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2023年2月12日放送「18世紀のカゼルタの王宮と水道橋」

ナポリ王が作った夢の宮殿と大庭園

イタリア・ナポリの郊外にある文化遺産「18世紀のカゼルタの王宮と水道橋」は、18世紀に作られた、ヨーロッパ最大の王宮、庭園、そして水道橋です。壮大なスケールで築かれた建造物を、特別な許可を得て撮影した数々の映像でご紹介します。取材を担当した日下ディレクターに話を聞きました。

ヴェルサイユを超える巨大な王宮と庭園

「ヴェルサイユ宮殿を超えよ」というナポリ王カルロ7世の命で建てられたカゼルタの王宮。ほかでは見られない壮大なスケールの宮殿が出来上がりました。

──今回の「18世紀のカゼルタの王宮と水道橋」とは、どのような世界遺産なのでしょうか?

日下ディレクター(以下、日下):ナポリ近郊の街、カゼルタにある王宮と庭園、そしてそこへ水を運ぶ水道が今回の世界遺産です。18世紀に、ナポリの王宮の機能を丸ごと内陸に移転させるために、当時のナポリ王カルロ7世の命令で作られました。王の夢は、「ヴェルサイユを超える宮殿を作る」ことだったそうです。

ナポリ王カルロ7世の「ヴェルサイユを超える」という夢を実現すべく作られたカゼルタの王宮。

──実際に「ヴェルサイユを超える」宮殿なのでしょうか?

日下:例えばカゼルタの宮殿は部屋の数が1200もあり、ヴェルサイユ宮殿の700を超えています。横幅247m、奥行き184m、高さ41mの5階建てで、30年がかりの大建築です。建設を命じたカルロ7世の息子の代になって、ようやく完成しました。特に注目なのは、エントランスです。映画などのロケに何度か使われている場所で、全部で116段にもなる大階段があり、訪れる者を圧倒します。今回は許可を得て、その空間に小型のドローンを飛ばして迫力ある映像を撮影しています。

小型ドローンなどを駆使して王宮の内部に広がる迫力の空間をお見せします。

──王の夢は息子の代で実現したということですね。

日下:ヴェルサイユ越えは王宮だけでなく、その奥に作られた庭園も奥行きが3kmとヨーロッパ最大級です。その中心を運河が貫いていて、噴水や人工の滝などが配置されています。

──奥行き3kmとは、これもまたスケールが大きいですね。

日下:はい。地上からは全体像を捉えるのが難しく、今回はドローンを駆使して撮影していますが、ドローンでもなかなか全体を映しきれず、何回かに分けて撮りました。それほど規模の大きな宮殿と庭園なのです。

──ドローンの空撮でも収まりきらないとは、相当な広さですね。

日下:ただ、撮影を分けたことで庭園をさまざまな角度から撮影することができました。注目なのが庭園の一番奥にある高さ83mの滝で、そこから運河に大量の水が流れ込んでいます。この滝は一見自然の岩肌を水が流れているようですが、人工的に作られたものなのです。

カゼルタの王宮の奥に3kmも伸びる庭園。中心を運河が貫き、彫像や噴水、滝などが配置されています。

──そんな滝まで築いてしまうとは、まるで王様が作ったテーマパークですね。

日下:そういう見方もできるかもしれませんね。庭園には、フランスやイタリア、イギリス、ローマ遺跡などのさまざまな様式が取り入れられています。そうした点もこの庭園の特徴ですのでご注目ください。

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