特集

2023年7月9日/7月16日放送「ヴァトナヨークトル国立公園」

ここでしか見られない大自然のアート

広大な氷河と火山の噴火の組み合わせは、ここでしか見られない、さまざまな絶景を生み出しています。

──今回は2週にわたって「ヴァトナヨークトル国立公園」を紹介するとのことですが、他にはどんな映像を見られるのでしょうか?

江夏:2週目も数々の絶景をお届けします。まず氷河の大地に広がる不思議なマーブル模様をご覧ください。この模様を生んだ要因のひとつは火山灰です。まず噴火による火山灰が氷河の上に積もり、黒い層ができます。次に冬に雪が降って氷の層ができ、夏になると氷河の上に埃などが溜まり再び黒い層ができます。このような事の繰り返しで黒白の層を持つ氷河ができたのです。その表面が凸凹に溶けたことで不思議な模様が現れました。火山と氷河がある場所だから見られる、世界的にも珍しい現象です。

火山と氷河が同じ場所にあるからこそ生まれたマーブル模様。自然が生んだアートです。

──火山と氷河によって生み出されたアートですね。

江夏:火山が産んだ地形も実にユニークです。アイスランドはプレートの境目に位置しているのですが、その境目に沿って噴火が起こるので、火山が列になって並んでいるのが特徴です。ヴァトナヨークトル国立公園の西端にあるラゥンギショゥル湖は直線状に並んだ2つの火山列の間に、氷河が溶けた水が溜まってできた湖です。また、その近くにある別の火山群、ラカギガル火山列は世界の歴史に影響を与えた噴火で知られています。この火山列が誕生した1783年の大噴火では、膨大な量の火山ガスが噴出しました。そのガスが原因となって気候の寒冷化が起こり世界各地で大飢饉が起こったのです。

山々が真っ直ぐに連なる火山列。プレートの境目での噴火が作り上げた独特な景色です。

──すごい規模の噴火だったのですね。現在はどんな様子なのですか?

江夏:現在、噴火はありません。当時流れ出した溶岩でできた土地にはいまだ木が生えてきておらず、分厚く柔らかい苔に覆われています。ラカギガルの噴火で流れ出た膨大な溶岩は、海岸近くまで達していて、苔に覆われた溶岩の大地が広がっています。一方、氷河が海に達している場所でも印象的な景色がありました。海に面した氷河湖では、巨大な氷山がいくつも湖に浮かんでいるのですが、その中に大きなトンネルが開いたものがありました。これは、氷河の中の水が流れた水路の跡なのです。

火山から流れ出た溶岩の大地には、いまだ木が生えず苔が分厚く生えています。

──氷河内部の巨大水路が見られるのはすごいですね。

江夏:最後に氷山は海へ流れ出るのですが、その付近の海岸は「ダイヤモンドビーチ」と呼ばれています。海へ流れ出た後、砕けて海岸に流れ着いた氷の欠片が光を浴びて砂浜でダイヤモンドのように輝いているのです。海岸の砂は溶岩が砕けたもので黒く、その黒さが氷の輝きを際立たせて、非常に美しい景色が見られます。

──黒い海岸に氷が煌めく景色、オンエアが楽しみです。最後に視聴者へのメッセージをお願いします。

江夏:繰り返しになりますが、氷河の世界遺産も、火山の世界遺産も数多くありますが、その両方があるのはとても珍しい場所です。私だけでなく、世界遺産のベテランスタッフも「見たことがない」と驚いた景色をたっぷりお届けしますので、ぜひお楽しみください。

海岸に氷河は氷山となって氷河湖から海へ流れ出ています。溶岩が砕けた黒い砂浜には、欠片となった氷が光り輝いています。そのほかにもアイスランドならではの絶景の数々をお届けしますのでお楽しみください。

BACK TO PAGETOP