あらすじ:
『美人妻と武士の一分』/遠野(2007年7月23日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は遠野に着いた。老公は勘定方の侍・貫井平九郎(ぬくいへいくろう・寺門ジモン)とその妻・由紀(多岐川華子)と出会う。町の人々の信頼が厚い藩の御用商人・美濃屋惣兵衛(住吉正博)の援助を得て、由紀は子供たちに読み書きを教えている。
平凡で特に取り柄のない平九郎に釣り合わないほど美しく若い由紀が嫁になったことが、やっかみ半分で城中の噂になっていた。
格さん(合田雅吏)がそろばんが得意だと知り、平九郎は仕事で持ち帰った帳簿の計算を手伝ってもらう。仕事がはかどり平九郎は大喜びだ。
ところで由紀は城代家老・宮前左近(石田太郎)の茶会に招かれ、偶然宮前と米問屋・布袋屋市兵衛(入川保則)の話を聞いてしまう。その時、殿様のお墨付きという言葉と二人の慌てたような態度に不安が残る由紀だった。
そんなことがあって程なく美濃屋が宮前に呼び出され、藩の御用を取り上げられる。身に覚えのない仕打ちに反発する美濃屋に、宮前は殿様のお墨付きを見せ、これは殿様の意向であると声を荒げる。藩御用は今後、布袋屋が引き受けることとなった。
美濃屋を襲った突然の不幸に驚く平九郎と由紀。平九郎は宮前の腹心・川辺周蔵(井上高志)が隠している二重帳簿を発見し、宮前と布袋屋が年貢米の横流しをしている証拠をつかんだ。
風車の弥七(内藤剛志)は、布袋屋が各地で闇取り引きを企ててきた悪商人であると老公に報告する。
平九郎は証拠の帳簿を老公に託し、自分は宮前の不正を殿様に訴えるため盛岡へ向かう。だが平九郎は宮前の配下に捕まり、由紀までも捕らわれの身となった。宮前は平九郎を脅し、帳簿を取り戻そうとするが…
『育ての母、涙の決心』/一関(2007年7月30日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は一関へ。一行とは別行動の格さん(合田雅吏)は学問好きな少年・新吉(鈴木悠生)と出会った。新吉は母親のお久(北原佐和子)と二人暮らし。新吉はけがで命を落とした父親のような人を救うために、医者になりたいという夢を抱いていた。
お久の留守中、塩釜の網元だという廣助(江藤潤)が突然訪ねてきた。廣助に本当は自分の息子だと言われ、新吉は驚いた。十二年前、よんどころない事情があり廣助夫婦は新吉を手放したが、ぜひ引き取りたいと廣助は訴える。
事実を知りたいという新吉に、お久は自分の息子に間違いないと語るのだが、実は新吉はお久の子ではなかった。お久は新吉の医者になりたいという希望を知り、網元の子に戻れば、莫大な費用のかかる医者になるための学問もさせてやることができると考え、心が揺れる。お久は心を鬼にして自分の子ではないと新吉に明かし、廣助に戻るよう新吉を突き放つ。
ところで、一関に江戸から豊姫(北村理紗)が初めてお国入りすることになった。御年寄・長篠の局(高林由紀子)が豊姫に贈る袴をお久が縫い上げることに決まった。御年寄の座を狙う中年寄の葛木(藤田佳子)は、長篠の局を失脚させるため用人の沢野四郎兵衛(立川三貴)と手を結び、袴に細工を試みる。沢野は新吉を捕らえてお久を呼び出し、袴に針を忍ばせるよう脅迫する。
一方、豊姫の一行にくノ一の蘭(響美)が紛れていることを見抜いた風車の弥七(内藤剛志)は、豊姫を巡る悪事の存在に気付き、老公に報告するが…
『真夏の恋の物語』/尾花沢(2007年8月6日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は尾花沢へ。銀山のあるこのあたりは天領地である。役人たちが人相書きを手に、街道で通行人を厳しく詮議しているところを見て老公は不審に思った。
お娟(由美かおる)は役人に取り囲まれ詰問されていた行商人・真崎翔之介(永島敏行)を気転を効かせて助ける。さらに銀山の坑道近くで何かを探るような動きを見せ、役人に追われていた真崎を再びお娟が逃がしてやるのだった。真崎はお娟も引かれる男ぶりだ。
