Kubota×下町ロケット Kubota

Kubota×下町ロケット

宇宙(そら)から大地へ 『下町ロケット』新シリーズの舞台は農業!
佃製作所の新たな戦いの舞台となる農業機械の提供、さらにはシナリオ制作や機械操作などのドラマ演出の技術監修に参画してくださっている株式会社クボタさんが、『下町ロケット』をより深く楽しむために、農業機械や技術に関して解説してくださいます!!
視聴者のみなさんも疑問があれば、「疑問・質問を募集」に書き込んでください。

第7回 『下町ロケット』でいう「無人農業ロボット」って

帝国重工の無人農業ロボット“アルファ1”のトランスミッションとエンジンの供給を決めた佃製作所。 元ギアゴーストの島津が加わり、トランスミッション開発は順調。殿村の圃場を使い、試運転がスタートしましたね。一方、「ダーウィン」チームはモニター募集を始め、一歩リード。そして次回は、帝国重工の「アルファ1」とダイダロス・ギアゴーストらの「ダーウィン」が再対決することになりました。
そんな『下町ロケット』に登場する“無人農業ロボット”ですが、”無人“とは?”一体、どんなことができるの?“と疑問に思っている方もいるのでは?
今回はクボタさんに、物語の中に登場する「無人農業ロボット」について解説していただきます。

下町ロケットでいう「無人農業ロボット」って

自動運転・無人化農機の開発

耕うんや収穫など機械化された農機の作業効率をさらに引き上げ、最小限の労働負荷で精密な作業を可能にする研究開発に注力しています。
図に示す通り、農林水産省の定義による自動・無人化のレベルには、3段階あります。クボタでは2017年にレベル2のGPS搭載トラクターのモニター販売を開始。コンバイン・田植機についてもレベル2の完成に向けて開発が進んでいます。
レベル3では、遠隔監視のもとに農道を無人で走行して、複数の圃場で無人作業を実現する予定です。
下町ロケットの作中で語られている「無人農業ロボット」とは、レベル2以上の技術を指しています。

お米ができるまで

では、GPS搭載 “自動運転・無人トラクター”を紹介しましょう

何ができるかというと…

❶ トラクターに乗らずに田畑が耕せます

人が乗車しない、無人での自動運転作業が行えるトラクター。リモコンによる遠隔指示で、作業開始、停止が行えます。高度なGPS(全地球測位システム)と自動運転技術「ロボットテクノロジー」により、精度の高い耕うん、代かき作業が無人で行える超省力化、軽労化のトラクターです。乗らなくてよいので、従来と比べ疲労度が全く違います。

❷ 2台を1人で操作できます

アグリロボのトラクターには単独で無人運転が可能な無人機と、無人機の監視機能を装備して自動運転が可能な有人機があります。無人機と有人機を2台同時に使用すれば、さらなる効率的な作業が可能です。2台を1人で。作業効率化の極みです。

❸ ベテランのオペレーター並みの高精度な作業

自動運転だからといって作業が雑、そんなことはありません。逆に常にGPSで高い精度で位置を計測しながら作業をするので、設定された作業域との誤差は、なんと数センチ以内。ベテランのオペレーター並みの高精度な作業が行えます。
クルマの自動運転とは異なり、センターラインなどの目標のないほ場※では、作業残しや作業ムラがないようにするには、より高い運転精度がもとめられるのです。

❹ 人はいませんが、人間以上に安全に作業を行います

安全も確保されています。作業中に人や障害物が現れてもその存在をセンサーで検知。ぴたりと停止します。また安全のため、障害物を取り除いてリモコンで発進の指示を出すまで勝手に再スタートすることはありません。

なぜできるかというと…
▼ これで実現!自動運転 GPS(作業位置を計測するシステム)により自動運転を実現
〜「ヤタガラス」は無人自動運転のための人工衛星〜

GPS

作中の「ヤタガラス」という人工衛星は、内閣府が主導する「準天頂衛星システム」をモチーフにしています。2018年11月にサービスが開始された準天頂衛星「みちびき」が農業分野をはじめ自動車・建機・工機分野・船舶海洋分野 ・物流分野・防災分野に利用されます。
いまの無人自動運転やオートステアリング(乗車しての自動操舵)は米国の「GPS ( Global Positioning System)」とロシアの「GLONASS」により測位(作業位置を計測)し、自動運転・自動操舵化を実現しています。

GPS(Global Positioning System)とは

全地球測位システムの略称。
アメリカが運営管理する人工衛星(約30個)からの電波信号をキャッチして位置を特定するシステムです。
位置を特定するために、最低でも3〜4つの衛星からの電波を受ける必要があります。
 また、アメリカ以外の国でも位置情報取得のための衛星システムを持っています。ロシアの「GLONASS」、中国の「BEIDOU」、EUの「GALILEO」、インドの「IRNSS」、日本の「QZSS」(準天頂衛星システム「みちびき」)など各国の衛星測位システムを総称して「GNSS(Global Navigation Satellite System,全球測位衛星システム)」といいます。

