あらすじ:
『母と娘つないだ風車』/青森(2007年6月18日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は青森へ。一行とは別行動の風車の弥七(内藤剛志)は、道中ごろつきに絡まれていた旅の娘・お鈴(前田愛)を助けた。不幸な生い立ちのお鈴は自分を生んだ母親を探して旅を続けていたが、青森の廻船問屋倉沢屋の女主人・お凉(平淑恵)が母に違いないと噂を聞き、訪ねてきたのであった。
お鈴の母親は津軽三味線の名人だった。お鈴は店にある三味線を指差して親子に違いないと訴えるが、お凉はきっぱりと否定する。お凉には嫁入り前の娘・お夏(高橋あゆみ)がいることも分かった。
酒を飲みながら恨み言を語るお鈴を助三郎(原田龍二)が慰める。
その頃青森では、江戸の殿様に献上する津軽塗りの調度(ちょうど・道具類のこと)が出来上がり、藩の御用を任されている倉沢屋の蔵に納められた。
倉沢屋と肩を並べ、次期藩御用を狙う廻船問屋の碇屋(江藤漢斉)は、倉沢屋を失脚させようと画策する。碇屋の悪事の後ろ盾には、調度運搬の責任を負う藩士・楢井(大橋吾郎)と次席家老の大垣半兵衛(原口剛)がついている。
碇屋の息のかかった土地のやくざ者・赤泊の権八(石山輝夫)は、倉沢屋に恨みを抱くお鈴に目を付けた。お鈴をそそのかし、蔵の中の調度に傷をつけさせる魂胆だ。そうなればお凉は厳しい咎めを受ける。
実行前の下調べのため倉沢屋の庭に忍び込んだお鈴は、お凉とお夏の話を盗み聞きしてしまう。お凉はお鈴と別れることになった悲しい事情と、母親と名乗ることのできないつらさを涙ながらにお夏に語る。
お凉がひどい母親だと誤解していたことを悟ったお鈴だが、碇屋たちの悪事の秘密を知っており、裏切れば自分も命が危ない。弥七はお鈴に老公に相談するよう勧めるが…
『剣では得られぬ宝物』/十和田(2007年6月25日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は南部藩の十和田に着いた。一行はお滝(山口美也子)とその息子・吾平(佐藤祐基)、娘・おみち(福井瑠璃)と知り合った。お滝は近年、年貢の取り立てが厳しくなり生活が苦しくなったと不安をもらす。
吾平はそんな母に楽をさせるため、剣で身を立て侍になると決心し、鍛練に余念がない。強そうな侍を見つけては立ち会いを挑む無謀な吾平をお滝は嘆く。助三郎(原田龍二)と格之進(合田雅吏)が剣の達人だと知った吾平は、勝手に二人の弟子になる。
十和田の代官・丹羽平左衛門(沢竜二)は農民から不正に年貢を取り立て、それを米問屋の大前屋清六(津村鷹志)に横流しし、私腹を肥やしていた。さらに娘たちを借金のかたに取って売り、悪事を重ねている。吾平の幼なじみ、おのぶ(黒坂真美)も大前屋に騙されて捕らえられている。
その頃、南部藩の前の領主・大殿様、南部重信(長谷川哲夫)がお忍びで領内を見回っているという噂が届く。悪事の発覚を恐れた丹羽は、老公が重信ではないかと考え緊張する。それを逆手に取って老公は、助さんと格さん、吾平を連れて大前屋を訪ね、用心棒を買って出る。待遇のよい大前屋で白い飯をたっぷり食べて喜ぶ吾平だが、それが農民から騙し取ったものだと知って自分を恥じる。
さて重信がお滝たちの暮らす村へもやってきた。大前屋の指図で助さんと格さん、吾平は重信を討ち取るために村へ向かう。重信が大殿様だと知った吾平は、重信の前に走り出て農民たちの苦難を訴えるのだが…
『藩を守った女剣士』/八戸(2007年7月2日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は八戸へ。老公はかつて剣や学問を共に学んだ旧友・立花市兵衛(山口崇)を訪ねる。立花は剣術道場の主人となっていたが現在は病いの床にあり、娘の紅緒(岩崎ひろみ)が道場を守っていた。
八戸では藩主の側室・藤の方(菊池麻衣子)の希望で別式女(べっしきめ)を召し抱える事になっていた。別式女とは、男子禁制の場所などで奥方や側室ほかの警護を担う女武芸者で、男性以上の剣の腕前を求められる。紅緒はこれに志願し剣術の試合を勝ち抜いて採用される。
