特集
2023年11月12日放送「大秘境スペシャル」
ディレクターも涙した過酷な道のり
さまざまな取材を経験してきた小澤ディレクターに、秘境での取材に対応する秘訣、さらに忘れられない旅の体験について聞きました。
──ところで、これまで色々な秘境を取材してきた小澤ディレクターにうかがいたいのですが、「秘境の取材に強い」秘訣はありますでしょうか?
小澤:それは体力ですね。経験ももちろん大事ですが、最も重要なのはやっぱり体力です。
──体力作りを普段から心がけているのでしょうか?
小澤:そうですね。週2、3回は走り込んだり、まめにジムに通って体力が落ちないように気をつけています。
──忙しい中でも体を鍛える努力を重ねるのが秘訣ということですね。そんな小澤ディレクターでも「これは苦しかった」という経験があれば教えてください。
小澤:今回取り上げている「トゥルカナ湖国立公園群」の取材は本当に過酷でした。トゥルカナ湖は、ケニア北部にある南北260kmもある巨大な湖で、湖畔で人類の祖先の化石が見つかったことで知られています。湖にある火山島に上陸した際、気温が40度近くあった上に、地下のマグマによる地熱も重なって、暑さでスタッフが倒れてしまったのです。私も正直、命の危険を感じるほどでした。
人類の祖先の化石が湖畔で発見されたトゥルカナ湖。湖にある火山島は日差しと地熱でスタッフが倒れてしまうほど過酷な暑さでした。
──まさに体力が求められる現場ですね。
小澤:あと「リオアビセオ国立公園」の取材も困難を極めました。ペルーのアンデス山脈奥地を自動車やラバを乗り継いで進み、標高4000mの峰を超え、最後は徒歩で、合計5日間かけてやっと目的地に着きました。本当に辛かったのは帰りです。当然ながら同じ道のりを5日間かけて戻るわけです。ラバに乗っているときに雨が降ってきて、あまりの寒さに涙が出てきました。ロケで泣いたのはこのときが初めてでしたね。
──聞いているだけで辛くなってきました。
小澤:それだけじゃありません。途中の街で買っておいた干し肉があったんです。豚の脚を丸ごと塩漬けしたヨーロッパの生ハムのような肉です。それを2本、目的地に着いたら食べようとポーターに運んでもらっていました。ところがそれがポーターたちに食べられてしまっていたんです。そういえば、そのときも泣きましたね。どんなタイミングでその事実を知ったのかは、放送をお楽しみに。
「リオアビセオ国立公園」にある遺跡へ向かうには、ラバに乗って標高4000mの峰を越える必要がありました。途中の街で買った肉がポーターに食べられてしまうなど、涙が出るほど過酷な旅でした。
──大切に取っておいたはずの肉が無くなっていたら、それは相当ショックですね。秘境の取材はもうごめんだと思ったことはないですか?
小澤:それは全くないですね。簡単には辿り着けない場所にある世界遺産は、まだまだたくさんあります。秘境の世界遺産がある限り、これからも撮りに行き続けますよ。
──さすが小澤隊長、頼もしいです。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
小澤:今回のスペシャルの中では、私以外のディレクターが取材した世界遺産も本当に大変な場所ばかりです。中には、現地の情勢などによって現在は撮影が難しい場所もあり、滅多に見ることができない映像の数々がご覧いただけます。ぜひお楽しみください。
苦労の末に辿り着いた「秘境の世界遺産」の驚異の映像をたっぷりお届けしますので、ぜひご覧ください!