教えて!桜井さん!
受験生の家族はとかく気を使うもの。だけどその頑張りを何とか良い結果に結びつけてあげたい! そのためには家族の支えが何よりも一番!勉強への取り組み、お子さんへのサポート、出来ることはいろいろあるはず、だけど具体的にはどうすればいいんだろう… そんな不安を抱えている皆さん、ここは経験者である原作者の桜井信一さんに相談してみよう!
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第10回
国公立大を目指しています。四年生、塾に入れば難関中学に行けるんだと希望にあふれ、五年生、新しい単元についていくのに必死、復習すら出来ず希望が薄れて、塾では2月から新6年生、もう間に合わないような気がします。何を目指せば、良いか分からなくなってきました。難関中学に入られたかおりちゃんは、授業について行けてますか?
関西さん(44)女性
関西さん様、はじめまして。
「授業について行けない」皆さんすごく難しいことのように勘違いしていますが、宿題をするだけですよ。能力の問題ではなくて几帳面かどうかだけのことですよね。おそらく難関中学にいる生徒全員が宿題をやる能力はあります。でも部活に追われて寝てしまい、やらない子もいるわけです。結果「授業について行けない」。これにギリ合格も何もありません。横着なだけです。
では佳織はどうか。私の子ですから当然「超横着」。テキトーすぎて話になりません。浮いたり沈んだりと忙しいやつでしたが、高校生になってからは落ち着いてきました。ジェットコースターは飽きたのでしょう。
結局、難関中学は入学試験で輪切りにされているのですから、能力的には皆ついて行けるのです。「ギリ合格はあとが大変よ」という人がいますが、あれ僻みと妬みですから。
間に合うかどうかは、今の位置と志望校によるので何とも言えませんが、国立大学を狙うための難関中学というよりは、6年間かけてゆっくり学ばせたいから難関中学と考えて、どこかのタイミングで頑張らなければいけませんね。勉強ですから魔法はありません。
ぼくのお母さんや、おばあちゃんは偏差値と点数にしつこいです。これだからお前はこうなんだ!と怒鳴られます。テレビもろくに見せてくれません。よい点数を取ったときは点数良かったね、と点数だけを見ます。ぼくの心は崩壊寸前です。うちのような家族にアドバイスをお願いします!
mmさん(11)男性
mmさん、はじめまして。
面白い子だね。笑わせてもらったよ。
でも、どこの家の親もそんなもんだよ。きみんちだけじゃない。ではそれが正解かというともちろん間違い。殆どの家が間違いだから、「うっしっし」と思う家が楽をして上の席をうばってしまうんだ。
これを許してはいけない。周りを楽にさせてはいけないんだ。桜井さんがそう言ってたよと親に伝えてくれ。それでもまだうるさく言うなら最後の手段だ。
「桜井さんのように全部一緒にやってよ」そう言ってくれ。
家の息子もこの春中学受験でサクラサクです!私達夫婦は高卒で、学歴コンプレックスが有ったのかも知れません。偏差値63位の中高一貫ですが、私学の経験が無いので浮いてしまわないか、保護者としての失敗が不安です。入学してからの注意点、発見談有れば教えて下さい。入学式、3妹弟連れて出席したら周りの方に迷惑でしょうか?
