特集

2024年3月24日放送「ヨーロッパの大温泉都市群」

飲めば体に効く!?温泉都市の飲泉施設

温泉都市の施設では、温泉水をお風呂に利用するだけでなく、飲むことも盛んに行われているのです。

──少しずつ日本の温泉街とヨーロッパの温泉都市の違いがわかってきました。ほかにはどんな異なるところがありますか?

田口:温泉と聞くと日本人なら浴場を思い浮かべると思いますが、ヨーロッパでは湧き出したお湯の使い道がお風呂だけでないのです。「飲泉」、温泉水を飲むことが盛んに行われています。

モンテカティーニ・テルメにある、温泉水を飲む施設として有名なテットゥッチョ温泉。朝の開場とともに大勢の人が飲泉のために訪れます。

──温泉水を飲むのが盛んだとは、ちょっと意外です。何のために飲むのでしょうか?

田口:それは健康のためです。18世紀、温泉による医学が発達し、温泉水を飲むことでさまざまな効能があると考えられるようになりました。イタリアのモンテカティーニ・テルメにあるテットゥッチョ温泉は、浴場ではなく、飲泉のための温泉施設なのです。そこには成分の異なる4種類の源泉の蛇口があります。訪れた人は医師の診察を受けて、処方されたお湯を蛇口から汲んで飲むのです。

カルロヴィ・ヴァリの飲泉施設「コロナーダ」。その近くでは、飲泉専用のカップが売られていてお土産としても有名です。

──「処方される」とは、まるで薬のようですね。田口さんは飲みましたか?

田口:はい、飲みました。苦味があって美味しいものではなかったです(笑)。そういったところも薬に似ているなと思いました。こうした飲泉ができる場所はほかの温泉都市でも見られ、チェコのカルロヴィ・ヴァリにもあります。「コロナーダ」と呼ばれる飲泉施設がいくつもあり、温泉の蛇口から汲んで飲み、ぶらぶら散策する場所なのです。テットゥッチョ温泉もそうなのですが、温泉と散策する場所がセットになっていて温泉を飲んだあと、歩きながらリラックスして過ごすようになっています。ほかにもカルロヴィ・ヴァリには入浴しない温泉施設として、毎分2000リットルものお湯がもうもうと噴き上がる源泉があり、見どころの1つです。

チェコのカルロヴィ・ヴァリ。地下2000mから噴き上がる源泉は、豊富な湯量を象徴する観光スポットです。

──飲泉や散策など、入浴だけでないのがヨーロッパのスパ文化ということなのですね。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

田口:今回の撮影でこだわったのは「湯気を映す」ことでした。日本人のイメージとは異なる、ヨーロッパの温泉を紹介する上で、湯気がないことには温泉であるのが伝わりづらいと考えたからです。早朝に撮影するなど、さまざまな工夫をして湯気が立つシーンを押さえてきました。日本人の感覚とは異なる文化を持つ温泉都市での、ゆったりした欧州リゾートの気分を味わえる番組になっています。お楽しみください。

ヨーロッパの温泉リゾートの気分を味わえる番組をお楽しみください(※一部、世界遺産のエリア外の場所もご紹介しています)

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