===森本毅郎・スタンバイ！===

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「シンデレラマン」四月の雪」

2005年09月13日

「シンデレラマン」９月１７日（土）公開

ラッセル・クロウとロン・ハワード監督が再びコンビを組んでアカデミー賞を受賞した「ビューティフル・マインド」と同様に実在した人物を主人公にした感動的なドラマ。
シンデレラマンの由来は、右手を負傷して引退したブラドックが、経済不況のあおりを受けて失業者となり貧困の中からカンバックに成功して夢を叶えたことから来ている。
レネー・ゼルウィガー演じる妻と３人の子供という家族をすさまじい貧困状況から必死に守り抜こうとする闘いぶりがドラマの中心になっている。
もう１つの見所は、彼をカンバックさせるマネージャーとの友情のドラマ。
マネージャーを演じるポール・ジアマッティ（｢サイドウェイ｣）のすばらしい演技がドラマを大きく膨らませていく。
さらに、ファイトシーンも見ものでクライマックスのチャンピョン戦ではお互いの髪の毛の間に超小型カメラを設置して、殴りかかる相手のすさまじい形相をリアルなアップで捉えてみせる。

「四月の雪」９月１７日（土）公開

話題のヨン様主演第２作。１作目の「スキャンダル」は時代劇だったが、今回はヘアスタイルやメガネも含めて「冬のソナタ」のイメージを完全に再現。
ぺ・ヨンジュンが演じる主人公はコンサートの照明係り。
妻が車の事故で昏睡状態で病院に運ばれ、駆けつけると同乗者の男は不倫相手と判明。
観客をじらしにじらして、ようやく一時間経過したころにヨン様のベッドシーンが登場。
さらに自慢の肉体美をクローズアップで見せるベッドシーンが２５分後にも再登場というサービスぶり。
ホ・ジノの監督（「８月のクリスマス」）もヨン様が動くポートレートに徹した気配。

「チャーリーとチョコレート工場」「銀河ヒッチハイクアイド・ガイド」

2005年09月06日

「チャーリーとチョコレート工場」９月１０日（土）公開

ジョニー・デップとティム・バートン監督コンビの４作目。
イギリス作家のロアルド・ダールの児童向けファンタジーの映画化。
ジョニー・デップが演じるウィリー・ウォンカは日本では馴染みが薄いが英米では有名なキャラクター。
物語は、門を閉ざした謎の工場から毎日世界中へチョコレートを出荷している謎めいた億万長者ウォンカが、チョコレートに封入された幸運のチケットを引き当てた５人の子供たちを工場に招待するところから始まっていく。
見所は、数々の秘密に彩られたチョコレート工場の光景でディズニーランドを１００倍華やかにしたような遊園地さながらの楽しさ。
スケール感を出すためにＣＧを最小限に抑え、巨大なセットの数々を建設。
極彩色の人工美溢れる世界を再現。コミカルなギャグも満載で「ザッツ・エンタテイメント」を思わせるミュージカルシーンや「２００１年宇宙の旅」、そして「サイコ」なども登場。
なお、一部の上映館限定となっているが、今回、アロマトリックスという装置を使って、工場内のシーンになると映画館内にチョコレートの匂いが立ち込めるという新方式の上映も試みられる。

「銀河ヒッチハイク・ガイド」９月１０日（土）公開

「スター・ウォーズ」が苦手なお父さんも楽しめるレトロ感覚のＳＦアドベンチャー。
※ある朝突然、宇宙バイパス建設のため地球が破壊され消滅するが、たった一人生き残った主人公が、銀河ヒッチハイク・ガイドというサバイバル本を頼りに宇宙を彷徨うという展開。
これまた日本では馴染みが薄いが、イギリスではカルト人気を誇るシリーズで、そもそもはラジオドラマからスタート。
人気が出て小説化され、さらにＢＢＣテレビでシリーズ化された。
この作品もＣＧを極力抑えて、手作り感覚の特撮が見せ場となっていて、人気者の頭でっかちのロボットなど見るからに着ぐるみという趣向。
宇宙創造の秘密に迫るクライマックスではＣＧ全開となるが、総体的にはアンチ「スター・ウォーズ」派向け。

「南極物語」「奥さまは魔女」

2005年08月30日

「南極日誌」公開中

タイトル通り全編南極が舞台で、６人の探検隊員の歩みを描いていく。
彼らの目的地は、どの海岸線からも最も遠い地点にある《到達不能点》
ブリザード（猛吹雪）やクレバス（氷の裂け目）など、厳しい条件と闘いながら進む序盤は、いわゆるアドベンチャー映画の趣。
ところが、８０年前に遭難したというイギリス探検隊の日誌を発見したところから隊員たちの間に次々と不思議な事件がおき始める。
そこから映画は一気にホラー＆サスペンスのムードが濃厚な展開になる。
隊長を演じるのはソン・ガンホ、「殺人の追憶」や「大統領の理髪師」などでお馴染みの演技派。
氷に覆われた白一色の世界が人間を狂気へ追い込むという状況の恐怖感を「シャイニング」のジャック・ニコルソンを思わせるキャラクターで表現してみせる。
監督はイム・ピルソン、３３歳でこれが長編デビュー作。
この新人監督を支えているのが「殺人の追憶」の監督ポン・ジュノ。

