特集

2024年1月7日放送「紀伊山地の霊場と参詣道、嚴島神社、平泉」

新春特別企画 四季で巡る日本の聖地

世界遺産の中には、さまざまな信仰の場「聖地」があります。2024年最初の放送は、日本の世界遺産にある聖地から厳選した4カ所を、4つの季節で紹介する特別企画です。番組を担当した小高ディレクターに話を聞きました。

信仰が生んだ吉野の桜の絶景

春夏秋冬で日本の聖地を巡る今回の世界遺産。まずは桜の絶景で知られる、「紀伊山地の霊場と参詣道」の吉野からです。

──今回は、「四季で巡る日本の聖地」というテーマの新春特別企画ということですが、それぞれの季節でどういった世界遺産が取り上げられているのでしょうか?

小高ディレクター(以下、小高):春は「紀伊山地の霊場と参詣道」の吉野、夏は「嚴島神社」、秋は「平泉」、冬は再び「紀伊山地の霊場と参詣道」で高野山です。

「聖地」と呼ばれる日本の世界遺産4カ所を春夏秋冬に撮影しました。

──実際の取材はいつから始まったのでしょうか?

小高:2023年春、吉野の撮影から始まりました。実は私はその春に、別の番組から世界遺産へ変わったばかりのタイミングでした。

──世界遺産の前はどのような番組を担当していたのですか?

小高:バラエティー番組を担当していました。5年ほど前、ある俳優の方が行ってみたい世界遺産を紹介する企画のディレクターになったのですが、そのときに勉強のために過去の世界遺産の映像を見て、すごい番組だと思い、世界遺産のディレクターをずっと希望していました。その夢がやっと叶いました。

──憧れの番組のディレクターになって、いきなり新春特別企画の担当とは、プレッシャーはありませんでしたか?

小高:この企画の担当と言われて、あまり深く考えずに「わかりました」と答えたのですが、やってみるとやはり大変でした(笑)。まず日本の聖地を紹介しようというところから企画が出発したのですが、聖地の世界遺産と言っても漠然としてしまう気がしたので、より関心を持ってもらうために季節と組みわせることになりました。季節ごとに異なる場所で異なるタイミングを調整しながら段取りから実際の取材を進めていくのは難しかったです。

──それは本当に大変ですね。具体的にはどのような映像が見られるのでしょうか?

小高:まず春は、吉野の桜です。吉野には3万本もの桜があり、古くから桜の名所として知られています。なぜ吉野にそれほど多くの桜があるのかというと、修行をする人やお参りに来た人が、ご神木である桜の木を植えていったからなのです。桜の満開から散りぎわの時期を狙って、小型ドローンで桜の枝の間を通り抜ける映像や、ドローンが花吹雪の中を飛ぶ映像などを撮影しました。

吉野山の尾根尾根を埋め尽くす桜。古くから桜の名所として知られています。

──吉野の桜が信仰によるものとは知りませんでした。

小高:修験道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が、吉野山での修行で感じ取った蔵王権現の姿を山桜の木に刻んだという伝説から桜がご神木となったと言われています。吉野山にある金峰山寺の本尊金剛蔵王権現という秘仏も紹介します。高さ7メートルもある迫力ある姿をカメラに収めました。憤怒の形相で魔を威嚇しつつ、青い体で大きな慈悲を示しているという3体の蔵王権現の姿は必見です。

吉野山の中腹にある金峯山寺の秘仏本尊金剛蔵王権現。蔵王権現への信仰が吉野の桜を生みました。(国宝仁王門修理勧進のため、毎年一定期間ご開帳されています)

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