柊が立っている。
そこにやってくる美男。
美男「柊さん。どうしたんですか?」
柊「(微笑み)美男に1つ、クイズを出します。」
美男「(戸惑って)クイズ?」
柊「美男が女の子だってこと、俺が気付いたのはいつでしょう?」
美男「(怪訝そうに)…それは、PVの試写会の会場で…」
柊「(おどけて)ブー!ハズレ。」
美男「…?」
柊「答えは、美男がA.N.JELLに入った日。」
美男「(驚き)えっ?」
柊「クラブの屋上で、俺は酔っ払ったお前を抱きとめた…あの時からだ。」
美男「(驚いていて)」
柊「俺は、お前が思っているよりもずっと前から、美男のことが好きだったんだ。」
柊と向き合ったままの美男。
柊「…美男が、廉といて幸せなら、諦めようと思った。だけど、お前は苦しんでいる。」
美男「…」
柊「美男の気持ちが、今、俺にないことはわかってるよ。それでもいいんだ。待つのは苦手じゃないから。」
美男「…」
柊「…俺じゃ…廉の代わりになれないか?」
と、そこにやってくる廉。
美男と柊に気付く。
廉「!!」
廉に背中を向けている美男。
が、柊は廉が来たことに気付く。
柊「(廉を見て)…」
廉「(柊を見て)…」
美男「(胸が痛く)…私、今まで柊さんにどれだけ助けてもらったかわかりません。」
柊「…」
美男「…けど、ごめんなさい。私の気持ちは変わりません。」
と、行こうとする美男。
と、咄嗟に美男の腕を掴む柊。
そのまま胸に抱き寄せる。
廉「(見て)!!」
美男「!」
柊「(廉を見据えて)」
廉「(見返すが、目線を落として)…」
と、廉、きびすを返して去っていく。
慌てて柊の腕の中から離れる美男。
柊「(悲しく、美男を見つめて)…」
何も言えず、柊に頭を下げる美男。
背中を向けて、去っていく。
ふっと肩を落とし、苦しげに目を閉じる柊。
柊「…」