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展示構成
第2部 シカン文化の世界−インカ帝国の源流
16世紀初頭、スペイン人が征服し略奪したインカ帝国に黄金製品の製作技術を伝えたのは、滅亡したシカンの地から連れて行かれた職人だといわれている。シカン文化が繁栄したペルー北海岸はアンデス文明の先進地域として数々の技術革新を成し遂げ、新しい世界観を示し、のちのインカ帝国にも大きな影響を与えたのであった。
<宗教>
シカンの土器や金属器の多くには、「アーモンドアイ」と呼ばれるつりあがった目を持つ人物像が彫刻されていることが多い。この人物像は「シカンの神」で、森羅万象を司り、自然や人々に影響を与えると考えられていた。
シカンは北海岸地方の人々の信仰の中心となった宗教都市であった。ここではシカンの人々がどのような信仰を持ち、世界がどのような「構造」を持つと考えていたのかを明らかにする。
<交易>
現在のシカン遺跡周辺では採集できないものがシカン遺跡から発掘されることがある。たとえば、装飾品として加工されるスポンデュルス(ウミギクガイ)はもっと赤道に近い地域でとれるものだし、金鉱は周辺には存在しない。 研究の結果、シカンは広域の交易ネットワークを形成していたことがわかっている。いったいどこからどのようなものが運ばれてきたのだろうか?
<技術力>
シカン遺跡はアンデス文明のなかでもとくに大量の黄金の装飾品を作り、また実用具に使われた砒素銅(青銅)の大量生産技術をはじめて確立した文化だった。島田教授とPASは銅鉱や砒素銅工房を発見すると同時に、こうした砒素銅の精錬方法をアンデス史研究史上はじめて解明した。シアルーペ遺跡でも砒素銅と土器の工房を発見したが、この工房の発掘物を分析して、シカンの黒色土器の製法をもはじめて明らかにしている。