特集

2019年6月23日「三清山国立公園」

雲海が広がる 奇岩の山

6500万年の歳月が造り上げた 不思議な形をした奇岩たち

三清山国立公園の独特な景観を生み出しているのが、並び立つ巨大な奇岩です。その形状から、さまざまな名前が付けられている変わった形の岩は、どうやって誕生したのでしょうか?

──三清山国立公園は、日本では、まだあまり知られていない場所ですね。

江夏:はい。番組初登場の世界遺産ですが、中国では近年、徐々に人気が高まり、観光地として整備が進められています。全長26kmもの遊歩道があるのですが、絶壁に造られているのでスリル満点でした。三清山の特徴である奇岩ですが、本当にいろんな形があって、中には名前が付けられている岩もあります。ちょっと変わった名前が付いているんですよ。「ペンギン」とか「トド」とか……。女性の乳房に似た岩が2つ並んでいる場所もあります。

三清山国立公園に林立する巨大な岩。絶壁に沿って遊歩道が造られていて、観光客はルート上にあるさまざまな奇岩を見て回ることができます。

名前が付けられている奇岩のひとつ「トド」。名前のとおり、天に向かって吠えているトドのように見えます。

──特に中国風の愛称というわけではないんですね。

江夏:そうなんです。でも本当に名前どおりの姿をしていて、見ると思わず納得してしまいます。番組でもいくつか紹介しているので、どんな風に見えるかぜひご覧ください。そんな奇岩の中でも圧倒的な存在感を持つのが、天に向かってそびえる大蛇の岩です。高さが128mもある石柱で、ものすごい迫力でした。

天に向かってそびえる大蛇の岩は、高さ100mを超える大迫力の奇岩です。一方、見たままの姿で「乳房」と呼ばれる奇岩も。

──大蛇の岩をはじめとする三清山国立公園の奇岩は、どうしてそのような不思議な形になったのでしょうか?

江夏:三清山国立公園は、地下深くでマグマが冷え固まった花崗岩が、地殻変動で隆起して誕生した山岳地帯です。それが6500万年という長い年月を経て、風雨に浸食され、今の姿になりました。変わった形になった原因は、「節理」と呼ばれる、岩に走る割れ目にあります。地下深くにあった花崗岩が隆起すると、圧力が低下して岩が膨張します。そのため、無数の割れ目が生まれるんです。その割れ目から雨水が染み込んで花崗岩の風化が進むため、節理の部分だけとてももろく、崩れやすいんです。花崗岩の節理は、縦と横に規則的に入っていることが特徴なんですが、特に縦に延びた節理は風化のスピードが速いため崩れやすく、残った硬い部分が石柱になったわけです。

花崗岩に刻まれた無数の割れ目「節理」。地殻変動で隆起したときにはひとかたまりだった岩が、節理から風化侵食が進み、石柱や奇岩になっていったのです。

──では最後に、番組を楽しみにしているみなさんに、あらためて見どころをお願いします。

江夏:はい。三清山国立公園は番組初登場となる世界遺産ということもあり、見どころとなる山水画のような風景をたっぷりとお届けします。特別に許可をもらって、ドローンでの空撮も行いました。奇岩の姿をダイナミックなアングルで撮影してきましたので、ぜひ映像でご覧ください。森の中で出会った動物たちも登場しますよ。

BACK TO PAGETOP