放送内容
トルコ・アナトリア高原中央部にあるカッパドキアには不思議な奇岩の景観が広がる。太古、火山の噴火で形成されたトンガリ屋根をのせた塔のような岩は「妖精の煙突」と呼ばれ林立する。柔らかい凝灰岩は掘削しやすく、岩窟住居を造って、人々はここに移り住んだ。3世紀、ローマ帝国の迫害から逃れたキリスト教徒たちは岩窟住居を隠れ住む教会へと変えていき、やがて2万人を収容できるほどの地下都市がこの地に出現したのである。
自然が造った妖精の煙突
ギョレメの渓谷に林立する、塔のような奇岩は「妖精の煙突」と呼ばれる。高さは50メートルにも達する。岩の柱状の形は、太古の火山活動に始まり、火山灰などが固まった凝灰岩の堆積層の変化により生まれた。雨風に浸食され、現在もその姿を変え続けている。
奇岩の高層住宅
岩山の無数の穴は、かつて人々が暮らした岩窟住居。ローマ帝国の迫害から逃れるため、初期のキリスト教徒たちはこの地に移り住み、岩を掘りぬいた岩窟教会や修道院を築いた。教会の壁には鮮やかなフレスコ画とともに、聖像禁止時代の奇妙な幾何学模様も残る。
世界最大級の地下都市へ
20世紀半ばに発見されたデリンクユ地下都市は、2万人を収容できると言われる。カッパドキアで見つかっている地下都市は30以上、実際はその10倍以上あると推定される。地下都市の起源は紀元前のはるかな昔にまで遡り、いまだ謎のままなのである。