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【DunkJ】JAPAN BASKETBALL LEAGUE

“跳べ!羽ばたけ!”実況コラム 小笠原亘アナウンサー

2007年11月11日
エースの苦悩
これを読んでくれた人だけには伝えようと思う。五十嵐圭の苦悩を。
8戦が終わって1勝7敗。大黒柱のテイトを怪我で欠く日立は波に乗れるはずがなかった。
しかし、決してゲーム内容は悪くない。

第4ピリオドまで互角の勝負を見せ、点差以上の接戦をしているのは事実である。それが今日のゲームでは92-59とパナソニックに完敗。
33点差は開幕からのどのゲームよりも点差がついた試合となった。
毎試合、五十嵐は悔しい思いを胸にしまい気丈に記者たちの質問に答え、チームの現状を語ってくれる。それは自分がチームのキャプテンであり、何よりもJBLの顔であるという自覚があるからこそだ。今日の試合後ももちろんそうだ。
その五十嵐が会見後、我々スタッフを見つけると「すいません…」と謝ってきた。(五十嵐と僕らは昨年の世界バスケからの付き合いである。僕らスタッフは彼のルックスもさることながら、ファンを魅了するプレースタイル、何よりも人柄に引かれ日本バスケの顔として報道してきた。月日は浅いが、スタッフみんな五十嵐が好きだ)驚いた…。

彼はいつものように攻撃的なPGとしてチームトップの15点をマーク。なのに「すいません…」と言ってきた。こういう試合もあるだろう。今日のゲームはたまたまである。
日立のキャプテンとしてふがいない試合をしてしまったこと、TVを見ているファンをがっかりさせてしまったこと。
中継した我々に申し訳ないと思ったのかもしれない。JBLを盛り上げなければいけない立場としての責任を感じているのだと思った。
今シーズンの我々の中継は五十嵐のいるサンロッカーズのゲームが中心だ。彼もそれはわかっている。
心配だった。「今日のゲームで気持ちが切れなければいいが…」スタッフは皆そう思った。「翌日のゲームに大敗するようだといよいよシーズン危険信号が点る」と。
迎えたパナソニックとの第2戦91-80で日立は勝利。今シーズン2勝目を挙げた。五十嵐は両チームトップ、シーズンハイの36得点でチームを引っ張った。
「すいません」と言わなければいけないのはこちらの方だ。このゲームを中継できなくて。五十嵐圭はそんなにヤワな男じゃない。
選手たちは最高のプレーを見せようと頑張っている。今度は僕らが応える番だ。JBL中継を任された我々の使命は重い…

さて今週のWBPはパナソニックの山田大治選手。
プレータイムを求めて移籍した日本代表もまた苦悩の中にいたに違いない。
200cmながらボールハンドリングに長け、3ポイントも打てインサイドも強い。世界バスケでもベンチから6thマンとして活躍したプレーヤー。今日のフェイダウェイは見事だった。
ゲーム後は笑顔の山田と話ができた。やっぱり山田はチームにとっての「ダイジマン」だ!!