2017年10月期連続ドラマ

足と靴と健康に関するエトセトラ

正しい歩き方をマスターしよう!!

今まで足のサイズや靴の選び方や履き方など、お話しさせて頂きました。今回は正しく靴選びがされ、きちっと履けていることを前提に、歩き方のお話をしたいと思います。
ドラマ「陸王」の中で「ミッドフット走法」という言葉が出てきますが、実際にランニングフォームで足の着地は「ミッドフット」「フォアフット」など、足の中央や前足部から着地することが主流になっているようです。

それでは歩くときはどうでしょうか。その前に「歩く=歩行」と「走る=走行」の違いを考えてみましょう。人間は2本の足で立っています。歩行は左右の足を交互に出して進みますが、左右2本の足が同時に地面についている時間があります。これを「二重支持期」と言います。走行はこの二重支持期がありません。競歩という競技がありますが、あんなに走るように速いスピードですが、歩行です。そのため、競歩では二重支持期(左右の足が同時に着地している時間)がなくなると走行になるため失格となります。
走行は常に片足で全体重を支えています。前にお話したように、走ると足に体重の2倍以上の力がかかります。そのため、踵から着地するのではなく、ミッドフットやフォアフットのように足全体で着地の衝撃を受けた方が体へのダメージは少ないということです。この走り方をサポートするために、ランニングシューズのソールが薄くなってきたようです。しかし、最近は、どのような走法にも対応できる超厚底のランニングシューズが登場してきました。興味のある方はショップへ覗きに行ってみてください。そのデザインにはちょっとびっくりさせられますが、かなりの好タイムが出せるということで大変話題になっています。

最初の問いかけに戻りますが、歩きの基本は「ヒールストライク」踵着地です。足を踏み出してから、まずは踵のやや外側から着地、そこから足の中央部に体重移動し、小指の付け根から親指の付け根へ移動し、最後に親指を中心に蹴りだすのが一連の流れになります。
つまり、足の外側がまず着いて、次に内側に足を「あおる(ローリング)」動作になります。この動作は他の霊長類ではみられない人間特有のものです。これによって私たちは、わずかなエネルギーで歩くことができるのです。足のことを学ぶと、人間の体や動きは無駄なく非常に効率的にできていることに驚かされます。

話しは変わりますが、健康のキーワードとしてメタボ、「メタボリックシンドローム」ということが盛んに言われてきましたが、今のキーワードはロコモです。これは「ロコモティブシンドローム」と言って運動器官が弱り歩けなくなり、寝たきりや認知症になってしまう病気です。電車や車、エスカレーターやエレベーターなど、今は歩かずにどこへでも移動ができてしまいます。そうして歩かない事で足の筋力などが徐々に弱まっていくことで、この病気になってしまいます。みなさんは一日にどのくらい歩いていますか?
歩くことで健康や美容を維持できるのであれば、積極に歩くべきでしょう。高いお金を支払ってジムやエステに行かなくても良いのですから。ただし、ちょっとしたコツがあります。それは正しく歩くことです。最後にそのポイントをレクチャーしましょう。まず歩幅は大きく、姿勢をまっすぐ、視線は10mほど先、少し早歩きで颯爽と。歩幅を大きくするには、腕の振りを後ろにやや大きめに振ると足が前に出やすくなります。

このコラムも今回が最終回になりました。皆様とまたどこかでお会いできることを祈念致しまして筆をおきたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。
以上

著者プロフィール

木村克敏(きむら かつとし)
1965年生まれ、東京出身。
東洋大学経済学部卒業後「株式会社かねまつ」入社、ショップ店長、オーダーサロンマネージャー、銀座本店副支配人を務める。その後「コールハーンジャパン」へ転職、ストアマネージャーを経てスーパーバイザー、ショップトレーナーとなる。
6年前より「一般社団法人足と靴と健康協議会(FHA)」の事務局長を務める。現在はシューフィッターの養成講座の運営の傍ら、一般消費者への啓蒙活動の一環として講演活動等も行っている。
上級シューフィッター(バチェラーオブシューフィッティング)の有資格者。

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