テッペン!水ドラ!!『死幣ーDEATH CASHー』死幣ーDEATH CASHー

毎週水曜 深夜0:10〜放送

現場レポート

ホラー × 人間ドラマ × オリジナル × 深夜30分枠 = 本気

2016.9.1 by 脚本・吉田真侑子

はじめまして。
『死幣』で脚本を担当しました吉田真侑子です。
同じく脚本の美濃部さん、吉田海輝さんが企画秘話を書かれていましたので、私は、認知されているようでされていない脚本家の仕事について、
そして、『死幣』の本作りについて簡単に書きたいと思います。

ドラマ放送後、SNSなどで、下記のような感想を時折目にします。
『期待しないで見始めたけど、話が面白くて思わず引き込まれた!』
『深夜ドラマだけど、話がちゃんとしてる』
(多少、枕詞は気になりますが……)脚本に関わった者にとって、これほど嬉しい言葉はありません。そしてその背景には、伊藤プロデューサー(以下いとピー)をはじめとする『死幣』製作陣の、本作りへの並々ならぬ「本気」があります。

写真

脚本とは「どこで誰が何をして何を言うか」を具体的に書いた台本のことです。全スタッフキャストの手に渡り、それをもとに準備や撮影が行われます。脚本は設計図と言われる所以です。
そして、脚本家の仕事は、ただ一つ。
「面白い脚本を書くこと」
私は4話からの途中参加でしたが、初顔合わせの時、いとピーから「とにかく面白いものを書いてくれればなんでもいいから!」と仏のような笑顔で脅され、川嶋さんからは「俺たちをびっくりさせる面白いもの書いてこないと……わかってるよね」と真剣に脅されたことは、今でも夢に見ます。

でも……これがなかなか簡単ではありません。
キャラクターは魅力的か、登場人物の心情に矛盾はないか、説明だけの退屈なシーンや、手垢のついたシーンになっていないか、艶のある、キャラクターが滲み出たセリフになっているか、すべての要素が有機的に繋がっているか、などなど。
たった一つのシーン、数行のト書き(人物の行動描写や状況設定など)、セリフ一言を書くために、そんなことをぐるぐるぐる考えます。脚本を「書く」とはいえ、考えるのが6割、書く作業が4割くらいです。(個人差あり)
いとピーと川嶋さんが「面白い! 参りました!」と、いつの日かひれ伏す姿を妄想しながら、血を吐くようにして書いていきます。(個人差あり)

写真

現場での執筆の様子…

そうしてできた脚本を持って、本気の本打ちにのぞみます。
『死幣』ではおもに、いとピーと川嶋さん、美濃部さん、そして準備稿の段階になると渡瀬監督と東仲監督が加わります。
どうすればこのイマイチな脚本を面白くできるか……あるいは、この面白い脚本をさらに傑作にするには……と、全員が抜け殻になるまで議論を尽くします。(脚本家にとっては、公開処刑のような場ですね)
ただ怖いだけのホラーではなく、死幣と向き合う時に露わになる、人間の欲や業を巡るドラマをリアルに描く。そんな脚本を目指し、決定稿入稿まで直しと本打ちを重ね、更に入稿後も直し、たまに撮影中も直し——。
こうして、深夜でも、ゴールデンと同じクオリティを目指す、製作陣の本気が込められた脚本ができあがり、結果、前述のような感想を頂けたのだと思います。

『死幣』の脚本は、3名が数話ずつ担当しています。
全員、実際にドラマを書くのは初めてで、いとピーはじめ製作陣にとって、不慣れな3人との本作りは大変だったと思います。にもかかわらず、柔軟で、面白ければ何でもウエルカムな姿勢を貫かれ、とても自由に書かせていただきました。
それが「ちょっといびつだけど、他にはない」感じとなって、『死幣』の魅力の一つになっているのではないかと思います。

また、脚本は少なからず自身の記憶や体験、世界観を投入して書くので、脚本家の色が出やすいものです。『死幣』ではもちろん、テイストやキャラクターなどはしっかり統一されていますが、それでも3名それぞれの色が、各話に多少なりとも出ていると思います。
その違いを味わうのも、ドラマのオツな楽しみ方の一つかもしれません。
ぜひ、今後は脚本にも注目してみてください!

写真

いよいよ『死幣』はクライマックスに突入します!
由夏と若本を巡って、大きく物語が揺れ動きます。呪いのピタゴラもパワーアップし、一瞬たりとも目が離せない展開が待っています!
視聴者の皆さんに楽しんでもらいたいという、ただその一心で、スタッフキャスト一同が本気で作った『死幣』を、どうか最後までご覧ください!

BackNumber

Copyright© 1995-2024, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.

トップへ