菊野プロデューサーの無垢なる愛の戯言

僕には映画、本、コミック…大好きな作品がたくさんあります。
それらの作品が僕の創っているTV番組はもちろんのこと
僕の人生や、ものの考え方にも影響を与えていると思います。
そうした僕の愛した作品についての戯れ言です。
『このコラムを初めて読む方へ』

プロ野球戦力外通告 応援ありがとうございました&2013年 映画ベストテン 洋画編

2014年1月21日

2013年年末に放送した「プロ野球戦力外通告 〜クビを宣告された男たち」に、たくさんの
ご声援ありがとうございました。2004年に特番として始まった企画ですが、今回は10回目の
放送になりました。試練に立ち向かう瞬間の取材を受けてくださった選手の皆さんと、
その家族および関係者の皆様に、心からの感謝をささげます。
 また、取材を受けてくださった選手の方々の今後の人生を、出来る限り応援させて頂ければと思っております。私がプロデューサーになって10年。まさに、この番組とともにプロデューサー人生を生きてまいりました。10回目ということで今回は、ネットなど色んな展開もやってみました。東洋経済オンラインというサイトの中で、スポーツジャーナリストの石田雄太さん
らともに、“戦力外通告”をテーマに、文章も書きました。
まだ閲覧できますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
この番組もあと、何年続けられるか、何回続けられるか分かりませんが、今後も、
皆さんの心に残るような番組を作るべく、努力して参りたいと思っています。

さて、2013年の、私なりの映画ベスト10です。

昨年は劇場にて132本の映画を鑑賞しました。とにかく時間をうまく使いながら、休日に3本見たりして(笑)、映画を見ました。やはり、東京・神奈川は劇場が多くてありがたいです。
内訳は 洋画 74本、邦画 50本、リバイバル8本でした。
仕事で試写に行く機会が増えて邦画が増えた一方で、午前10時の映画祭が一段落したこともあり、リバイバル系が2012年より、減りましたね。

今回は洋画編です。
ではまず、10位〜6位。

第10位 「ザ・コール 緊急通報司令室」
監督;ブラッド・アンダーソン

第9位  「セッションズ」
監督;ヘン・リューイン

第8位  「建築学概論」
監督;イ・ヨンジュ 

第7位  「キャプテン・フィリップス」
監督;ポール・グリーングラス

第6位  「ジャンゴ 繋がれざる者」
監督;クエンティン・タランティーノ

「ザ・コール 緊急通報司令室」
先日、笹野高史さんのマネージャーさん(女性です)と、映画の話をしていたら、
この「ザ・コール」がいかに面白かったか、という話になりました。
もっともっと評価されるべき映画だと思います。

「セッションズ」
障害者の性を描いています。首から下は動かず、呼吸障害も抱えている38歳の男性が主人公。セックスの経験がない、その男性が、セックス・セラピストに出会い、人生が変わっていく実話をもとにしたストーリー。

ヘレン・ハントがセックス・セラピストの役をヌードになって文字通り体当たり演技しています。
各国の映画祭で絶賛された作品ですが、日本ではR18指定されたこともあり、日本での認知度はイマイチ。でも、とっても、いい作品だから、もったいない。そもそもR18はやりすぎでは。
R15くらいならまだしも、誰が決めたんだが知らないが、ヌード・セックス=R18だとしたら、
画一的すぎませんかねえ。あのシモネタ満載の「テッド」だって、R15でしたからねえ。

「建築学概論」
韓国映画です。昨年、韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」を絶賛した私ですが、この「建築学概論」は、「サニー」より少し後に青春を過ごした男女の15年ぶりの再会の物語。
90年代アイテムが映画の重要なポイントになっています。

台湾映画の「あの頃、君を追いかけた」も、90年代に青春を送った人の物語で、これもとっても良かった。
アジア映画界は、完全に、80年代・90年代ふりかえり青春ストーリー・ブームですね。
きっと、日本の映画界、ドラマ界にも、その波が来ると思うんだが・・・


「キャプテン・フィリップス」
「ユナイティド‘99」で飛行機の中のテロとの戦いを描いたポール・グリーングラスが、
貨物船VS海賊の戦いを迫力満点に描きました。
海賊であるソマリアの貧しい少年達の事情も描かれ、単純に、
アメリカ=善、ソマリア(海賊)=悪、となっていないのが、作品を深くしています。

ソマリアの貧しい海賊少年が、アメリカの船を襲いながら、
「(夢は)アメリカに行って車を買うこと」と語るのは、とても心に残りました。

「ジャンゴ 繋がれざる者」
165分という長尺。ウェスタン活劇という要素。いくらディカプリオが出ていても、日本では、それほどヒットしないだろうなと思っていました。(実際、そんなにヒットしなかったらしい)
でも、これ、超面白いよ。オープニングの曲からワクワクします。(BY「続・荒野の用心棒」)
アメリカの西部劇が、イタリアでマカロニ・ウェスタンになり、タランティーノが、現代に“タランティーノ西部劇”として復活させた!!アカデミー助演男優賞を重唱したクリストフ・ヴァルツの演技も最高です。


