特集

2021年4月4日「特集『古都京都の文化財』|TBSテレビ:世界遺産」

都の始まりと終わり歴史を感じる景色

日本の歴史の舞台であり続けた京都。川の流れをきっかけに、平安遷都から大政奉還までの時間を旅します。

──ここまででも見所盛り沢山で番組1本ができそうな内容ですね。

冨山:今回は本当に特別な映像をふんだんに使っています。番組の後半では京都を流れる2本の川を軸にして京都の世界遺産を紹介していきます。

──その2本の川にまつわる世界遺産とは?

冨山:1つ目の川は、京都盆地の南を横切って流れる宇治川です。この川を挟んで建っているのが、平等院と宇治上神社です。十円玉でもお馴染みの平等院鳳凰堂が池の水面に映る様子はさすがの美しさです。その平等院の鎮守社と言われているのが、宇治上神社です。空から見ると位置関係がわかりやすいのですが、宇治川を挟んで平等院の対岸側に宇治上神社があります。この神社の本殿は平安時代、拝殿は鎌倉時代に建てられました。いずれも現存するものの中で日本最古を言われる社殿です。番組でも紹介する宇治上神社の拝殿の屋根は、特徴的な曲線を持ち、貴族が暮らした住宅の建築様式を今に伝えていると言われています。

宇治川沿いに建つ平等院鳳凰堂。水面の映る美しい姿をご覧ください。

日本最古の本殿と拝殿を有する宇治上神社。拝殿の屋根の両端が波打つように曲がっているのが特徴です。

──宇治川を挟んで日本を代表する歴史的建築物が建っているのですね。もう1つの川とはなんですか?

冨山:もう1つは、鴨川です。京都の街の東を流れる鴨川は途中、高野川が合流しています。この合流する川と川の間、いわゆる鴨川デルタにあるのが下鴨神社です。平安遷都に先立ち、桓武天皇は下鴨神社でその成功を祈願したということで、以後、都の守り神として崇められるようになったのです。ここで注目なのが「糺ノ森(ただすのもり)」と呼ばれる境内にある森です。この森で特筆されるのは、平安遷都以前の植生を今に残していると言われている点です。京都の街に残された鬱蒼とした森を空と地上からご覧ください。

「糺ノ森」と呼ばれる下鴨神社神社の境内の森。平安京ができる以前の植生が残る森なのです。

──太古の森が京都の街に存在すると思うと、とても興味深いです。

冨山:鴨川の上流、合流より上の川は、読みは同じ「かもがわ」ですが、漢字では「賀茂川」と書かれます。そしてその賀茂川沿いには、上賀茂神社があります。平安遷都以前、この川のあたりを支配していたのが、豪族の賀茂氏でした。実は、下鴨神社も上賀茂神社もその賀茂氏の氏神だったのです。番組では、川とこれらの神社の位置関係が空から一望できるのでチェックしてください。

鴨川を遡った賀茂川沿いにある上賀茂神社。平安遷都以前にこの土地を支配していた豪族、賀茂氏の氏神を祀る社として建てられました。

──いずれも京都の成り立ちに深く関わる神社ということですね。

冨山:はい。一方で「首都」としての京都の最後の舞台となった場所も取り上げています。それが二条城です。江戸時代のはじめに徳川家康が築いた城で、幕末に大政奉還が行われた場所であります。明治維新後、一時は皇室の所有となりました。二条城の外側には菊の紋が付けられているのですが、御殿の中には今も葵の紋が残っているところもあり、そうした二条城の様子もお見せします。

大政奉還の舞台となった二条城。ところどころにある紋などに、江戸から明治への時代への移り変わりがうかがえます。

──京都の激動の歴史が感じられそうです。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

冨山:今回は、「世界遺産」という番組が長い間培ってきた信頼と粘り強い交渉によって、これまで許されていなかったドローンなどの撮影を特別に許可してもらえました。私自身、京都市民で、京都でさまざまな取材をしてきましたが、そんな私でもこれまで見たことがないような映像を今回は撮影できました。京都の貴重な映像、ぜひお楽しみください。

見たことがないような新鮮な視点から収められた「古都京都の文化財」の映像、お楽しみください!

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