致死率で、紀元前から恐れられていたウイルス。全身に膿疱を生ずる。1958年にWHOが世界天然痘根絶計画を立ち上げ、1980年には根絶宣言が出された。以降、感染者は発見されていない。人類史上、初めて撲滅に成功した感染症である。現在は、米国アトランタとロシアのノボシビルスクのBSL4施設でウイルスが厳重に保管されている。

【 セリアック病 】

自己免疫疾患のひとつ。遺伝的要因が大きいと考えられている。グルテンを含む小麦、大麦、ライ麦などから作られた食物を摂取すると、免疫が応答し、自身の小腸の粘膜を傷つけてしまうのが特徴。そのため、栄養が正常に吸収されなくなり、腹痛や下痢の症状が続く。グルテンを除去した食事を摂ることで症状は回復する。通常、欧州で多くみられ、アフリカや日本では非常に稀な疾患。

【 南方熊楠 】

和歌山県出身の博物学者。生物学、民俗学、粘菌学など、分野の枠を超えた学者でもあった。18ヶ国語を操り、論文を書き、世界各国の様々な分野の学者と議論をたたかわせていた。しかし、組織を嫌い、地位を求めず、生涯を在野で過ごした。

※ 相羽漬け

高家の故郷・栃木県相羽村の郷土料理のひとつ。地産の葉野菜を漬けた漬物で、高家も小さい頃から食べていた。架空の村の架空の郷土料理。

監修

嘉糠 洋陸(Hirotaka Kanuka)

東京慈恵会医科大学教授。1997年東京大学農学部獣医学科卒業、2001年大阪大学大学院医学系研究科修了、2011年から現職。専門は寄生虫学、衛生動物学。

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