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インタビュー

奈良岡朋子さん(金子ウメ役)

出演が決まって、どのような感想を持たれましたか?

以前、舞台で金子みすゞさんのお話しをやらせていただいたことがあるんです。今回のドラマとは少し違っていて、お母さんのミチさんを中心にしたお話だったのですが、その際、作品はもちろん、資料もたくさん読みました。今回、その時のことをいろいろと思い出して、懐かしかったですし、また金子みすゞという人を身近に感じています。

インタビュー

この脚本をお書きになった清水曙美さん、書き上げられた数日後に亡くなられたのですが、清水さんとはずっと古いつきあいなので、何としても良い作品にして、曙美さんの供養となるようにしなければと思っています。

みすゞの生き方とはどんなものだと思われますか?

インタビュー

ひとことで言うと、とてもドラマチックな人生だったと思います。
もしずっと詩人として生きていれば、もっともっと良い作品を書き続けられたでしょう。
でも彼女の生きた26年間は、誰でもが背負える人生ではなく、凝縮した26年間だったんだと思います。

そして26年間で人生の幕は降ろしたけれど、残った作品はこれからもずっと続いていきます。そういう「仕事」をした人だということでは、この人生で良かったんだ、という気がしますね。

ウメさんは、みすゞさんにどういう思いを持っていたのでしょうか?

みすゞはどちらかというと両親とは縁が薄くて、祖母のウメがほとんど育てています。だからわたしは演じていて、おばあさんと孫というより、母親のような気分でしつけてきたという経緯を考えました。
ウメは特別な人ではない、ごく普通の人で、たまたま家庭の事情でテルたち孫を育てています。もう一人の孫の正祐は、養家のぼっちゃんになって…と複雑な思いが裏側にありますが、極めて健康的なものの考え方をする人だと思って演じています。
ウメは、テルの最期の亡くなりかたも知らずに逝っていて、むしろテルに子どもが生まれるという一番いい時に産着を届けたり出来て、幸せなおばあちゃんだったのではないでしょうか。悲劇的な一生を送った方の物語というと、周りの人もみんな悲劇のように思われがちですけれど、そうではなくて、みんなふつうに生きていたんです。その中でいろんな家庭の事情というのはどこの家にもありますからね。嫁姑の関係も人それぞれ全然違いますし、みんなそういうことを抱えながら、それが当たり前のこととして、たくましく生活していたんだと考えています。

この時代を生きる女性にはさまざまな苦労もあったと思うのですが…

わたしは昭和ひと桁の生まれですので、両親も明治生まれですし、劇団の先輩方も皆さん、明治大正生まれの方ばかりで、この歳になると、そちらの世代に近いほうですから、抵抗は全然ないんです。子どもの頃から祖母や両親を見ていて、思い当たる日常生活というのが散りばめられていますね。

インタビュー

上戸彩さんの印象はいかがですか?

初めてご一緒しましたが、しっかりしたお嬢さんですね。心がちゃんとあるといいますか、一言一言話すのでも、ただセリフを話すのではなくて、ちゃんと想いがあって言葉になって表現できる人なんだな、と思います。

メッセージをお願いします。

これをきっかけに「金子みすゞ」という詩人の詩を皆さんが目にして、ふと手にとっていただければいいなと思います。悲劇的な亡くなり方をしていますけれど、書いてある詩はみんな、たおやかで明るくて、素直で、そして非常に率直で飾り気がなくて、心が和む詩が多いですよね。大人にも子どもにも語り継がれていくといいなと思います。
ドラマは素直に、理屈も何も考えずに「こういう人がいたんだな、これからこの金子みすゞという人のことをもう一度考えてみようかな」と、人それぞれの想いでご覧いただければいいと思います。どう見て欲しいということはありませんので、感じるままに見ていただければ嬉しいですし、素直な感想をいただければありがたいと思います。

インタビュー

  • 金子みすゞ:上戸 彩
  • 上山正祐:今井 翼
  • 桐原稲彦:松村雄基
  • 金子ウメ:奈良岡朋子
  • 上山ミチ:高島礼子
  • 上山松蔵:西郷輝彦
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