真崎は南部藩の侍で、脱藩者・津久井忠三郎(新藤栄作)を藩主の命を受けて追っていたのである。津久井は短銃の開発に熱中するあまり、藩を抜け出すことになった。尾花沢の代官所手代・鳥飼藤造(藤堂新二)は津久井を銀山の中にかくまい、銃の研究を支援する。鳥飼は津久井の銃を量産させ私腹を肥やそうと企んでいる。役人たちは、真崎を捕らえるため街道を見張っていたのである。
風車の弥七(内藤剛志)の調べで老公は鳥飼の悪巧みを知る。鳥飼の悪事の証拠をつかむため、助さん(原田龍二)と格さん(合田雅吏)は銀山に潜入する。
ところで津久井には妻の志津(若林志穂)が付き添っていたが、津久井と志津そして真崎の三人は、幼なじみであった。一度は志津と婚約した真崎だが、真崎は一方的に約束を違え、志津は真崎を恨んでいた。津久井の妻となった今もその恨みは深まるばかりだ。
だが心の底では互いへの愛情を断ち切れない真崎と志津。二人の気持ちを知って、お娟は二人を引き合わせるよう手引きする。
ついに津久井の銃が完成した。そして真崎と津久井に対決の時が来た。激しく刃を交える二人。だが真崎は津久井と志津が幸せに暮らせるよう、ある秘策を心に決めていた…。
『耐えて忍んだ嫁いびり』/山形(2007年8月13日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は、紅花の栽培が盛んな山形に着いた。庄屋・嘉兵衛(滝田裕介)の仕事場では、人々が総出で紅花の出荷の準備に精を出す。病にふせる嘉兵衛に代わって女房のお梶(二宮さよ子)が仕事を仕切り、嫁のおはな(高橋由美子)が献身的に嘉兵衛の看護をしていた。
嘉兵衛とお梶の息子で、おはなの夫・信太郎は、すでにこの世になく、信太郎の七回忌が間近に迫っていた。その準備も慌しく行なわれていたが、お梶は事あるごとに小言が絶えず、厳しくおはなに指図する。おはなは息子の太一(森川航)と一緒に暮らせることを心の支えにして、お梶の嫁いびりに耐えていた。
ところで、お梶が紅花を安く買い叩くので、人々がほとほと困り果てていた。農民たちはおはなに、お梶の値の決め方が納得できないと相談する。おはなが人々の苦しみを訴えてもお梶は聞く耳を持たない。
お梶は人々を苦しめてまで工面した金を、郡奉行の塚田頼母(野崎海太郎)に貢いでいたのである。塚田の機嫌をそこねては庄屋の立場が危ういからだ。
金に困った人々は高利貸しの伝造(浜田晃)から借金せざるを得ない。その金がまた塚田のふところへ入る。風車の弥七(内藤剛志)の調べで、老公は塚田の悪巧みを知る。
さて、信太郎の七回忌に訪れた塚田はおはなを見初め、お梶におはなを差し出すよう強要する。
その頃、京都の奉公先から山形へ帰っていたおはなの幼なじみ・平吉(二反田雅澄)は、おはなの難儀を知り、おはなと太一を連れて町から逃げようとするが…
『男意気地の悪退治』/松島(2007年8月20日放送)
水戸老公(里見浩太朗)は松島へ。老公は、仕事を斡旋する口入屋の親方・長兵衛(名高達男)と知り合った。長兵衛は困っている人を見過ごすことができない性分で、町の人々からは頼りにされているが、女房のお兼(朝加真由美)は、長兵衛が人助けをする度に騒動に巻き込まれ、苦労が絶えない。この二人の娘・お久(悠城早矢)は、お兼に迷惑ばかりかけている長兵衛を冷ややかに眺め、あきれている。
ところで、松島では代官の高村左内(伊藤高)が高利貸し・烏の権太(上杉祥三)を使って人々から金を巻き上げ、私腹を肥やしていた。船宿の主・嘉兵衛(水島涼太)の店を乗っ取ろうとする権太の悪企みを知り、長兵衛は代官所に訴え出る。だがまともに取り合ってはもらえず、長兵衛は憮然とする。
一方その頃、役人の不正を取り締まるため各地を巡っている、目付役の江川将監(永井秀和)が松島に入ったという噂が届く。高村は悪事を重ねて蓄えた金が江川に発見されるのではないかと恐れている。
高村はその金を誰にも怪しまれない長兵衛に預け、江川の探索をやり過ごそうと考えた。高村は、甘い言葉で長兵衛を騙し、手なずける。代官に頼りにされていると思い込んだ長兵衛はご機嫌だ。
だが、思いのほか厳しい江川の追及を受け、言い逃れできないと観念した高村は、証拠隠滅を図り、長兵衛の命を狙う。やっと悪事の片棒を担がされたことに気付いた長兵衛は、代官の悪事を江川に訴えるため代官所に乗り込むが、そこには老公もあきれるさらなる悪者が控えていた…