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〜10人の脚本家と10組の名優が贈る、10の物語〜

2014年7月13日スタート日曜よる9時

インタビュー

役所広司さん&満島ひかりさん(第二話「ウエディング・マッチ」出演)

この作品の魅力はどんなところでしょうか?

役所広司さん (以下、役所) 楽しい脚本だし、父も娘も陽気でたくましい人たちなので、やっていて楽しかったですね。僕には娘はいないんですけど、これだけ会話する父娘ってなかなかいないと思う。しかも体をぶつけ合ってスキンシップもバッチリで (笑)、“こんな親子なんかいいなあ” と思えるドラマじゃないでしょうか。

満島ひかりさん (以下、満島) 監督も同じことをおっしゃっていてビックリしたんですが、脚本を読んだとき 「なんてエロティックなんだ!」 って思ったんです。私にとって父は最初に結婚したかった人で、一番憎むべき存在でもあって、いろんな感情が入り混じる存在です。父とはスキンシップも会話もよくしますけど、娘に触れる前って、いつも躊躇があるんです。「 (触って) いいかな 」 って。ここが父と娘の不思議な関係だと思うんです。
きっと鶴橋監督もそこをわかって色々撮っていたんじゃないかなーって。ドラマには一言では語れない親子が映っていると思います (笑)

役所さん、草輔には共感できますか?

役所
こんなおやじで娘はかわいそうだな、と思いますよね…。お母さんはあんまり出てこないけど、僕はお母さんの存在は大きいと思うんですよね。ないがしろにして二人だけで生きてきたけれど、草輔は最終的にお母さんの為にも頑張らなきゃいけない!って奮起しているんじゃないですかね。

満島さん演じる誠は女性として大事な時期をすべてボクシングに捧げていますが、ご自身共感できる部分はありますか?

満島
どうだろう…。ボクシング止められたらいいのにって、やりながら思いました。

どうして誠はボクシングを止められないんでしょうか。

満島
「なぜ止められないんだろう?」 と私も思っていました。でも多分、自分がいないとお父さんは死んじゃうと思っているんじゃないかな。演じてみて、誠が草輔さんの栄養となってパワーを分け与えているのかもしれないと気づきました。

今回お二人は初共演とお聞きしましたが、お互いに抱いていたイメージと共演してからの印象はいかがでしょうか。

役所
初共演… といいますか、一緒のシーンはありませんでしたが以前同じ映画に出たことがあるんですよ。
僕が言うまでもないですが、本当にいい女優さんですからね。彼女はボクシングを練習していても僕が帰るときも残って練習しているくらい熱心で。役者は現代劇にしろ時代劇にしろ、役を演じるときに習い事をしなきゃいけないことはよくありますが、こうやって一つ一つちゃんと勉強して一生懸命やっているから、満島さんという一人の女優は画面で非常に輝くんでしょうね。
満島
(その言葉に) ありがとうございます!
私はきっと役所さんにたくさん迷惑を掛けました。セリフを先に言っちゃったり、一つのことにこだわると次に進めない性格なので、そういう部分でもいっぱい迷惑掛けたんだろうなと思います。
19才のとき 『赤い橋の下のぬるい水 』 (2001年) を見て感動してから、役所さんの出ている映画を色々拝見してきました。でもいつも “ひっかからない” んですよ。常に目指すべきところなんですが、いろんなところで柔軟に、もともとそこにいる人みたいにそこにいてひっかからない。映画をいつも物語で見せてくれる素晴らしい俳優さんだなあとずっと思っていました。
実際に共演させて頂いて… 役所さんは 「すごいなあ」 と。どうやって生きてきたんだろう、どんな顔をしておうちにいるんだろう、と撮影中毎日思っていました (笑)。さっきも撮影の合間に豆大福を差し入れるために役所さんのお部屋に行ったら、逆光の中、窓際で後ろ向きに青いダウンを着て身をかがめて座っている姿を見て、うん、なんか… 生活感感じなくていいなあって (笑)。
私は坂元さんが脚本するドラマを4回やらせていただいていて、坂元さんのあの長台詞を言う俳優さんを目の前でたくさん見てきましたが、今回 (役所さんに) ああ、こんなに自分の言葉に落とせるんだと。それを目の当たりにしてすごく感動しましたし、勉強になりました。
役所
(照れ笑い)

自分の言葉に落とすために、努力していることはあるんでしょうか?

役所
でも、坂元さんのセリフはよく書けているんですよ。長くて無駄なようでいて実は全然無駄がない。読めば読むほど、「作家がこういうことを言葉によって、見ている方たちに予想させようとしているのかな」 って感じたことがいっぱいあるんで、それを俳優が探っていく作業は面白いといえば面白いし、大変といえば大変です (笑)

満島さんは坂元さんの脚本は何本か演じられてますが、今回はいかがでしたか?

満島
最初に読んだときは 「ふざけるな!」 と思いました (笑)。こんな短期間でボクサー役だなんてふざけるなって。坂元さんに最後に一発食らわせてやろうと思いながら (笑) ボクシングの練習をしていました。坂元さんのすごいところは、本を読んだときは 「こう (いう感情に) はならないでしょ」 と思うシーンが、実際にやってみると台本の通りになっちゃうところ。どうしてでしょうね。

ご自身にとって 「おやじの背中」 とは?

役所
子供の頃からおやじの背中は見てきましたけど、そのときはピンと来なかったんですよね。でも自分が父親になってからおやじのことを思い出しますね。そりゃもうおやじとは喧嘩もしましたし、おやじのすねてる背中も見てきました。そのときの本当の心情はわからないですが、自分がおやじになって、「あれ、これって自分もあのときのおやじと同じ背中してるんじゃないかな」 って気づいたりね。そういうことが段々おやじの背中として納得できていくのかもしれないですね。
満島
「おやじの背中」 といえば、夏になると父が白のブリーフ一枚でソファに座ってた、そのときの背中を思い出しちゃいますね (笑)。二の腕の途中から下だけが赤く焼けていて、背中は真っ白。その姿でそうめん食べながらスポーツ中継を見ていた、あの背中を一番に思い出します。
それから実際には見ていない父の背中が頭に浮かんでくることが一つあるんです。東京に上京するときに、父はあまり干渉しない方なので上京するときもとくに反対はされなかったんですが、母が 「 (父が) 後ろ向きでソファに座っていたんだけど多分泣いてた」 と言っていて。その光景をたまに想像することがあります。実は草輔さんに似ています、うちの父。結構むちゃくちゃなんです (笑)

理想のおやじ像は…?

役所
いろんなおやじがいるでしょうけど、一生懸命生きていればいいんじゃないでしょうかね。一生懸命生きている人、失敗を何度やっても投げ出さず一生懸命生きている人はきっと子供にとっては大きな財産になるんじゃないかな。
満島
理想のおやじは思い浮かびませんが、現場にいると役所さんや鶴橋監督もそういえばおやじなんだなって。なんだかすごいおやじたちだなと思いながら見ていました (笑)。私の父はおやじというよりも “father” って感じ… 決して理想ではありません (笑)

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