教えて!桜井さん!

受験生の家族はとかく気を使うもの。だけどその頑張りを何とか良い結果に結びつけてあげたい! そのためには家族の支えが何よりも一番!勉強への取り組み、お子さんへのサポート、出来ることはいろいろあるはず、だけど具体的にはどうすればいいんだろう… そんな不安を抱えている皆さん、ここは経験者である原作者の桜井信一さんに相談してみよう!

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第9回

新小6の娘がいます。社会や理科、国語などは大丈夫なんです。特に算数、計算問題は素早く正確なのですが、文章題は四年生からわからないモノが積み重なっています。少しずつ、毎日やっていこうと思っているんですが、そう上手くいきません。どうすればいいでしょうか。
R.Kさん(39)女性

原作者・桜井信一さん

R.K様、はじめまして。
いまいる場所がどこか、目的地はどこにあるか。これによって大きく変わってきますが、仮に算数がお手上げ状態で、狙いは難関中学というケースだとしてお答えします。
算数を克服するのに「少しずつ、毎日」では厳しいと思います。習いなおすようなものですからかなりのボリュームになるでしょう。塾で算数を習うのは週に2回だったとして、5年生1年間だけでもかなりの量です。
5年生で習う「割合」「比」まで戻る作戦が1つ。ランダムに出題される一行問題をやりながら出てきた順に習いなおす作戦が1つ。どちらにしても自力では厳しいのではないでしょうか。

塾の大量の宿題に追われていて、母子ともつぶれています。塾に相談しても今はこなしてください。といわれました。これで成績上がるのか疑問に思います。塾なんて、いっそやめてしまおうかと思ってます。塾にいかない不安はありませんでしたか?塾にいかないで不利になることはどの辺りだと思いますか?やはり切磋琢磨する競争相手がいないことですか?塾なしで気を付けることはありますか?
時間が足りないさん(40)女性

原作者・桜井信一さん

時間が足りないさん様、はじめまして。
私見ですが、集団塾なら「必要」だと思います。切磋琢磨というよりは、大手の集団塾の研究しつくされたプリントが欲しいのです。もう1つは「期限」です。親塾の場合は、「もう遅いから明日にしようか」と予定をずらせることができてしまいます。ところが塾の場合は、まさにいまお悩みのように期限に追われます。期限に追われないとこなせない人が多いために、多くの人が塾を必要としているのだと思います。
よく取捨選択が大事なんていいますが、本来、塾の宿題は短時間で終わるはずなのです。同じ量でもあっさり解けない子がやると毎日こなせない量になるわけです。ということは取捨選択できる状態ではないことになります。
ではガンガンやればいいのかというと、それもまた違います。勉強は量では克服できません。出来るようになる手順みたいなものがあるのです。この手順を無視して苦手なところだけを解決しようとしてもどんどん時間がかさんでしまいます。何年生かによりますが、もし新6年生だとすると急がないと間に合わなくなりますよね。そこで信頼のおける人に中学受験経験のある大学生を紹介してもらってはどうでしょう。そこで成績を見せてこう言ってみてください。
「仮にあなたがこの成績だとします。そして志望校はここ。無理だと判断しますか? もしやると言うならどんな方法でまず何から手を付けますか? とにかくあなたならどうしますか?」
運にもよると思いますが、柔軟で生きる力に溢れる学生を見つけることが出来れば道が開けるかもしれません。
逆に集団塾には相談しなくて良いと思います。集団塾はそういう悩みを解決してくれる場所ではないと私は思います。だから頼りになるのですが——。

1年前から娘を受験塾に通わせ始めたのですが、学年も上がり内容も難しくなってきました。しかし簡単な問題を間違いやすく、難しい問題は得意なのです…得意だった教科が苦手になったりし、困っています。何か原因はあるのでしょうか。アドバイスをお願いします。
月華さん(34)女性

原作者・桜井信一さん

月華さん様、はじめまして。
現実には「難しい問題は得意だけと簡単な問題は苦手」なんてことは起こりません。「難しいことばかりやりすぎて簡単なことができなくなる」というのはあります。難問はじっくり考えて答えを出すのに対して、易問は瞬発力がものをいいます。どちらが練習が必要かというと後者です。この練習という名の勉強を怠ると易問で点を取れず合計点が大きく下がります。
そこで基礎が大事とうるさく言っても子どもには突き刺さらないと思います。そういう抽象的なアドバイスは何の役にも立たないのです。
模試の配点を調べて、大問の1から順に点数を書いてみてください。得点ではなく配点です。すでにやられているかもしれませんが、易問の合計点だけ伝えていませんか? 解答用紙の各大問の横に書いて全体像がわかるようにしてあげるのがコツです。
すると、易問だけでこんなに点が取れるんだとびっくりするかもしれません。そうやって100点の中身を見せてやり、易問の重要性に気付かせるのです。大手の塾の模試では、易問をすべてマルにすれば偏差値50を超えてしまいます。そこから難問を1つ完答するだけで一気に偏差値が上がります。
ところが多くの偏差値50台後半の子が、易問を7割から8割しか取れていません。難問も完答とまではいかず、結局偏差値50台。確かに正答率の低い難問が解ければカッコいいかもしれませんが、それは頭が良いとは言いません。総得点に含まれる難問の割合なんてどうでもいいのです。それは入学試験でもどうでもいいことです。
でもそれを子どもに言い聞かせても「わかった、わかった」となるだけでしょう。だから親がついているわけです。そこをうまく誘導できた親とそうでない親、そこに差がでるから中学受験は子どもの能力通りにいかないレースなのかもしれません。

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