2017年10月期連続ドラマ

足と靴と健康に関するエトセトラ

スポーツシューズの選び方とは?

ドラマ『陸王』は、老舗足袋屋の「こはぜ屋」がマラソンシューズを開発するお話です。マラソンシューズは走るための靴です。一般的にはランニングシューズと呼ばれています。よく講演の依頼で、スポーツシューズの選び方について話して欲しいと言われることがあります。実はこのテーマには、けっこう困ってしまいます。なぜなら世の中にスポーツの種目は非常に多く、その数だけシューズもあるからです。例えば、テニス、サッカー、バレーボール、野球、ゴルフ…ちょっと考えただけもこれぐらいは皆さんも頭に浮かぶのではないでしょうか。サッカーシューズでテニスはできませんよね。ではランニングシューズに限定してみるとどうでしょうか? これも、ドラマに出てくるような茂木選手や毛塚選手のようなトップアスリートの方が履くシューズと一般の方が履くシューズでは、同じランニングシューズでも全くの別物といっていいでしょう。車で例えるなら乗用車とF1マシンほどの差でしょうか。
トップ選手が履くようなシューズはマラソンに限らず、ほぼフルオーダーになります。その選手に合ったものを一から作り上げるので、費用的にも非常に高価なものになります。では、一般の方が履くランニングシューズはどうでしょう? これも実は、かなり細分化されています。一般の方と言っても、趣味程度の人からセミプロのような人までいますので、初心者、中級者、上級者用があり、用途でみるとフルマラソンのような長距離用からジョギング程度までと、幅広いラインナップが求められます。
そしてもう一つ、シューズを開発するメーカーやブランドごとのコンセプトがあるということです。ランニングシューズは走るためのフットギアですから、速く、身体に負担をかけず、けがなどのトラブルが起きないようにすることを基本としています。そういった意味でのゴールは一緒です。しかし、アプローチはそれぞれメーカーやブランドで違います。例えば「アウトソールを改良する」「アッパーの素材を改良する」「インソールを改良する」「重さや強度、サポート性を重視する」など、それぞれどこにフォーカスして開発するのかは、メーカーやブランドによって全く違うからです。そういった細分化されたシューズについて、一般的なシューズ選びのお話をしても、今一つピントがあってこないような気がします。
このコラムであえてランニングシューズに触れなかったのはそういった理由からです。結論を言えば、ランニングシューズに限らず、スポーツシューズを選ぶ際は、自分自身の技量と目的に合ったシューズを選ぶことがいちばん大切だと思います。

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著者プロフィール

木村克敏(きむら かつとし)
1965年生まれ、東京出身。
東洋大学経済学部卒業後「株式会社かねまつ」入社、ショップ店長、オーダーサロンマネージャー、銀座本店副支配人を務める。その後「コールハーンジャパン」へ転職、ストアマネージャーを経てスーパーバイザー、ショップトレーナーとなる。
6年前より「一般社団法人足と靴と健康協議会(FHA)」の事務局長を務める。現在はシューフィッターの養成講座の運営の傍ら、一般消費者への啓蒙活動の一環として講演活動等も行っている。
上級シューフィッター(バチェラーオブシューフィッティング)の有資格者。

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