- 自然体のキャプテン
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決勝ラウンドが行われるミラノから、車で1時間ほどのノバラという街で
世界バレーの事前合宿を行っている眞鍋ジャパン。
開幕まで1週間を切る中、眞鍋監督は「精度を上げ、パス一本でも相手の事を考え愛情を持っていこう」と選手達に呼びかける。
その言葉通り一本一本の練習内容は、より細部まで精度を求めて行われている。その中で調子を上げているのがキャプテン2年目の木村沙織(28歳)。
「いよいよ始まるので初戦にベストに持っていけるように、今シーズン世界バレーで
一番を狙うのが私たちの最大の目標なので、いい緊張感で練習出来たらと思います」
と話す木村。そこにはキャプテンとして試行錯誤を繰り返して来たからこその余裕が感じられた。あまり人前で話すタイプではない自分を押し殺し、言葉を振り絞って仲間を鼓舞してきた昨年。「どうチームを引っ張っていったらいいか分からなかった」と自分自身の調子まで崩してしまった。
そんな彼女に“自分らしさ”を思い出させてくれたのは元キャプテン竹下佳江さんの
「楽しんでやりなよ」の言葉だった。ふっと力が抜けたという。今年はその場で思った事を素直に選手達に伝え、無理して話す事もなくなった。
「自分らしくいる事が一番だと思うし、キャプテンキャプテンっていうタイプでもないの で、変に背負うのではなく自然体でいればいいんだなって今は思っています」練習を終え、バスが渋滞で遅れている間もイラつく様子など微塵もない木村は、
駐車場の片隅で四葉のクローバーを探し当てる。
いいことが起こる予感に自然な笑顔を見せる日本のキャプテンだった。