▼ これで実現!自動運転 GPSの位置情報を的確にとらえるユニット
〜数センチ単位の作業を実現させた装備〜

● 移動局:この優れものユニットがマルチに情報を受信
GPS受信機、基地局と通信する無線機、トラクタの姿勢を計測するIMU(慣性計測装置)の3つが一体となった精度の高いユニットを搭載しています。
● 基地局:さらに補正をかけることで情報精度がアップ
R T K(RealTime Kinematic)測位によるGPSの補正情報を、基地局からトラクタ側の移動局に送信することで、精度の高い、数センチ単位の作業が可能になっています。

▼ これで実現!自動運転 安全な自動運転を追求した装備を搭載
〜無人なのに危険を察知したら止まる訳〜

レーザースキャナ&超音波ソナー

無人機の各所に装備し、レーザーや超音波により、物体との距離を計測します。無人機の周囲で人や障害物を検知した場合、自動走行を停止します。

周囲確認カメラ

無人機のキャビン上部に4個のカメラを装備。前方および後方の映像、4つのカメラで生成した俯瞰映像を有人機の監視モニタまたはタブレット端末に送信します。

LED作業灯

夕暮れ時など、トラクタ周囲の監視がしにくい際に、視認性が向上します。無人機に6灯、有人機に4灯装着しています。

他の農機もGPSによる自動運転が行えます…
田植機 〜田植作業をラクにする「直進キープ機能」〜

直進時自動操舵をアシストする「直進キープ機能」を搭載。
1工程目に基準線を登録すると、次工程からはGS(直進キープ機能)スイッチを押すと基準線に対して自動的に並行走行します。簡単にまっすぐな田植えができます。

コンバイン 〜 自動運転アシストで、稲・麦の収穫 〜

「自動運転アシスト機能」を搭載。
まず田んぼのあぜ際から6m以上「手動」で周囲刈りを行えば、内側の未刈りエリアを「自動」で刈取ります。 グレンタンク(刈取ったもみをためておくタンク)下の収量センサでもみ重量を計測し、もみが満タンになるタイミングを予測。無駄のない最適なタイミングで、事前に設定したもみ排出ポイント付近まで自動で移動します。

視聴者のみなさんから届いた疑問・質問にお答えします!

農業機械の自動運転技術は、自動車の自動運転とは違う技術ですか?

自動車は白線や標識、前を走る車といった「目印」を基にハンドルや速度を制御します。農業機械は目印が無い農場を走るので、衛星からの信号で農業機械の「位置と方位」を高精度で計測しながらハンドルや速度を制御します。
外部の目印に頼らないのが農業機械の自動運転技術の特徴です。

自動運転トラクターの精度は数センチということですが、ドロドロの農地で必要な精度を教えてください。また、その精度を出すために必要な技術を教えてください。

農作業の種類によって必要な精度が決まります。例えば播種(種まき)では数センチ、耕うん(農地を耕す)では10センチ程度の精度が必要です。それには、最適な走行ルートを計算する「経路作成技術」、測位衛星信号による「位置計測技術」、トラクターのハンドルやトランスミッションを制御する「車両制御技術」の3つが必要です。

わずか数センチの精度。クボタさんは佃製作所のように精度を高め、誤差0を目指しているのでしょうか?

はい、究極の精度での高度な農作業の実現を目指して技術開発を進めています。

クボタさんでは設計に当たって、農業機械にとって過酷な使用状況をも勘案して、信頼性を高める設計が行なわれているものなのでしょうか?

機種特性に応じて作業に耐えうる設計を行うと共に耐久性を確認するフィールド試験を経た上で、製品の市場導入を行っています。

田植え機、トラクター、コンバイン等を一台の機械でアタッチメント交換することは出来ないのでしょうか?

トラクターの耕うん作業、田植機の田植え作業、コンバインの収穫・脱穀作業を1台で対応する技術はまだありません。

トラクタ等のタイヤは、パンクすることがないように、どのような対策がされているのでしょうか。また、車のように前進だけでなく後進もするのでしょうか?

トラクタのタイヤは車と比較するとゴムが厚いのでパンクするケースは少ないです。また自動車と同様に前進・後進は可能です。

トラクタなどの農業機械。運転するために免許は必要ですか?子供も運転できますか?

私有地で作業する場合は、運転免許は不要です。一方で公道を走行する場合は、小型特殊自動車(機種によっては大型特殊自動車)免許が必要です。
私有地での運転には法的規制はなく、運転者の制限はありませんが、トラクタは自動車よりも操作が複雑で、また機械の特性上危険も伴いますので、お子様の運転はおすすめできません。

1890(明治23)年創業。水道用鉄管の国産化に成功し近代水道の整備に貢献。農業機械による食料増産と省力化、環境施設による人類と環境の調和など、食料・水・環境分野の課題解決に向けた事業を展開している。

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