放送アーカイブ

2010年1月31日放送
知床I

夜の流氷

夜の流氷下の世界を撮影。照明に照らされ、暗闇の水中に浮かび上がる流氷は白いオブジェのようです。そこでは、宇宙船のように、クリオネなどの不思議な形の生物が怪しい光を放ちながら、漂います。今までにない流氷ワールドです。

流氷の下の2つの世界

流氷の下では、海水が2つの層に分かれ、まるで水中に大きな膜が張っているような現象が見られます。これは流氷が海を覆ってしまうことで、波や風による撹拌(かくはん)が起こらなくなり、真水と海水が、水と油のように分離するのです。この2つの世界を行き来すると不思議な感覚にとらわれます。流氷の下に隠された不思議な世界をカメラが捉えました。

3次元流氷堪能

知床の流氷を、水上や地上からはもちろん、空から、水中からと、ありとあらゆる角度から紹介します。去年の流氷シーズンはもとより、毎年勢力やでき方が違う流氷を長年撮影してきました。その豊富な流氷の表情を紹介します。

クラカケアザラシの子供

クラカケアザラシは外洋で暮らすため、めったに見かけることはありません。しかし流氷の上で子育てをするため、3月下旬だけ知床半島の周辺で見ることができます。真っ白な毛で包まれ、目の上に大きな丸いまゆげのような模様があるクラカケアザラシの子供は、世界で2番目にかわいいアザラシの子供と言われています。厳しい環境で生まれた小さな命と、それを育む冷たい氷の“ぬくもり”を感じてください。

「冷たい氷が、命のぬくもりを生む」。知床にはそんな自然があります。今回は2週にわたって、そんな知床の自然の秘密を紹介します。流氷が流れ着く北半球で最も南に位置する、北海道・知床半島。国内3カ所目に登録された世界自然遺産では、「北の冷たさと南の暖かさ」が一緒になって、独特の自然を生み出します。
知床Iは流氷の今まで知られていない世界です。流氷に覆われた海中でだけ見られる海の不思議な現象や、夜の流氷の世界。この流氷が地球規模の自然環境に大きく関わっているというとこともわかってきました。アザラシの子育てや、流氷の下で集まる生物などを通じて、流氷が自然界で果たしている大きな役割を紹介します。地上から、空から、海中から。あらゆる視点を通して、知られざる流氷の世界に迫ります。