特集
2022年9月25日放送「セゴビアの旧市街と水道橋」

偉大な女王が暮らしたスペイン随一の名城
セゴビアの旧市街西端には、スペインで最も美しいと言われる城がそびえています。偉大な女王、イサベル1世が暮らした城、アルカサルです。

──そのほかの2つの建造物、アルカサルと大聖堂について教えてください。
田口:アルカサルと大聖堂は、古代ローマから時代が変わって、中世の建築物です。この2つは、城壁で囲まれたセゴビアの旧市街の中にあります。旧市街地は2本の川に挟まれた丘の上にあり、その地形から「大地を進む船」になぞらえられています。その船の先端にあたる場所に建っているのが、アルカサルです。アルカサルは、スペインで最も美しいと言われる城で、少し黄土色を帯びた石灰岩で作られています。崖の上に建つこの城と街の周りを囲む森が組み合わさって本当に素晴らしい景色が見られます。ただ、この城は美しいだけでなく、スペインの歴史の上でとても重要な場所なのです。


2本の川に挟まれた丘の上に建つセゴビアの旧市街。その様子は、まるで「大地を進む船」のようです。
──スペイン史とどのような関わりがあるのでしょうか?
田口:セゴビアは、スペイン帝国の礎となったカスティーリャ王国の都でした。アルカサルは、そのカスティーリャ王国の女王、イサベル1世が住んでいた城として知られています。イサベル1世は王国の最盛期を築いた名君と名高い人物で、コロンブスの新大陸進出を援助したことでも有名です。番組では城の中に今も残る王座の間をお見せします。その天井には豪華な金の装飾が施されていて、王国が大航海時代で得た富の大きさがうかがえます。


スペインで最も美しいと言われる城、アルカサル。スペイン史の重要な舞台にもなった城です。

── 確かにアルカサルはスペインの歴史を語る上で欠かせない舞台ですね。もう1つの大聖堂はどのような建造物なのでしょうか?
田口:アルカサルが舳先だとすると、大聖堂はセゴビアのマストと言える建物です。セゴビアの旧市街は丘の地形を生かした砦で、その丘の一番高い場所に高さ88mの大聖堂が16世紀に建てられました。この大聖堂は、その優美な姿から「カテドラルの貴婦人」と呼ばれています。実際に大聖堂の外観は、貴婦人のドレスのように見える形をしているのです。


旧市街の中央にそびえたつ大聖堂。「カテドラルの貴婦人」と呼ばれる優美な建築です。
──美しい建築の数々、放送が楽しみです。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
田口:今回は、気候が最もよく、セゴビアの周りの緑が豊かになる5月に現地へ行って撮影することができました。そのおかげで、撮影した映像はどれも本当に素晴らしい絶景ばかりです。歴史的な建造物がそのまま残るセゴビアの旧市街は、まるで中世で時間が止まっているかのような不思議な空間でした。皆さんも番組をご覧になって、古代ローマやスペインの歴史の一端に触れていただければと思います。




歴史ある傑作建築をこだわりの撮影で捉えた絶景の数々をお届けします。ぜひお楽しみください!