インタビュー
阿部サダヲさん桜井信一 役
「下剋上受験」を読んだ感想を聞かせてください。
最初、実話と知らなくて読んでびっくりしました。塾にも行かず、娘と一緒に勉強して最難関中学を受験したというのを読んであり得ないことをする人だな、と思いました。どんなジャンルでも「あり得ないだろう、こんなこと出来るわけがない」ということを、みんなに反対されてもやり遂げた人が語り継がれていく「偉人」なんだと思っています。
でも絶対に無理、というところに向かっていくのは楽しいですよね。ドラマでは、そこにたどりつくまでの紆余曲折を楽しんでいただきたいです。
原作者の桜井信一さんともお会いになりましたが、どんな印象でしたか?
お話しがとても上手で、想像していた人とは違いました。最初にお会いした時は、もっと無口で、いかついというか怖そうだな、と思っていたのですが、面白い方でした!
1年半、受験のために寝る間も惜しんで友だちや親せきにも会わず、それでもやって良かったとおっしゃっていました。ドラマは3か月の短い期間ですが、桜井さんくらいの気合いで頑張ります。
役作りや演じる時に意識していることなど教えてください。
台本を読んでみて、とてもまっすぐな人ですけれど、感情的に揺れていたほうが面白いな、と考えました。負けず嫌いで、大人なのに不安定で、毎回笑って泣いて、という人なので、演じる際には平常心は必要ないかな、と思っています。娘の佳織のことが本当に大好きで、僕にも娘がいますが、その気持ちは負けないと思っていますので演じていて楽しいです。
中学受験というのは独特のものがあるようですね。
桜井家のセットに参考書がたくさんあって、空き時間とかに開いてみても全然わからないんです。解答書もあるんですけど、質問自体がさっぱりわからないので、それがこの問題の答えなのかどうかもわからなくて…。難関の学校を受験する子は、本当にすごい問題を解いているんだなと感心します。
撮影現場の雰囲気、共演者の皆さまの印象を聞かせてください。
家族のシーンは勿論、どのシーンもすごく楽しいです!お父さん役の小林薫さんは渋めの役柄が多い方ですけれど、久しぶりにコメディのお芝居で、面白がってくださっていて、お芝居をしていて楽しいですし、さすがだな、といつも思っています。
深田恭子さんは、皆さんにも「お母さん」という印象はあまりないと思うんですが、かわいらしい奥さんで、魅力的なお母さんです。独特のトーンを持っている方で、深田さん的な中卒という設定のお母さん役へのアプローチをされているんだな、と感じますね。
美紅羽ちゃんもとても自然な子で、こちらの芝居に対してもきちんと返してくれます。いろいろな面を引き出せるといいなと思っているので、どんどんぶつかってきて欲しいですね。
家族以外にもさまざまな方々が登場しますが、いかがですか?
佳織のクラスに転校してきた女の子のお父さん役で、要潤さんが出演されているんですが、一緒にお芝居したい方だったのですごく楽しみでした!でもまだ直接芝居をやりとりするシーンがないんです。信一と違ってエリートでお金持ちの役ですが、今後どう絡んでいくのか期待しています。会社の後輩としてやってきた楢崎役の風間俊介さんは、いろいろ考えて現場に入っていて、頭のいい俳優だな、と感じています。仲間内の中では一番若くて大学卒という設定なのですが、本当にぴったりです。
中卒仲間が集まる立飲み屋「ちゅうぼう」の面々も個性の強い役者が揃っていて、この先、受験をしようと決意した信一とどうなっていくのかも楽しみです。上司役の手塚とおるさんは実は地元も同じ先輩で、久しぶりに共演させていただくので緊張します。
ご覧の皆さまにメッセージをお願いします。
この「下剋上受験」は中学受験までの1年半を描いていますが、お受験ドラマという事だけではなく、まるでスポ根ドラマのようで、皆さんが応援したくなるような熱いドラマです。諦めないという気持ちは一番大事なことで、常に「こうしたい、こうなりたい」というビジョンがないと成長出来ないと思います。
そんな熱さもありつつ、桜井家は下町に住んでいる家族で、ホームドラマの中でもアナログでどこか懐かしい、ぼくが中学か高校の頃に見ていたような感覚のドラマです。是非、家族そろって見ていただきたいです。