ぢゅんさん(37)女性
ぢゅんさん様、はじめまして。
私立デビューなんですね。それはそれはおめでとうございます。
まず入学式についてですが、都会の学校は講堂が小さいという事情から、入学式は生徒1人に対して何人までと決まっている学校が多いと聞きます。3兄弟に両親だと「御一行様」みたいになりませんか? これからはその学校の生徒であり保護者になるわけですから、「例年どんな状況でしょうか?」なんて聞いても良いと思いますよ。
私立デビューといっても小学校からの進学者を含む学校でない限り、公立小学校からの生徒の方が多いはずですよ。確かに「私立っぽいお母様」はいらっしゃいますが、「寡黙なお母様」もおられます。そして、「どっちを演じようかしら?」みたいな優柔不断なお母様もおられますので、心配いりませんよ。
少し先輩風を吹かせるとしたら、早め早めに学校に相談することでしょうか。わからないことをそのままにするよりも、思いきって聞いちゃいましょう。慣れてくるとどういう時間帯が良いかなんかもわかってくると思います。
今年、息子が中学受験を終えました。
息子ともよく話し合って4校に絞り受験し、結果、第4志望校からのみご縁を頂けました。第4志望とはいえ、こちらでは評判の良い進学校です。しかし入試が近づいてきた頃、塾のクラスメイト達から学校の悪口を耳にするようになり、息子が通うことになった学校もよく馬鹿にされていたそうです。
塾では最難関クラスに所属しており、息子としては、みんなが馬鹿にしていた学校にしか進学できなかったと惨めで情けないそうです。
あくまで、子ども目線だけで言っていたことなので、みんなよく知らずに単純に偏差値で学校の上下を決めて見下していただけなのでしょうが、みんなが馬鹿にしていた言葉が頭から離れないそうです。本心は良い学校だと分かってはいるので、その学校に進学することに迷いはないそうです。
受験に失敗してしまったと傷ついている子どもに対して、どのように声掛けしてあげたら良いのでしょうか?
春よ来いさん(45)女性
春よ来いさん様、はじめまして。
う〜ん。最終回は良い印象で終わりたかったのですが、黙っていられない性分なので言ってしまいますか——。
こういう問題は、案外子どもは切り替えるのが早い場合が多いと思うのです。大人はここを見落としがちですが、子どもというのは順応する力がまだそんなに衰えていないものです。
大変失礼ですが、実はお母様の方が気にしているのではないですか? 口に出さなくても親の本音は子どもの心に大きく影響します。例えば、そこまで気にしていない子どもに「学校で馬鹿にされてない?」なんて聞いてしまうと、せっかく切り替え中だった子どももまた振り出しです。
親が気にしているうちは子どもも完全に切り替えられません。親の切り替えが完全に出来ていて、進学する学校への興味や愛着を持ち始めている場合は、子どももそうなっていくでしょう。親は「風」、子は「波」だと思うのです。
傷つくかどうか、これは親次第だと私は思います。子どもへの声掛けではなく、親の切り替えがポイントではないでしょうか。
私の勘違いだったらすみません。
原作者・桜井信一さんからこれから受験をする人、
受験を終えたかつての受験生たちへのメッセージです!
桜井信一さんから
皆さんへのメッセージ
中学は義務教育ですから、受験しなくても進学する学校はあるわけです。敢えて中学受験する子どもたちは、とても恵まれているといえるでしょう。知らない世界で終わるはずが、ぎりぎりのタイミングで私たち親子は気付きました。恵まれている子の存在に気付いたのです。じゃあうちの子も「余恵でいいから恵まれなきゃ」と思いました。これがやってみると面白いのです。けらけら笑う面白さではなく、ヒリヒリした面白さで、小学生の親子がなかなか経験できない刺激的なものだと思いました。
大人になって、いつの間にか諦め上手になっていた私はなぜかピンときました。「とうとう見つけた。“諦めない”という言葉に見合うほどの道を見つけた」そう思いました。やって良かったと心から思います。やらない選択をしていたらと思うとぞっとします。おそらく子どもも同じ気持ちでしょう。
「中学受験はしたいけれど……」
ご夫婦の意見が合わない、家計的に厳しい、色々事情はあると思います。そんなときこんなことを考えてほしいのです。
「最近、心の底から達成感を感じたこと、あっただろうか。景色を見て、心の底から笑顔になったこと、あっただろうか。子どもがきらきらして見えたこと、あっただろうか。親子の共同作業で秀逸の出来栄えって、あっただろうか」
もしまだ満足していなければ、中学受験という子育てのなかでそれらを探してほしいと思います。中学受験が終わったとき、きっとまた誰かに伝えたくなるでしょう。
2017年3月17日 ドラマ下剋上受験 最終話にあてて 桜井信一