今週の俺塾!目指せ偏差値72!桜葉学園!
塾には入らず、佳織と二人三脚で勉強することにした桜井家。しかし入れるものなら塾を利用しない手はない!困難な壁にぶつかったからこそ分かる原作者・桜井信一さん監修のもと、ドラマの信一が進める桜葉学園受験までの道のりを追いながら、受験ポイントを解説します!
第8回
佳織の成績はやっぱり上がらない。それどころか、また振り出しに戻っちまった。あれだけ勉強し、努力したのに一体、何が悪かったんだ?
遂に佳織は自信を失くしてしまった。どうすりゃいいんだ?
今回の俺からの中学受験指南!
『知識は横でつながるとき噴火する』
“中学受験の不思議な常識”<その8>!
『スランプは疲れからくる』
春期講習や夏期講習は一日中勉強するから疲れがくる。しかし、疲れているのはからだだ。脳が疲れているわけじゃない。
桜井信一流のアドバイス
これは学年別に考えた方が良さそうだな。
まず5年生以下から説明する。
塾では範囲のはっきりしている週例テストや月例テストがあるが、これは当然「それ以前」のものも含むわけだ。3月のテストだからといって今までの知識がいらないわけじゃない。例えばつるかめ算のテストが4年生のときにあったとする。そのときは出来ていた。ところがしばらくやっていないまま月日が過ぎたあと、速さを習った。そこで「速さのつるかめ算」が出たらどうなる?
学年が進むにつれて、融合問題が顔を出すんだ。その場しのぎで解き方を丸覚えし月例テストを乗り切っていた子は融合問題で撃沈する。
6年生はそろそろすべて習い終える。
範囲のないテストをこなしていき、力をつけていく。ここで偏差値50付近の平均層は大きな上下をしない。ところが偏差値60付近の出来る子の中には大きく急降下する子がいるはずだ。理由は2通り考えられる。1つはメッキがはがれた子。5年生のその場しのぎでなかなかボロが出ずに6年生まで踏ん張った器用な子がいるわけだ。しかし、ここで初めて実力不足が露呈する。実はこれが一番厄介で、5年生のうちにボロが出る方が対処しやすかったんだ。
もう1つはさらに伸ばそうとして難問ばかりに取り組んだ子。とても不思議なんだ。難しい問題ばかりやると解けていたはずの「ちょいムズ」が出来なくなることがあるんだ。しかし俺はその原因に迫った。
難しい問題は高度な思考力を要する。ひらめくことに重きを置いた勉強になるんだ。すると計算処理などの思考力を使わない部分を甘く見てしまうんだ。そこで「ミスがなければ何点だった」とか言い出す。最悪のパターンだ。
さらに「ちょいムズ」だって思考力を使うのに、全開じゃない思考力の使い方を忘れてしまうんだ。特に整数問題。これは一見簡単に見えてもなぜか答えに辿り着かないことがある。少しの思考力と全開の処理能力を必要とする問題があるわけだ。思考力に対して処理能力は正確さがかなり必要となる。そのとき、思考力を使うことに慣れた頭は緻密な処理を嫌う。ここが落とし穴だ。
つまり、不器用な子がハマる落とし穴なんだ。
そこで作戦だ。思考力が必要な勉強と処理能力が必要な勉強のどちらかを偏って続けてはいけない。バランスが大事ってわけだ。
抜け出す方法? いやあ、悪いけどこれは戻るしかないな。だって勉強だもん。魔法はないよ。あれば俺は中卒になってないよ。
もうひとつコツを教える。
個々に取り込んだ知識は単体では点数になりにくいんだ。ある程度の知識が横並びになったとき、横でつながるときがくる。そこで噴火してようやく点に結び付くんだ。その大噴火が受験より前にこないといけない。佳織はいま横に並べている真っ最中。必ず受験までに噴火する。いや、噴火させるぜ。