2019年4月スタート

用語解説

第3話

【 ベニクラゲ 】

世界中の温暖な海に生息する、数ミリ〜1センチほどの小さなクラゲ。
一定の成体になると、そこから人間で言う赤ん坊の状態に生まれ変わるため、地球上に存在する動物の中で、唯一若返り能力を保持しているとされる生物。
なぜ若返るのかというメカニズムはまだ解明されていないが、テロメアーゼという酵素を分泌し、細胞分裂を永遠に行えるような生態であるとされている。このメカニズムの解明が、寿命延長のカギとみて世界各国の研究機関がこぞって研究に乗り出している。

【 テロメア 】

染色体の末端にある構造で、染色体が擦り切れないように保護する作用がある。
しかし、細胞分裂を重ねるとどんどん短くなり、なくなってしまうと細胞分裂が停止して、細胞は死滅する。また、テロメアの短縮は高ストレス、喫煙、肥満などでも促進される。そのため、テロメアの短縮を抑制することで、細胞の寿命を長らえる効果が期待されている。

【 テロメラーゼ 】

テロメアに新しい塩基配列を追加し、テロメアが短くなるのを防ぐ酵素。
癌細胞,生殖原細胞(精母細胞,卵母細胞),胎児組織等で発現し,細胞分裂ごとにテロメアの長さが短縮しないよう調整する役割を担う。

【 アカエグリバ 】

蛾の一種。前翅は赤褐色で葉脈のような筋があり、枯葉そっくりに擬態する。

【 ウェルナー症候群 】

思春期を過ぎる頃より急速に老化が進んでしまう「早く老いる」病気=早老症のひとつ。
20歳代から白髪、脱毛、白内障等が起き、手足の筋肉や皮膚も痩せてしまう。世界各地で約3千人以上の症例が報告されており、そのうち約6割が日本人。5~6万人に一人の難病で、未だ根本的な治療法は見つかっていない。

【 クロイツフェルト = ヤコブ病 】

神経難病のひとつ。100万人に一人の割合で生じる非常に珍しい疾患で、治療法は見つかっていない。抑うつ、不安などの精神症状で始まり、記憶力低下、計算力低下、行動異常、性格変化、無関心、など進行性認知症、運動失調等の症状が発現する。そして、発症から1年~2年で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡する。
経気道、経口感染はないとされるが、大量の病原体を経口摂取した場合や、患者からの角膜や硬膜の移植による発症が報告されている。

監修

嘉糠 洋陸(Hirotaka Kanuka)

東京慈恵会医科大学教授。1997年東京大学農学部獣医学科卒業、2001年大阪大学大学院医学系研究科修了、2011年から現職。専門は寄生虫学、衛生動物学。

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