さて5位から・・・

第5位 「ゼロ・ダークサーティ」
監督;キャスリン・ビグロー

監督のキャスリン・ビグローは「ハート・ロッカー」の監督で女性です。
そして主演のジェシカ・チャスティンは、「ヘルプ〜心がつなぐストーリー」などで注目されたものの、まあ、まだ若手の女優さん。そんな、まだイメージが固定されていない女優さんを主人公にして、ドキュメンタリーのような撮り方をしています。

物語は、ビン・ラディンの行方を追うCIAの、あるチームの戦い。
敵アジト突入のラスト30分はすごい。
倫理的に問題がある部分もあるが、それが、リアル・・・真実なんだなあ。



第4位 「少女は自転車に乗って」
監督;ハイファ・アル=マンスール 

監督はサウジアラビアの女性。
聞くところによると、サウジアラビアはイスラム諸国の中で最も戒律が厳しいらしい。
そんな国にあって、女の子が自転車に乗るなんて、もってのほか。10歳の少女には、
自転車以外にも、生活の中で様々な制限が課せられている。
そんな少女と、やはり戒律の中で生きる母。イスラムは、一夫多妻制・・・。
母も苦しみ、娘もあがく。戒律の中で、自分らしく生きようとする母娘の姿が、自転車に
象徴されていて、感動を生みます・・・・


さて 3位は・・・

「もうひとりの息子」
監督;ロレーヌ・レヴィ      

映画のキャッチコピーは   “母さん、僕は「敵」ですか? 「息子」ですか?”
この映画は、是枝監督の「そして、父になる」と同様、子供の取り違えの物語。

しかも取り違えられたのが、イスラエルとパレスチナ。すなわち、ユダヤとアラブ。
民族が違い、宗教が違い、習慣が違い、食べ物が違う。
「そして父になる」は、取り違えられた両家の環境の違い、貧富の違いが現実に存在することが描かれていたが、この「もう一人の息子」は、もっとなんていうか、国、民族、宗教という
本質的でどうにもならない問題の中で、親子という関係を見つめなおす。

僕らはもっと世界を知らないといけない。
日本では、洋画を見る観客が減り続けているという。「少女は自転車に乗って」もそうだけど、こういう映画は、“世界を知る喜び”を与えてくれる。
“世界を知る”ことが大事だとか、そういうことではなく、知らない世界をのぞくことは、
やはり楽しいと思わせてくれる映画だと思う。

                   
2位は・・・
「ゼロ・グラビティ」
監督;アルフォンソ・キュアロン

今も公開中。とにかく、この映画は映画館で、3Dで見るべき。今すぐ行くべき。
DVDで見てもダメです。さらにできれば、IMAXで。
数10年後に「スターウォーズ」と同じ文脈で語られるのではないか。



そして1位は・・
「きっと、うまくいく」
監督;ラージクマール・ヒラニ

この映画、新宿で見たんですが、上映修了後、観客から拍手が沸きました!!!

インド映画です。長いです(170分)。でも、とーっても面白いです。
インド映画だから、歌って踊るシーンもあります。でも、たるくなっていません。
“成功を追うのは間違いだ。優秀であれば成功はついてくる” そんなセリフがありますが、
ある種の教育問題を考える映画でもあります。(超学歴社会のインドだけに、暗記だけが
勉強じゃない、というメッセージが熱いです)
人生に希望を持ちます。元気が出ます。
インド映画、恐るべしです。食わず嫌いをしないで、ぜひ見てみてください。
こーいう映画が、やっぱり一番だなあ。


そのほかの映画では、
老夫婦の人生、介護、愛を描いた・・・
「愛、アムール」(監督;ミヒャエル・ハネケ)も、良かった。(両親のことを思い出されて、ちょっと辛かったけど)

あと、黒人初のメジャーリーガー“ジャッキー・ロビンソン”の人生を描いた・・・
「42〜世界を変えた男〜」(監督;ブライアン・ヘルゲランド)

主人公がとてもキュートで可愛い、フランス映画の佳品・・・
「タイピスト!」(監督;レジス・ロワンサル)
などは、とても面白かったです。

偉そうに、書いてきましたが、あくまで、私見ということで・・・
お許し下さい。
次回は、邦画を・・・

子供たちよ、大きくなったら、(もう一人は中学生だけど)、いつか見てね。


『菊野浩樹』の写真

菊野浩樹 プロフィール

1968年 5月14日 生まれ
1992年 TBS 入社
「アッコにおまかせ!」「ザ・フレッシュ」「筋肉番付」「ZONE」「世界陸上」「K1ダイナマイト」などを担当。

「バース・デイ」をはじめ、「プロ野球戦力外通告〜クビを宣告された男たち」「ラ イバル伝説…光と影」「プロ野球選手の妻たち」「SASUKE RISING」など、数々のス ポーツ特番やドキュメンタリー番組を手がける。

関連番組一覧

『バース・デイ』
毎週土曜午後5:00〜
『サワコの朝』
毎週土曜午前7:30〜