特集

2022年11月13日放送「古都奈良の文化財」

特別な撮影で東大寺の裏側に迫る

特別に許可を得た撮影によって、通常は見ることのできない東大寺を、最新の高精細カメラで映像に収めることができました。

──四季のほかには、東大寺のどんな映像が見ることができますか?

中田:今回の取材では大仏殿の屋根裏を特別に撮影させていただきました。大仏の横にある急な階段を登って入る天井の上をお見せします。屋根裏から大仏を一望できる場所があるのですが、ここで注目していただきたいのは、全長24mにもなる巨大な梁です。この大梁は江戸時代に大仏殿を作り直す時に、日向国、現在の宮崎から運ばれてきた2本の巨大な赤松の木材です。

大仏殿にある急勾配の階段を登って入る天井裏。大仏が鎮座する空間を一望できる場所があります。

──大仏が安置されている空間がそのような梁で支えられていたとは驚きです。

中田:大仏殿は瓦などを含めた屋根全体の重さは約3000トンあります。明治になって、その重量に耐えきれず屋根が変形してきましたが、いまでは大梁の木材が手に入らないため、鉄骨による補修工事が行われ、大仏殿の空間が保たれているのです。

大仏殿を支える全長24mもの大梁。鉄骨で補修されているのは、大梁に使える木材がいまでは手に入らないためなのです。

──まさに東大寺の裏側と言える場所ですね。ほかにも特別な映像がありましたら教えてください。

田口:今回、特別な許可を得て、クレーンを設置して高精細8Kカメラで大仏を撮影することができました。通常、大仏殿の床からは大仏のお顔ぐらいしか見ることができません。今回の撮影ではそれとは異なるアングルで捉えるため、大仏殿の中に土台を組んでその上にレールとクレーンを設置しました。大切な大仏と大仏殿ですので、もちろん細心の注意を払って作業し、撮影しました。

──大変な撮影だったのですね。実際にはどんな映像が撮れましたか?

田口:大仏の坐禅を組んでいる実際の姿が新鮮でした。足や指などのディテールに迫った映像は注目で、特に左足の一部に薄く残った金のメッキをぜひご覧ください。鎌倉時代以前のメッキと考えられていますが、かつては全身が光り輝いていたことをうかがわせます。非常に暗い中での撮影でしたが、最新8Kカメラの性能によって広角からディテールまで捉えることができました。これまでほかの世界遺産の取材などでも高精細カメラによる撮影を行なってきましたが、その集大成とも言える会心の映像が撮れました。11月13日は地上波放送なのでフルハイビジョンに変換していますが、それでも美しさは伝わると思います。また12月24日午後5時30分から、BSーTBSで高精細の4K放送も予定しています。

特別な許可を得て、大仏殿の中にクレーンを設置。大仏が鎮座する全体像からディテールまで高精細8Kカメラで撮影しました。

──高精細撮影による東大寺を見られる番組が楽しみです。最後に、視聴者の皆様へのメッセージを中田ディレクターからお願いします。

中田:今回は皆さんが知っている東大寺だからこそ、普通の映像では見る人に満足いただけないのではないかという難しさもありました。長期取材をする中で東大寺の僧侶の方から信頼をいただいて、さまざまな特別な場所での撮影に許可をいただけました。めったにないタイミングで撮影したり、なかなか立ち入れないような場所で撮った映像が満載です。皆さんの見たことのない大仏や大仏殿をご覧いただけると思いますのでお楽しみください。

季節や場所、アングルをさまざまに変えて1年かけて撮影した、東大寺の知られざる絶景の数々。お楽しみください!

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