テレビ観察プロジェクト









★TBS KIDS ZONE
  子どもニュース
とアニメ英単語!

 
★バックナンバー
12345678

月刊民放5月号 月刊民放5月号掲載より、その3
特集 メディアリテラシー
「民放連・NHK共同企画番組 子どもとテレビ」を制作して
TBS編成考査局 番組考査部長 大野照夫

●武器? としてのメディアリテラシー
■“両刃の剣”
 テレビ局がメディアリテラシーに取り組むには、いくつもの壁があります。世の中にはメディアリテラシーへの躊躇、さらには恐れにも似た消極的姿勢が散見されます。学校が正規の授業で“テレビ”を取り上げることに、保護者の反発はないか? 親たちはいつも「テレビを消して勉強しなさい!!」と子どもに言い続けてきたからです。教育委員会がこのテレビプロジェクトをどう評価するのか?

 途中で中止を指示するかもしれない。教育現場と民放との間に確かな信頼関係が存在しているわけではありません。それは、質を変えてメディアの中にもあります。いわく、“眠った子を起こすな”“痛くもない腹を探られるな”等への懸念です。メディアリテラシーによって受け手の意識が高まり、演出手法やニュース報道に対し、異議申し立ての嵐となり、結果、表現の自由や言論の自由を制約することにならないか? ──その恐れです。

 メディアリテラシーは“両刃の剣”の側面もあるでしょう。しかし、Vチップなど機械を使って子どもと情報を遮断したり、行政機関が良い情報と悪い情報を判断するなどは、子どもの自主性を尊重し育むものではありません。さまざまなメディア規制と、来る地上波デジタル、さらにはインターネットの存在。時代はまさにメディア戦国時代の到来です。社会システムも国民の意識も大きく変わりつつある今、テレビに何が求められているのか?

 「テレビを創る人、それを見る人」といったこれまでの通念を壊し、双方向性を担う回路としての“メディアリテラシー”に互いが協力し、情報社会に生きる力を共に高めあっていく。これは魅力的で、挑戦に値する領域です。

■民放の明日
 このプロジェクトはテレビ高知の全面協力があって成立しました。と同時に、取材で心掛けたことはオール高知産でいこうということでした。リーダーの鈴木敏恵先生と私 たち制作スタッフが東京から出かける以外は、現地第一主義の精神で望みました。それは地方主権の時代を先取りしたかったことと、北は北海道から南は九州・沖縄まで、全 国191社の地上波局が自前で創れる番組にしたかったからです。

 地元の小中学校を舞台にメディアリテラシー番組を各局が制作する。報道記者・カメラマン・編集者・番組制作者・営業・CM制作者・編成担当等々、現役からOBまで、 ゆるやかなネットワークを創り、メディアリテラシーに取り組む学校や市民グループなどを支援する。これはテレビが新たな活力を得て、自らが活性化し21世紀に生き残るた めの重要な戦略となるのではないでしょうか。

 最後に、放送とともに力を入れているホームページのことを記します。そこには、子どものテレビ観察日誌や先生方による授業ノウハウ公開・取材秘話など、メディアリテ ラシーの輪が全国に広がるように、プロジェクトで得たすべての情報を公開しています。
アドレスは http://www.tbs.co.jp/tvkansatsu/ です。

 テレビは見るものから創るものへ! より多くの人々が参画し支えるテレビに進化したいものです。