特集

地球史を体感

バイカル湖編 石渡ディレクターインタビュー

6月5日と12日の2週に渡って放送する「特集:地球史を体感する」。2回目にあたる12日の放送では、世界遺産「バイカル湖」が登場します。世界で最も古いなど、さまざまな「世界一」を誇るバイカル湖を取材した石渡ディレクターに、取材時の様子や苦労などを伺いました。

まず、今回取材をしたバイカル湖とはどんな湖なのでしょうか?

バイカル湖編

石渡:ロシア東部シベリアの南方、モンゴルとの国境に近い場所にあり、約4500万年前に地殻変動によって生まれた世界最古の湖です。断層の亀裂にあるため世界一深く、また世界一透明度が高い湖でもあります。海底に海綿がたくさん生えており、それが水を浄化する作用を持っているのです。さらに、貯水量も世界一です。地球上の淡水の約20%がバイカル湖にあり、これはアメリカの五大湖を全て合わせたほどの量です。

いくつもの「世界一」を持っている湖なのですね。取材中の様子を教えてください。

石渡:意外にもバイカル湖は日本との時差が1時間の位置にあり、イルクーツクを経由して入りました。巨大な三日月型で、全長は南北で約635キロ。あまりに大きくて全ては取材できないため、今回は湖の南のリストビアンカという街から、最大の島であるオリホン島を目指しました。湖は冬場に全面凍結しますが、オリホン島の最北端が最も美しい景観があると言われています。

それほどの巨大な湖面が全て凍ってしまうのですか?

バイカル湖編

石渡:ええ、取材に行った今年の3月は約1メートルの厚さの氷が張っていましたが、通常は1メートル50センチ程らしいです。それでも、透明度が高いので氷の下の水中が透けて見えます。ところどころに30センチほどのひびが入っていて、氷があまりに透明なので、目の錯覚でひびの深さが氷の厚さに見えてしまうのが怖かったですね。

重量のある車で乗り入れても大丈夫なのですか?

石渡:危険な箇所はあります。10センチほどの亀裂でも急に開くことがあり、タイヤが挟まって氷が閉じてしまうことがあるので大変危険です。諏訪湖の「御神渡り(氷が気温の高低で膨張と収縮を繰り返し、亀裂やせり上がりを生み出す現象)」のような亀裂があちこちにあり、先を遮られてなかなか進めませんでした。迂回して道を探したり、通り抜けても数時間後には通れなくなって帰り道を探したりと、氷上をウロウロすることもありました。

何時間も広大な湖面の上を車で走るなんて状況は、ちょっと想像つかないですね。

石渡:車の重量の怖さもありますが、湖面がスケートリンクのように滑るのが危険でしたね。レールなどの撮影機材も簡単には出せず、レールを敷いても気づいたらレールごと滑っていたり……。カメラを壊してしまうと撮影ができなくなるので、とにかくハラハラしました。