早速、藤の方の駕籠が謎の侍たちに襲われる。紅緒の活躍で藤の方は無傷だ。藤の方は、藩主の留守に次席家老の稲葉帯刀(磯部勉)が廻船問屋・村田屋嘉平(若林哲行)と結託して密貿易を働き、私腹を肥やしていると語る。驚く紅緒に、稲葉を懲らしめるため力を貸して欲しいと藤の方は頭を下げる。駕籠を襲ったのは稲葉の手の者たちだ。
紅緒は命がけで抜け荷の証拠をつかむが、またも稲葉の配下に襲われる。助三郎(原田龍二)が駆け付け、紅緒を救う。
ところで市兵衛は紅緒は実の娘ではないと老公に悩みを打ち明ける。血のつながらない紅緒を息子のように厳しく育て、剣術を仕込んだと語る。紅緒にはかわいそうな事をしたと悔やむ市兵衛だが、老公は父娘は深い絆で結ばれていると慰める。
偶然二人の話を聞き狼狽する紅緒を助三郎が励ますのだった。
さて抜け荷の品物を押収するために藤の方と紅緒は取り引きの場へ急ぐ。しかしそこにも稲葉配下の侍が待ち控えていた。二人を襲う侍たち、助三郎、格之進が二人に加勢をするが…
『大食い男の恩返し』/盛岡(2007年7月9日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は盛岡へ。わんこそばが有名なこの地で、老公は大食いの男・幸助(風見しんご)と知り合った。わんこそばを百杯平らげても平気な顔の幸助に老公は感心する。
鋳物の茶釜を見たいと考えた老公は、幸助の案内で鋳物問屋岩田屋を訪れる。だが、大きな商いをしているはずの店舗はそこにはなかった。数年前に店が奉行の久米監物(中丸新将)に取り潰されたと聞き、幸助と一行は驚いた。幸助はある事情があって岩田屋に金と恩を返すため盛岡を訪ねたのだが、それができなくなり落胆する。
岩田屋は殿様に献上する大切な茶釜を紛失してしまい、責めを負ったのだという。主人夫婦はすでにこの世になく、今は一人娘のおさき(神田沙也加)が草餅を売りながら細々と暮らしている。幸助が好物の草餅をぺろりと大量に平らげるのを見て、おさきは目を丸くする。
ところで奉行の久米は、公金を相場で使い果たした穴埋めのために、町の人々から大金を脅し取ろうとしていた。
風車の弥七(内藤剛志)の調べで、岩田屋は久米にだまされて罪を着せられたことが分かる。岩田屋の娘おさきが年頃になっている事を知った久米は、おさきを自分のものにしようと、よこしまな企みを巡らせる。
久米とその息のかかった十手持ち・繁三(工藤堅太郎)はおさきを罠にはめ、十両払わなければ牢に入れると脅す。
幸助はわんこそばの大食い大会が行なわれ、優勝者には大金が支払われると知り、出場を決める。だが繁三も大食いの子分を出場させ対抗する。勝負は二人の一騎討ちとなるが…
『三下り半は御免蒙る』/宮古(2007年7月16日放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は宮古に到着する。老公は藩御用を勤める宮古で一番の海産物問屋・陸奥屋の主人夫婦・利平(山本亘)と志津(浅茅陽子)が離縁の危機にあることを知る。
夫婦は跡取り息子の芳次郎(頼三四郎)に嫁・楓(内田もも香)を迎え、商いも引き継いで肩の荷を降ろした。志津はこれを機に、実家の母・たき(淡路恵子)が営む小料理店を手伝いながら暮らしたいと利平に相談するが、利平は猛反対。話がこじれ、志津は店を飛び出した。利平は戻って欲しいと頭を下げるが、志津の気持ちは変わらない。
老公はそれぞれの言い分を聞きながら、元の鞘に戻るよう言葉を添えるが、二人に復縁の気配はない。
ところで宮古の廻船問屋・田島屋七兵衛(大河内浩)は、藩御用の特権を手に入れて商売を独占したいと企んでいた。田島屋は代官の大谷多門(中田浩二)に金を握らせ、陸奥屋の失脚を画策する。
陸奥屋にお城から海産物を納めるよう注文が入った。田島屋はこれを陸奥屋を追い落とす好機と考え、蔵に火を放ち陸奥屋が集めた品物を消失させる。
大谷は直ちに陸奥屋を呼び出し、藩御用の鑑札を取り上げる。芳次郎たちは必死に代わりの品を探すが、すべて田島屋に買い占められていた。陸奥屋の危機を知り、志津も駆けつけるがなす術がなく途方にくれる。
落胆する志津にたきが救いの手を差し伸べる。たきは四方八方手を尽くし、独自のつてを頼って必死に品物を集めたのだ。志津と老公そして助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)はそれを代官所に運び込むが…