あらすじ:
黄門さま(佐野浅夫)一行は与板に着いた。道中、八兵衛(高橋元太郎)が古くなったわらじを捨てると、善次郎(小松政夫)というみすぼらしい男が、それを拾って持って行った。まだ使えるので、もったいないと言うのだ。
街に入った一行は善次郎が、街で一番の豪商、大坂屋善次郎その人だと知って驚いた。善次郎は古くなった下駄や釘を拾ってはそれらを再利用している。物を大切にする善次郎の姿勢に、黄門さまは感心する。
さらに、善次郎が自宅の庭に薬草園を開き、貧しい人々に薬を与えていると知り、うれしく思う黄門さまだった。
ところで、大坂屋は長年に渡って与板藩に金を貸しており、金額は莫大なものになっていた。家老の江田大蔵(川合伸旺)は借金を早く返すため、伊沢屋市兵衛(草薙幸二郎)と結託することを考えた。大坂屋が一手に握っていた商いの権利を、伊沢屋に譲るよう善次郎に迫るのだった。
だが、そうなると物の値段が上がり、人々の生活を苦しめることになる。善次郎が断ると、江田は理不尽にも善次郎を殺そうとする。善次郎も江田と刺し違える覚悟を決めるが…。
黄門さま(佐野浅夫)一行は柏崎へ。途中の渡し船で一行は兵六(湯原昌幸)という行商の男と知り合った。兵六と八兵衛(高橋元太郎)は盆踊りの話に花が咲き、すっかりうち解ける。兵六に盆踊りに来れば女の子にもてると誘われ、八兵衛は付いて行くことに。そこで二人は事件に巻き込まれる。
二人は、やくざ者に追われているお佳代(竹本聡子)という娘を助けた。お佳代は井筒屋という大店の娘だが、街を出たいという。乗りかかった船と、兵六は協力を買って出る。
さて、柏崎では代官の鐘ヶ崎万蔵(伊東達広)が私腹を肥やすため、仲買問屋の東屋(あずまや・真夏竜)に縮み織りを買い占めさせていたので、他の商人が商売にならず、困り果てていた。
お佳代の父、井筒屋(宗近晴見)も東屋からの借金があり、金を返せなければ、お佳代を嫁にもらうと、迫られている。お佳代はそれが嫌で逃げ出したのだ。
一方、商人たちは家老に上申書を提出しようと、密かに準備していた。その動きを察知した鐘ヶ崎は、罠を仕掛け商人たちを罪に陥れようとする。しかし、黄門さま一行の活躍で、鐘ヶ崎は懲らしめられる。
事件を解決した黄門さまは、人々が楽しそうに盆踊りに興じる姿を眺め、次の目的地を目指して旅だって行く…。
黄門さま(佐野浅夫)一行は飯山に到着した。その途中、沖藤源次郎(沢井小次郎)が乱暴に走らせる馬を避けようとした八兵衛(高橋元太郎)が、足を怪我してしまう。源次郎は勘定奉行、沖藤左内(伊吹剛)の弟で、兄の威光を笠に着て乱暴を繰り返していた。
八兵衛は相良弘雲(さがらこううん・和崎俊哉)の治療を受け、幸い大事には至らなかったが、一行も弘雲の家に留まることになった。弘雲は、貧しい者からは治療代も取らないため、生活は楽でない。弘雲の息子、市之介(土門廣)は江戸で医学修行をしている。
弘雲は市之介の生活費を送るため、両替商の野沢屋仙右衛門(頭師孝雄)に莫大な借金があった。そのため弘雲は、野沢屋の娘、百合江(小野恵末)を市之介の嫁にすると約束させられていた。
ところで、左内は野沢屋と結託し、藩の金を流用して私腹を肥やしていた。悪事が家老の石丸矢太夫(江並隆)に露見しそうになった二人は、弘雲が秘蔵する薬を使い、石丸を毒殺しようと謀る。
さてその頃、市之介は許嫁のお小夜(佐藤友紀)を伴い、飯山に帰ってきた。二人が夫婦になると野沢屋との約東が果たせない。弘雲はお小夜を嫁とは認めないと頑なに拒む。
一方、左内は市之介を人質に取り、弘雲の薬を取り上げようとするが…。
黄門さま(佐野浅夫)一行は松代へ。道中を共にして来たお千代(森永明日夏)の故郷へ到着した。黄門さまはお千代が仕えている、殿村家の久江(河原崎有稀)から早速詳しい事情を聞く。
事件は半年前に起こっていた。松代城内で井沢清助(入江毅)が家老の赤星玄蕃(社澤泰文)一味に殺害された。その場を偶然目撃した入江の息子、三郎(前田耕陽)が、以来行方不明だという。
お千代は三郎を無事助け、事件を解決するため黄門さまを案内して松代まで旅をして来たのだ。三郎からは自分の無事を知らせる手紙が届いたきりで、どこにいるのかすら皆目分からない。
赤星は御用商人の千田屋(遠藤征慈)と結託して私腹を肥やしていたが、それに気付いた井沢は、建白書を出して悪を糺そうとした。しかし、その試みが井沢に気付かれ、一味に殺されたのだ。
さて、千田屋には竹次という番頭がいるが、黄門さまは三郎が竹次となって千田屋に潜入し、悪事の証拠を探っていると察する。
一方、井沢家で夜な夜な清助の亡霊が現れると噂になっていた。赤星が、亡霊を恐れていると知った黄門さまは、自ら祈祷師に扮して赤星の屋敷に乗り込み、悪を懲らしめようとする…。
黄門さま(佐野浅夫)一行は松本へ。一行は元気のよい娘飛脚のお妙(そめやゆきこ)と出会った。
この土地で松本紬を見ることを楽しみにしていた黄門さまは、お妙から藩御用達の島屋佐兵衛(原田清人)を紹介され訪ねるが、島屋ではたいへんな事件が起こっていた。
お城へ献上する紬に、織りきずがあることが分かったのだ。小僧の修吉(西尾塁)が疑われるが、身に覚えが無いという。姉代わりのお妙も修吉がそんなことをするはずがないと、心配している。
お銀(由美かおる)と飛猿(野村将希)の調べで、藩御用の看板を狙う大戸屋甚造(睦五朗)が島屋を陥れようと、家老の神山庄左衛門(小沢象)と結託して仕組んだわなだと分かる。
ところで、お妙を上田藩の侍が訪ねてきた。お妙が殿様の娘だということが分かったのだ。家督を継ぐために、江戸の殿様に目通りをして欲しいというのだ。突然のことに困惑するお妙だったが、黄門さまが人々の幸せを思い、悪を退治する姿に心を打たれ、一行と共に江戸を目指すことになる。