特集

2024年1月7日放送「紀伊山地の霊場と参詣道、嚴島神社、平泉」

見れば行きたくなる世界遺産の聖地

美しい景色と長い信仰の歴史を持つ聖地である、嚴島神社、平泉、高野山。それぞれを特別な映像でご紹介していきます。

──夏の嚴島神社の見所を教えてください。

小高:嚴島神社がある宮島は「神の島」と呼ばれ、島全体が聖域です。嚴島神社といえば海に浮かぶ大鳥居の景色が有名ですが、その背後にそびえる山、弥山が信仰の対象なのです。青い海と弥山の緑を収めたワイドな夏らしい映像にこだわり、さまざまな撮影を試みました。例えば、ドローンの飛行高度です。ドローンが飛行可能な高度は通常、地上150mまでなのですが、それだと高さが足りないので高高度飛行の許可を撮って撮影しました。おかげで弥山のある宮島全体の絶景を撮影できました。あと宮島では、大聖院という島で最も古い寺院にある「きえずの火」も見所の1つです。

──「きえず」ということはずっと火が消えずに燃えているということですか?

小高:はい。1200年前に弘法大師空海が弥山で護摩修行をした際に残った火がいまも灯し続けられているのです。毎朝早く、寺の方が「きえずの火」に薪を足すのですがその様子を特別に取材させてもらいました。前日から弥山に登り、大聖院の宿坊に特別に泊まって撮影することができました。

島全体が聖域の宮島。嚴島神社の背後にそびえる弥山では、1200年間途絶えることなく「きえずの火」が灯され続けています。

──1200年間も燃え続けている火があるとは、さすがは「神の島」ですね。次の聖地「平泉」はどんな信仰の場所なのでしょうか?

小高:世界遺産「平泉」には、奥州藤原氏によって仏教の浄土思想に基づいて築かれた寺院や庭園があります。もちろん紅葉の景色を狙って取材しました。ところがこの秋は気温が記録的に高かったため、なかなか紅葉が進まず撮影のタイミングに苦労しました。まだかまだかと待って、ダメもとでも撮ろうと判断して行ったところ、ちょうどいいタイミングでした。

──それは運が良かったですね。どのような紅葉の景色が撮影できましたか?

小高:奥州藤原氏によって営まれた寺院、中尊寺の参道で見事な紅葉が見られました。ほかにも、毛越寺の庭園の撮影でも幸運に恵まれました。庭園を撮影可能なのは朝の時間に限られていて、秋の朝は通常は濃い霧が出てしまうのですが、その日は晴れて、毛越寺の方が感動するぐらい美しい紅葉の映像が撮れました。まさに奥州藤原氏が表そうとした「浄土」の景観だと思いました。

地上に仏の国をつくろうとした平泉。その秋の景色はまさに「浄土」を表していました。

──春夏秋と来ました。最後の冬の高野山はどういったところが見所ですか?

小高:高野山は、嚴島神社でも話に出てきた弘法大師空海が1200年前に開いた聖域で、標高900mほどの盆地にあります。山の上なので、冬は厳しい寒さになります。注目したのは、高野山の中でも重要とされる場所、奥之院を流れる川です。川の中に、卒塔婆が立てられていて、川の流れが人々の霊を清め、供養するとされています。またその川では真冬に水行が行われていて、その厳しい苦行の様子もお見せします。雪に覆われた高野山は本当に美しい世界なのですが、同時に厳粛な信仰の地であることを実感できる映像だと思います。

美しくも厳しい高野山の冬。水行によって身を清め、祈りを捧げる人たちがいました。

──どの聖地も素晴らしい映像が見ることができそうで放送が楽しみです。新年最初の放送をご覧いただく視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

小高:今回、取材に行った聖地はどこも多くの人で溢れていました。コロナ禍も終わった今、日本の世界遺産に行ってみようと考えている人が増えていると思います。この新春特別企画を見ていただき、日本の伝統や四季の素晴らしさを感じて、「今年はこの世界遺産に行ってみたいな」と思ってもらえたら嬉しいです。

日本の「聖地」世界遺産の春夏秋冬を捉えた絶景の数々をお見せします。

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