特集

2020年4月5日/12日「インド洋の秘境 豊かな海とゾウガメの楽園を抱く環礁」

生態系の中心となる15万頭のゾウガメ

固有種のアルダブラゾウガメは、環礁の環境に適応し、さまざまな生物とも意外な関係を結びなら独自の生態系を築いています。

──前編は環礁の海がテーマでしたが、後編について教えてください。

小澤:後編は、環礁に住む15万頭ものゾウガメが主役です。アルダブラゾウガメというここだけの固有種で、大きなもので甲羅のサイズが1m以上、体重は300kgにもなる世界最大級のリクガメです。大きさを伝えるため、カメに近づいたり、私がカメラに一緒に収まったりして撮影しました。

固有種のアルダブラゾウガメ。大きなもので甲羅の長さ1m以上、体重は300kgにもなる世界最大級のゾウガメです。

──近くで見たゾウガメはどうでしたか?

小澤:横に立つとあらためてその大きさを感じます。でも、おとなしいので怖くはないです。島のいろいろなところにいて、ゆっくりと歩いていて、人間に対する警戒心がないので簡単に近づくことができます。

──ゾウガメというと、ガラパゴス諸島のものが有名ですが、アルダブラのものとのはどこが違うのでしょうか?

小澤:ガラパゴスゾウガメと大きさや重量は同じぐらいなのですが、種が異なっています。ガラパゴスゾウガメは南米大陸がルーツで、アルダブラゾウガメはマダガスカルがルーツのカメと言われています。

石灰岩の大地に開いた洞窟に、60頭ものゾウガメが次々と入っていく様子をタイムラプス撮影で捉えました。

──環礁でゾウガメはどのように暮らしているのでしょうか?

小澤:環礁の中でも、西側と東側で環境が異なっています。東側は岩場で草しか食べるものがなく、一方、西側には森があり草に加えて木の葉も食べることができます。そのため、西のゾウガメは東のと比べて体が大きいんです。西のゾウガメが、立ち上がって葉っぱを食べる姿はユーモラスなので必見です

──大きなゾウカメが立つ姿はぜひ見てみたいですね! 東はどうなんでしょうか?

小澤:東でぜひ見ていただきたいのは、洞窟に入る様子です。石灰岩の大地に開いた洞窟に、30分ほどの間に60頭ものゾウガメがぞろぞろと入っていくのをタイムラプス撮影で収めてきました。洞窟に入る理由は、番組の中でご紹介します。

立ち上がるゾウガメのユーモラスな姿。木の葉を食べるために、首をのばして、さらに片方の前足をあげるのです。

──環礁には、ほかにどんな動物がいるのでしょうか?

小澤:前編でも紹介した海鳥のほかに、飛べない鳥のアルダブラノドジロクイナや真っ黒なアルダブラオウチュウといった貴重な固有種がいます。鳥以外には、固有種のアルダブラオオコウモリや、ゾウガメのフンを食べるヤシガニなどの生き物も番組では紹介します。

アルダブラ環礁には、「インド洋最後の飛べない鳥」アルダブラノドジロクイナや真っ黒なアルダブラオウチュウといった貴重な固有種が生息しています。

──ヤシガニがゾウガメのフンを食べるのですか?

小澤:はい、ヤシガニ以外にもヤドカリなどのさまざまな生物の食べ物となります。また、ゾウガメが葉や草と一緒に食べられた種が、フンでばら撒かれることで、草地や森が広がっているのです。ゾウガメは、環礁の生態系の中心なのです。

ゾウガメのフンを食べるヤシガニ。ほかにもヤドカリなどにとっても重要な食料となります。

──さまざまな動物がゾウガメとの関わりを持っているのですね。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

小澤:ほかにも、めったに見られないゾウガメの交尾の瞬間や、体長10cmほどの赤ちゃんゾウガメも撮影することができました。行きたくても行けない世界遺産の、民放では初となる貴重な映像が満載ですので、2週ともぜひご覧になってください。

ゾウガメの交尾の瞬間や、体長10cmほどの赤ちゃんゾウガメの映像もお届けします。

BACK TO PAGETOP