特集

2021年3月21日「中国丹霞」

大地を削る千の滝とそびえ立つ巨大石柱

同じ丹霞地形でも、浸食の進み具合によって、さまざまな姿を見ることができます。

──赤水はどのような丹霞地形なのでしょうか?

江夏:浸食の初期の段階にある赤水の特徴は、多くの崖があることです。丹霞山のように、変わった形の岩山になる前の状態を見ることができます。上空から見ると、弧を描くようにえぐられた崖があります。流れ落ちる滝の位置が浸食によって少しずつ上流側に移っていくことで、このような形の崖が生まれました。これも典型的な丹霞地形の1つです。

崖が弧を描くようにえぐられた地形。赤水で見られる、典型的な丹霞地形の1つです。

──同じ丹霞地形でも浸食の進み具合で様子がかなり異なるのですね。

江夏:亜熱帯に属していて水が豊富な赤水は「千の滝の故郷」と呼ばれるほど多くの滝があることでも有名です。番組では、滝巡りをしているかのように、いろいろな滝をご紹介します。滝つぼにかかる虹を収めた映像もお見せします。太陽の方角を調べ、時刻を狙って撮影した映像です。

規模や落差、形などが異なるさまざまな滝がある赤水は、「千の滝の故郷」と呼ばれています

──虹のかかる滝の絶景は必見ですね。もう1つの撮影地ではある江郎山では、どんな地形があるのでしょうか?

江夏:こちらは丹霞山よりさらに浸食が進んだ「丹霞地形の最終段階」になります。江郎山の象徴が、巨大な3本の石の柱で、高さは約300mもあります。その巨大石柱を残して、江郎山ではほぼ浸食が完了しているので、赤水や丹霞山とは違って平原も広がっています。

平原の向こうにそびえ立つ巨大な3本の石の柱が江郎山。丹霞地形の最終形とも言える景色です。

──岩山が侵食され続けて最後に残った地形ということなのですね。

江夏:はい。石柱の巨大さは、近くで見ただけでは伝わりにくいので、離れた場所から江郎山を捉えた映像でその大きさを感じていただければと思います。あと石柱にドローンで近づいていくと見えるのですが、その断崖絶壁に道があるのです。およそ3500段もの階段で頂上まで登ることができます。登っている人と見比べると岩山の巨大さがまた伝わると思います。

およそ3500段もの階段で江郎山の頂上まで登ることができます。片側が絶壁というスリリングな道です。

──スケール感が味わえる映像、楽しみです。最後に視聴者へメッセージをお願いします。

江夏:ご紹介したように、赤い岩の地形が変化していく過程を見られることが「中国丹霞」が世界遺産に登録された理由です。今回は、3カ所にわたる撮影でその過程を紹介しつつ、それぞれの絶景を存分に楽しんでいただける番組になっています。コロナ禍で私は直接現地へ行くことができない中での制作でしたが、過去に何度も一緒に撮影をした中国のスタッフが素晴らしい映像の数々を収めてきてくれました。完全撮り下ろしによる「中国丹霞」、ぜひご覧ください!

丹霞地形のさまざまな姿を捉えた素晴らしい映像の数々をお楽しみください!

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