「奥さまは魔女」公開中

日本でも６６年からテレビで放映された人気ホームドラマのリメイク。
オリジナル版では、エリサベス・モンゴメリーが演じたヒロインのサマンサをニコール・キッドマンが演じる。
監督はノーラ・エフロン、「恋人たちの予感」など一連のメグ・ライアンのロマンティックコメディでお馴染みの女流監督。
単なるリメイクではなく、本物の魔女のキッドマンが人間の愛を求めて地上に降り立ったところ、「奥様は魔女」のテレビのリメイク版のヒロインに大抜擢されるという二重構造になっている。
見所のひとつは、ニコール・キッドマンのファッション。
色とりどりのセーターとカーディガンのニットファッションが次々と２０数パターンも登場。
お洒落な女性におすすめ。

「晩春」「乱れる」

2005年08月23日

今週はスペシャルウィークということでいつもと趣向を変えて傑作ＤＶＤ特集。

「晩春」 8/27(土)発売
- 松竹から発売されたＢＯＸシリーズでは第２集に入っている。
  （「東京物語」は第１集）
- 作品はデジタルリマスターの成果がすばらしい。
  画面の傷や汚れを修復し、サウンドもノイズを除去して、完成時のクオリティを味わうことができる。
- 父親と娘との愛情を描いたのもので、妻を亡くした学者を笠智衆。
  結婚よりもその父親と一緒に暮らしたいという娘を原節子。
  ちなみにこの作品が、原節子にとって初の小津作品になる。
- 小津といえば、「東京物語」が最高傑作というのが定説だが、僕にとっては、この「晩春」がベスト。
「乱れる」先月7/22から発売中
- 成瀬巳喜男映画に欠かせない高峰秀子が戦争未亡人のヒロインを演じる。
  その彼女が再婚して家を出て行くことを望んでいる亡き夫の母親や妹たちとの確執に加えて、加山雄三が演じる義理の弟との禁断の恋が描かれていく。
- 成瀬監督は、小津監督と同様松竹から監督としてスタートしたが、当時の撮影所所長、城戸四郎に「小津は２人要らない」と言われて、ＰＣＬ（現在の東宝）に移った。

「ハッカビーズ」「愛についてのキンゼイ・レポート」

2005年08月16日

「ハッカビーズ」 8/20(土)公開

デビット・O・ラッセル監督の新作。
湾岸戦争を題材にしたコメディ「スリー・キングス」で注目された若手監督。
出演者は「スリー・キングス」のマーク・ウォールバーグを筆頭に、超売れっ子のジュード・ロウ、「ザ・リング」シリーズのナオミ・ワッツ、ここのところ脇役出演が続いているダスティン・ホフマンなど多彩な顔ぶれ。
主人公の環境保護活動家を演じるのは、ジェイソン・シュワルツマン。
日本での知名度は低いが、フランシス・コッポラの妹で「ロッキー」でシルベスタ・スタローンの相手役を務めた女優タリア・シャイアの息子。
コッポラ・ファミリーの一員。
自分探しというテーマを、屈折した笑いを盛り込んで描いていく。
ラッセル監督のユニークな語り口は、好き嫌いがはっきりと分かれそうだ。

「愛についてのキンゼイ・レポート」 8/27(土)公開

キンゼイ・レポートとは、大学助教授のアルフレッド・チャールズ・キンゼイが１９４８年に出版した「人間の男性の性行動」のことで、当時は人前でセックスについて口にすることさえタブーだった時代に、９年の歳月をかけて、１万８０００人にインタビューしたものをまとめた結果で、学術書として異例のベストセラーとなり、大きな話題となった。
この映画はキンゼイの半生を妻だけではなく彼の研究を支えた助手たちとの性的関係を盛り込んで描いたユニークなラブストーリー。
見所は次々にドキュメンタリータッチで展開されるインタビューシーン。
いかに相手の心を開かせ、素直で正直な答えを引き出すか、まるでインタビューテクニックのお手本を眺めているようだ。
監督はビル・コンドン、「シカゴ」の脚本でアカデミー賞にノミネートされ注目されたが、監督としても「ゴット・アンド・モンスター」という実在したあるゲイの映画監督の老いらくの恋を美しく描いた作品でも注目された。

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