インタビュー 黒岩愛子役 夏川結衣さん

――晶の母親・愛子について教えてください。

息子を愛しているし、ちゃんと大人にしたいという思いが強い人。それは1話から最終話まで、1ミリも変わらないんです。ただすごく不器用な人なのでその表現の仕方が時に濁ってしまったり、研ぎ澄まされたりしてしまう。そこがすごく人間臭いなと思いました。
6話からは中学生時代から3年後の世界が描かれていますが、愛子にとってはその3年間というのはただの3年ではないんです。まさか息子と3年も暮らせなくなるとは想定もしていなかったし、深い喪失感のある時間だったはずで。想像を絶する時間だったんだろうなと思いますし、だからこそ彼女の中で晶はどこか15歳で止まってしまっている、囚われてしまっているところがある気がしました。

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――そんな愛子を演じるにあたって意識された部分を教えてください。

脚本を読んでいると彼女の行動や言動にびっくりすることがあるんです。「こんなところにまで行っちゃうの?」とか「こんなこと言っちゃうの?」とか(笑)。でもそこまで追い詰められているということだし、愛子自身が自分で追い詰めてしまっているところがあるということ。演じるにはその段階まで自分の感情を持っていかなきゃいけない。そうなると感情移入してお芝居するだけでは立ち行かなくなってくる部分が出てくるんです。なので、感情移入して役に没頭するというよりは、どこか俯瞰的に作品を見て、愛子を駒のように配置する感覚は持つようにしていました。「この人とこの人が出会ったらこうなって、この人たちが出会ったらこうなって…」と頭の中に描きながらお芝居をしていく。脚本家の方はそういう風に考えながらストーリーを作っていらっしゃると思いますし、何も起きなくて毎回正解のセリフだけが用意されていたら、お話って5話で終わっちゃうんです。迷ったり、間違いとは言わないけれど悲しい行動を起こしたりするから見てくださっている方も「なんであんなことしたの?」とか「なんであんなこと言っちゃったの?」とザワザワさせられたり、いろんな感情に心が揺さぶられる。そう感じていただくためにも演じるシーンだけではなく俯瞰的に全体を見て駒を動かしていくという作業はしっかりと覚悟してやらなければいけないところだと思って取り組んでいました。
あと、愛子が晶と聖ちゃんを揺り動かすためには私と監督が共通認識のもとでシーンを重ねていかなければいけないという思いがあったので、監督とはいろいろお話させていただきました。愛子は少し乱暴だったり「そこまでしなくたって」と思うような行動を取りますが、その奥にはちゃんと思いがあるんです。それはなかなか晶や聖ちゃんたち外に伝わっていかないけれど、その思いをちゃんとふまえた上でラストに向けてお芝居はしていく必要があって、そこはずれてはいけない部分。撮影は話数ごとに順番に撮っていくわけではないので、その都度「私はこの本を読んでこう思ったんですが、本が描きたかったこととずれていませんか?」と聞くなど、お話をしてシーンを重ねていきました。大変ではありましたが、同時にとても充実した時間でもありました。

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――6話からは5話から3年後の世界が描かれ、登場人物の外見も変わりました。ストレートヘアになった愛子の髪型は夏川さんご自身が提案されたと伺いました。

そうですね。5話まではパーマで、仕事も子育てもふわーっとしながらもしつけはちゃんとしている、絶対的なお母さんというのがベースにあったんです。「子育てって大変だし反抗期って難しいけれど、基本的には幸せ」だった。でもそこから3年たって、いつも晶のことを心配しているけれど、心配していることを晶に対して出すことが許されない、ピンと張り詰めた感じになっている。どう変化を持たせるのかというところで、喪失感と不安定さが少しでも見えたらいいなと思い、ストレートにしてはどうかと提案させていただきました。
衣装も5話まではユルっとしたシルエットのものが多かったのに対して、6話からは細身のパンツでシュッとした感じになっています。メイクに関しては、愛子の気持ちによって頬紅やマスカラを入れたり入れなかったり、ファンデーションの入れ方を微妙に変えてみたり。つらいシーンで疲れている愛子というときは、本番に向けてお直しをするのをあえてやらなかったり。テレビではそこまで分からないかもしれないですが、細やかにシーンによって変えていただきました。メイクさんやスタイリストさんとの共同作業で一緒に愛子像を作り上げていったという感じでした。

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――印象に残っているシーンを教えてください。

最終話で愛子と晶2人のシーンがあるのですが、そこでの晶の表情がすごくよくて、現場でモニターを見ながらグッと心を掴まれました。
実は5話で晶と愛子に亀裂が入るところから岡田くんとは現場でしばらく距離を置きたいとプロデューサーにお話ししたんです。6話以降の2人の関係性を考えて、「おはよう」とか「お疲れさま」とかあいさつはするけれど、必要以上に話さないし、目も合わせない。それがお芝居の上ではいい方に作用すると思って提案させていただきました。普段の岡田くんは会うとニコっと可愛らしい笑顔で「おはようございます!」とあいさつしてくれる子で、突然やるとびっくりさせてしまってかわいそうなので(笑)、事前にプロデューサーには話して、プロデューサーから岡田くんのマネージャーさんにもお話していただきました。結構長い期間続きましたね。でもおかげで、久しぶりに二人が会話をするところは「やってよかったな」と思えるシーンになっているのではないかと思います。

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――そんな岡田さんは今作が演技初挑戦。先輩としてどのような印象を持たれましたか?

1話からずっとスタッフ、キャストみんなが、新人である彼に心を尽くして、言葉を尽くして彼をサポートしていく。そしてお芝居をしやすい環境を作っていく。それに岡田くん自身も真面目に真摯に向き合ってきて、みんなが諦めることがなかった。「4ヶ月でこんなに成長するんだ」と胸に迫るものがありましたし、モノ作りの素晴らしさを目の当たりにしました。彼は本当にみんなから愛されていて、どこか放っておけないというか、人たらしな部分を持っているんだなと。それは俳優としてすごくいいことで、みんながつい彼を見てしまう、目で追ってしまう。これからの岡田くんがすごく楽しみです。

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――最後に最終回に向けて作品の見どころについて教えてください。

気づいていらっしゃる方もいるかもしれませんが、1話から一度も晶は愛子に微笑まないんです。だから今後晶がいつか微笑むかどうかというのも見どころなのかなと。その笑顔が自分に向けられた時が愛子にとっての幸せなのかなと思います。
最終回は、最後の最後まで、本当のラストまでご覧いただいて、作品の着地点をしっかり見届けていただきたいです。「だからあのときはこうなっていたのか」と思っていただける結末になっているのではないかと思います。「あーじゃない、こーじゃない」とツッコミを入れて純粋に楽しんでいただければ十分なのですが、聖ちゃんと晶の2人がたどり着く純愛の形、そして2人を取り巻く人たちがその純愛をどう見ているのか。そこをぜひ確認していただきたいです。この作品は、純愛という名のもとにそれぞれのキャラクターの成長の話だと思うので、本当に最後のクレジットが出るまで目を離さずしっかりご覧いただければと思います。

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