特集

2021年7月18日「イルリサット・アイスフィヨルド」

海に浮かぶ氷の芸術 氷河が生んだ巨大氷山

北極圏に位置する世界最大の島、デンマーク領グリーンランド。この島には、北半球で最も多くの氷山が生み出される場所があります。それが世界遺産「イルリサット・アイスフィヨルド」です。番組を担当した柳沢ディレクターに美しく雄大な氷山に迫る話を聞きました。

入り組んだ入江を埋め尽くす氷山

イルリサット・アイスフィヨルドの氷河は、フィヨルドを埋め尽くすほどの多くの氷山を生み出します。ここで大量の氷山ができる理由は、氷河の流れる速度にありました。

──今回の「イルリサット・アイスフィヨルド」とはどんな世界遺産ですか?

柳沢ディレクター(以下、柳沢):デンマーク領グリーンランドの西海岸にある、氷河とフィヨルドの自然遺産です。イルリサットというのはこの世界遺産に隣接する町の名前で、フィヨルドとは氷河によって削られてできた複雑に入り組んだ入江のことです。

北半球で最も多く氷山が生まれる「イルリサット・アイスフィヨルド」。イルリサットとは隣接する街の名前です。

──氷河やフィヨルドの自然遺産はほかにもいくつか登録されていますが、このイルリサット・アイスフィヨルドにはどんな特徴があるのでしょうか?

柳沢:山から海に向かって氷河が流れる速さが1日およそ19mと世界最速なのです。そのため、氷河から分離する氷山の量が北半球で最多になります。このフィヨルドはその氷山で埋め尽くされているので、「アイスフィヨルド」と呼ばれています。

イルリサット・アイスフィヨルドの氷河は、流れる速さが1日およそ19mと世界最速です。

──氷山で埋め尽くされている入江とはすごい景色ですね。

柳沢:はい。海面からの高さが30mを超す巨大な氷山がいたるところに浮かんでいます。こんな景色はほかでは見られません。

──30mというと、ビル10階分の氷の山ですか。ちょっと想像がつかないほど大きいですね。

柳沢:映像では船との比較でその大きさを感じていただけると思います。また実際に氷河が海に崩れ落ちて氷山になる瞬間の映像もお見せします。

まるで島のように巨大な氷山。海に浮かぶ船と比べると、いかに氷山のスケールが大きいかがわかります。

──氷山が誕生するシーンとは貴重な映像ですね。ほかにはどんな映像が見られるのでしょうか?

柳沢:注目していただきたいのでは、氷山の動きを見せる映像です。フィヨルドに漂う氷山は一見するとほとんど動いていないように見えるのですが、12時間かけて撮影した映像を早送りすると、ダイナミックにうねり生きているかのように行ったり来たりしていました。

──12時間もの撮影とはかなりの長時間ですね。

柳沢:撮影したのは5月でグリーンランドでは比較的暖かい時期でしたが、それでも平均気温が0℃ぐらいなので、交代でカメラに張り付いての撮影は本当に大変でした。苦労した甲斐があって、非常に面白い映像が撮れました。

番組では、巨大な氷山が誕生する瞬間や、海に浮かぶ氷山が動く様子12時間分を15秒ほどに早送りした映像など、氷山のさまざまな姿をお見せします。

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